3月12日(木) ウメ(月宮殿)

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シジミバナの木をそのまま大きくしたらこんな感じになるのでは?と申し上げたら、この梅を作出したお人には大目玉を食らうことでしょう。月宮殿はゲッキュウデンと読み、中国の伝説で月にあるとされている宮殿…かなり厳かな命名です。
もっとも、クレマチスやサボテンにも同じネーミングの品種があるようで、西王母もそうだったように中国伝説由来の名前は便利づかいされやすいのでしょう。
ともあれ、抱え咲きと称される八重咲きは分厚くて、その色も単純な白ではなく乳白なのだそうで、たしかに王宮の荘厳さを感じなくもありません。素性的には野梅系野梅性とのことで、ストーリーとしてはシンデレラを連想してしまいます。

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3月11日(水) ホオノキ

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ちょっとした工芸品みたいなホオノキの実です。大きな木の上からこの重量で落ちたわりには大した損壊もなく、巨体を地面に横たえていました。
考えてみればこの大型の実が真っ赤に染まり、それが朱色の種をヒネリ出してから丸々5カ月が経過しているのでした。秋のうちに種は落ち尽くし、殻は色を失い、ついには冬を越してこうして骸を地べたに晒しているわけです。
冠毛や種髪で風に乗る次世代散布システムに比べ、なんと重厚な命の継承手段でしょう。しかし、見かけの軽重と命のリレーの崇高さにはなんの相関もないと気づきます。このホオノキの実は、オブジェとしての美しさだけを純粋に楽しむことにします。

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3月9日(月) コノテガシワ

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コノテガシワの花についてはずいぶん昔に取り上げていて、そのころも不思議な花だと興味深かったことがわかります。あれから20年、進む一方の老眼にも関わらず、雌花の妙なパーツが気になりました。花それぞれに見える穴です。
アサリやシジミを洗うときに見る管(入水管・出水管)みたいで、どの雌花にも2つから7つ見えています。珠孔(しゅこう)というもので、胚珠の先にある穴でした。
そう言えば、これより少し前の段階はこの付け根が滴でキラキラしていました。あれは珠孔から出る受粉滴で、花粉を吸着して胚珠のなかに届けます。
コノテガシワは針葉樹なので裸子植物であり、こうして花粉がダイレクトに胚珠に届けられるのでした。20年前からちゃんと知っておきたかった基礎知識です。

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3月7日(土) ヤマツツジ

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2回転半ヒネリ、見事に決まりました!みたいなアナウンスが昔のスポーツ中継では当たり前だったのに、このごろはスリーシックスティとかファイブフォーティとかややこしくて、えーと、540だと…なんだよ、1回転半か、面倒なこと言うなよ。
そんな老人の八つ当たりに苦笑していそうなヤマツツジです。混芽が膨らんできて、花に先駆けて2・3枚の葉がヒネリを加えながら展開してきました。
半落葉性で、冬のうちは蕾を守るように包んでいた葉もついに枯れ果て、こうして混芽の花が開くと、そのあとを追うように葉芽が展開し、山にも春がきます。

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3月6日(金) ツバキカンザクラ

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前回とは別の場所での撮影です。こんなレアな桜を近場の2カ所で見られるとは思いもしませんでした。前より半月遅かった分、花が賑やかでした。
学名的には園芸種扱いでも、先の記事に書いたように伊豫豆比古命神社(松山市)で「発見」されたということは自然交雑種なのでしょう。その二親はカンヒザクラカラミザクラだそうで、俯いて咲くところ、やや白っぽい花びらが内側にカールする(園芸種名・Introrsaはその意)ところが両種の血筋であることを示しています。
その「発見」は1963年とされていて、いまも当時と同じ場所で健在です。ただし、Googleマップの収録写真で拝見する限り、木は更新されているようで、ハタザクラと同じ状況と見ました。限りある命が上手に後世に引き継がれてほしいものです。

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3月5日(木) キッコウチク

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床柱にしたり長押に使ったりするとは聞いても、当家にはもちろん存在しないし、そんなお洒落な旅館に泊まったこともありません。憧れの「高級品」です。
モウソウチクの藪に出現する枝変わり品(突然変異種)であって、節間が似た感じに膨らむホテイチク(マダケの仲間)とは成り立ちが違います。節の区切りは一重なので、そこが二重であるホテイチクよりはあっさりした見かけになります。
また、稈が亀甲状に生育するのは地表から3mほどまでで、その上はふつうのモウソウチクになります。亀甲部分の節間が詰まる(短い)せいで、通常品よりは背丈が劣るし遺伝的にも不安定らしく、先祖返りも珍しくないと言います。
…ということを知るにつけ、あっけなく食卓に載ったホテイチクとはなにか格が違う気がしてきて、小体な工芸品でいいから亀甲竹を身近に置きたくなりました。

