番外編 : 蜂蜜レポート第5弾

たしかに、どちらの樹種も花どきには蜜蜂さんを呼び集め放題です。ただ、素人の寂しさは「蜂が多いなぁ」とは感じても、このボトルまで連想できないことです。まさかあの羽音がこんな口福に結びつくとは思いもしませんでした。
「りんご」は香りにひとクセあります。果樹としての重量感が鼻孔を埋めます。しかし、味わいは素直に甘くて、そのアンバランスが個性なのでしょう。
一方の「山ざくら」は、まるで桜並木の下に立ったみたいです。芳醇なのに軽やかな春の香りです。ところが舌に届くのは硬くて重い甘さです。その強さは色に現れていて、桜という淡いイメージとはまるっきり逆の濃さです。
今回の2種はどちらも目と鼻と舌とがお互いに「なんか変」と言い争っているような、不思議なハズシ合いの楽しみでした。
<補注> この二種の蜂蜜をボトルのままテーブルに置いていたら、「山ざくら」が結晶化を始め(「りんご」は変化なし)ました。木造家屋なので、冬場だと明け方の室温が15度(ここらが結晶化の開始点)を下回っていることが多く、「りんご」と「山ざくら」の耐寒性に明らかな差があることがわかりました。
蜂蜜の主成分(ブドウ糖と果糖)の比率は蜜によって違い、ブドウ糖の比率が高いと結晶化しやすいと言います。そのブドウ糖の特徴は体への吸収が果糖よりも素早く、かつ脳のエネルギー源になることだそうで、朝食に「山ざくら」蜂蜜を摂ることは、それなりの効果あり!と信じておきましょう。