
初めてこれを見つけた
3年前と同じ場所で同じようなアングルです。ただ、絵面に変化はなくても、新しく湧いた疑問を自分で解決でき、じつに楽しい題材でした。
まずは相変わらずのデカさ確認で、思い切り高く掲げたカメラをグイッと煽って撮っています。推定で4m超えです。明治期に日本にもたらされたわりにいまだに存在がマイナーであるのは、この巨大さが疎まれたからだというから哀れです。ただ、糖尿の薬になるそうで、そちらが心配な人なら収量が多いことは好都合でしょう。
さて、その日本に持ち込んだ人が新渡戸稲造だったというのが前回の学びだった(ので、漢字は新渡戸菊とする)のに、今回、Wikiでは新渡戸説が「…との話がある」と大きくトーンダウンし、漢字表記は「腫柄菊」だとされていました。
しかし、Wikiも、あるいはこの漢字表記を示している植物サイトも、腫柄がなぜニトベという音になるか、そもそもこの文字がどこから来たのか、まったく説明していません。しかし、YListおよび跡見群芳譜(漢名に詳しい)にはそれが中国名であると明記されていました。現代中国の簡体字では肿柄菊となり、発音はzhong bing juです。nitobeという音はどこからも出てきません。この漢字を借りる意味は希薄(注)です。

というわけで、今回は「要らぬ寄り道」をした気がします。ただ「寄り道もまた佳きかな」であって、萼直下の柄がぷっくり腫(は)れている事実に気づきました。ふーん、あの国の人はこんなところを見て名付けたのか…と新鮮な感動です。
ついでを言えば、学名Tithonia diversifoliaの後半部は「多様性のある葉」であって、言われてみれば葉の裂け方がテキトーです。ふーん、植物学者さんだとこの辺を見るわけね…と嘆息させられます。新渡戸先生、ありがとうございました。
<補注> もちろん、百日紅をサルスベリと読む事例は承知です。中国で百日红とか紫薇とか海棠树と呼ぶ「あの木」の和名にそのうちの一つの漢字表記を借りて当てたという「高踏趣味」をいまの時代に持ち出すのは「いかがなものか」と思います。
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