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2月27日(金) ヤマナシ

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グニグニグニッという音が聞こえそうです。短枝というのはたいがいこんな凝縮された感じになりやすいものの、夏、ヤマナシが盛大に実をぶら下げている姿を思い出せば、この樹種はかなりの精力絶倫系なのだろうとうらやましくなります。
その短枝の先で膨らんできた冬芽は、芽鱗による装甲が硬くて、このなかにあれだけの花や葉が詰まっている混芽方式だとは思いにくい形です。芽も枝も、どちらもギュッと圧縮したような、とても濃密なイメージにあふれています。
初の出会いから17年、実と花しか見上げることのなかったヤマナシ(↓)について、ようやくその土台というか基点に気づくことができて、少しだけ満足です。

<ヤマナシの過去記事・掲載順>2009年9月7日 : 落ちた実の試食 ☆ 2011年4月30日 : 満開の花・葉・枝 ☆ 2013年8月15日 : 落ちた実と樹上の実 ☆ 2018年8月7日 : びっしりの実

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2月26日(木) ウメ(蘇芳梅)

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画面右下に貼り付けた矩形がなにかと言えば、これがWeb上で「蘇芳」とされている色で、16進カラーコードで#a84562と指定するとこうなります。
さて、園芸種名・蘇芳梅とされている梅の花がホントに蘇芳色かどうか見比べると、今朝の自分の気分だと「まぁいいか」でした。その甘さの下地にはハナズオウがけっこうド・ピンクの花なのに蘇芳を名乗っているのを見過ごしてきた弱みがあります。
もっとも、染めの場合にはその染め汁に浸す時間・回数で発色度合いがかなり変わるので、浅く浸けたらあんな色合いなのだろうとは思うわけです。
あれに比べたら、この梅はかなりの暗赤色(蘇芳の大括りな色分野)に見えて、一番好きな鹿児島紅には半歩及ばないところがまた慎ましやかに思えます。

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2月24日(火) ヘンヨウボク(クロトンノキ)・リュウセイ

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大温室ではわりと見かけやすいのに、いつも撮りそびれていました。背景が単純でないと、この斑入りの細葉がスッキリ写らないという悩みがあったのです。
ヘンヨウボクはその名のとおり、「葉」の色・形の「変」異幅が大きい「木」で、過去掲載(↓)ではそこに花も加わって、かなり振り回されてきました。そして、恐ろしいことにその7番目ではついに園芸種に踏み込み、そのノリで今回も同じ素性です。
ただ、アケボノは戦前に日本で作出された過去が明らかなのに対し、今回のリュウセイ(流星)はいつ・どこの誰が作ったのかが不明らしいのです。因みに学名を見ると、その園芸種名はVan Oosterzeeiで、読みも意味もわかりません。おそらくこの横文字はどうやっても加工できないので、どなたかが日本用の名を創作したのでしょう。
困るのはそれをこうやって取り上げている素人で、多くはクロトン・リュウセイとかリュウセイクロトンとか、和名のヘンヨウボクを無視してくれています。しかし、それでは和名優先の自己ルールが泣くので、きょうのタイトルは意固地な自己流です。

<ヘンヨウボクの過去記事・掲載順>2005年2月14日 : ふつう型、赤・黄2色 ☆ 2010年2月14日 : 鉾型、緑・黄2色、花 ☆ 2014年1月12日 : 細型、黄・緑・赤3色 ☆ 2014年2月9日 : ふつう型、赤・黒2色 ☆ 2014年3月19日 : 軍配型、緑・黄2色、花 ☆ 2016年8月31日 : クロトンモドキと似た葉色 ☆ 2021年1月10日 : 成葉と若葉(アケボノ)

過去のきょう : 2025 デンドロキルム・コッビアヌム および2024~2005年2月24日へのリンク

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2月23日(月) スクテラリア・コスタリカナ

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花に既視感があって、その線を必死に思い出そうとしました。自分の過去ログを掻き分けていくと、出てきたのはヒメノウゼンカズラでした。しかし、花の色と立ち上がる咲き方は共通でも、シベが邪魔です。葉もまるで違って、赤の他人でした。
そこで花筒の形をじっくり見直し、タツナミソウ属にあたりをつけて捜していったら、Scutellaria costaricanaに突き当たってようやく正解でした。コスタリカーナですから南米に産するわけだし、柔らかい葉のわりに常緑低木とされていました。
日本の園芸業界ははた衛門と同じように花序の形に目を付け、その冠みたいな姿から女王の木とか王様の木とか呼ぼうとしているようです。うーん、同じ罠にハマった身で反対はしにくくても、ここは学名を頑張って覚えるしかないでしょう。

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