« 2024年8月 | トップページ | 2024年10月 »

9月30日(月) ヤブサンザシ

240930ri_fasciculatum
実がまだこんなに若い状態に出会って、ヤブサンザシにはキヒヨドリとかキヒヨドリジョウゴという別名があったことを思い出しました。もちろんこれは真っ赤に色づくヤブサンザシの実がヒヨドリジョウゴのそれに似ていて、かつ、草本であるヒヨドリジョウゴに対してこちらは木本、つまり、漢字をあてると木鵯だと言っているわけです。
いっとき、自分はこの「キ」を「黄」かと考えたことがあって、しかし今回の写真を見れば実の色は黄を経由せず緑から赤に変わることがわかります。
あるいは、植物サイトのなかには花が黄色だからとしているものもあって、たしかにヒヨドリジョウゴの花びらは純白です。しかし、雄シベの黄色がガッツリ目立っていて、特にヤブサンザシだけに「黄」を献上する必要は薄いような気がします。

<追録> 山の紅葉は一晩で真っ赤に変わることがあっても、まさかヤブサンザシの実がこんなにあっという間に赤熟するとは驚きました。あまりに見事な稔りようだったし、もしかしてお味も…と一粒いただきました。あ、甘い!と思ったその10秒後に押し寄せてくるエグ苦さは「さすが」でございました。(撮影:2024年10月11日)
Imgp8824

過去のきょう 2023 カウリマツ 2022 アカバセンニチコウ(アルテルナンテラ・レッドフラッシュ) 2021 ステルンベルギア(キバナタマスダレ) 2020 オヤリハグマ 2019 ミヤマダイモンジソウ 2018 カシワバゴムノキ(フィクス・リラタ) 2017 アエスクルス・パルビフローラ(ボトルブラッシュバックアイ) 2016 ツピダンサス(インドヤツデ)・斑入り 2015 クサボタン 2014 ナナコバナ 2013 コブシ 2012 トウガラシ(八ツ房) 2011 ヨシ(アシ) 2010 ヒメムカシヨモギ 2009 シモバシラ 2008 ホソバヒイラギナンテン 2007 リンドウ 2006 ミドリマイ 2005 コスモス 2004 オオオナモミ

| | コメント (0)

9月29日(日) コシオガマ

240929ph_japonicum
「葉まできれい(浜できれい)なのは塩竃」というややヒネった洒落の再現です。かつて高原で思いがけずシオガマギクを見つけ、舞い上がったものでした。
今回も似たような環境で出会ったこのコシオガマは、たしかにその草丈がシオガマギクの半分少々(膝丈)で、花色もやさしく、「かっわいい~」姿でした。
もっとも、近づくとそのかわいさは薄れます。全草が腺毛に覆われてベタベタするし、花の内部はけっこうグロテスクです。塩竃は遠目に限る…でしょうか。
分類的にはシオガマギクと同じハマウツボ科ながら属違いです。この科にはナンバンギセルヤセウツボ(ともに属違い)もいて、まるで変人部落です。

過去のきょう 2023 スギノハカズラ(アスパラガス・デンシフロルス、アスパラガス・スプリンゲリ) 2022 アメイシャ 2021 ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ) 2020 ツクシハギ 2019 ムクノキ 2018 ネズミノオ 2017 マルバハタケムシロ 2016 ミルトニア・スペクタビリス・モレリアナ 2015 ヤマホタルブクロ 2014 アオツヅラフジ 2013 マツヨイグサ 2012 ククイノキ 2011 ナツユキカズラ 2010 スズムシバナ 2009 オオハナワラビ 2008 クロサンドラ 2007 マイヅルソウ 2006 ハエドクソウ 2005 ヒガンバナ 2004 ハゼラン

| | コメント (0)

9月28日(土) バッコヤナギ

240928sa_caprea
先日、トヨハラヤナギを取り上げたことで、バッコヤナギが懐かしくなりました。柳絮までは見たものの、その後の様子をまったくマークしていませんでした。
葉がそろそろ終盤期を迎えている一方、冬芽がプックリ膨らんでいました。こうして見る限り、これがどうして柳なのか、とても理解しにくい姿です。
マルバヤナギでも同じように悩んだわけで、Salix(ヤナギ属)ってなんだろうと思ったら、図鑑にも「葉で種を区別するのは難しい」とありました。うーん、そう開き直られると素人はお手上げです。花や柳絮の季節が頼りの「面倒なヤツら」です。

過去のきょう 2023 ヨレスギ 2022 トウオオバコ 2021 ムラサキクンシラン(アガパンサス) 2020 エゾリンドウ 2019 ルリマツリモドキ 2018 シクンシ 2017 アカガシワ 2016 ヤマボウシ 2015 クレロデンドルム・ウガンデンセ(ブルーエルフィン) 2014 ナンテンハギ 2013 ヒッコリー 2012 ツルマメ 2011 メヒシバとオヒシバ 2010 セイヨウカラハナソウ(ホップ) 2009 シオン 2008 チョウジタデ 2007 カンボク 2006 ヤマジノホトトギス 2005 ケイトウ 2004 セイタカアワダチソウ

| | コメント (0)

9月27日(金) キケンショウマ

240927ci_jap_var_peltata
この升麻は危険です…というキケンではなくて、漢字は鬼瞼とあてます。鬼のまぶた、転じて鬼面を言いますが、どうやら近縁種の中国名を借りたようです。
オオバショウマと同じとする意見もあるなかで、キケンショウマと特定するポイントは葉柄のつき方です。学問的には「楯状」と言い(変種名peltataもその意)、わかりやすく言うとハスの葉のように、葉柄が葉裏の中央部についています。
嵌め込み写真だとそれがハッキリわかっても、全体画面のなかにはオオバショウマのように通常のつき方の葉も目立ちます。同じ場所にあっても、一株全部が楯状のものもあれば、混じっているものもあり、この辺が「キケンショウマを区別せず」とされる理由に思えます。ただし、せっかく見つけた立場からすれば、これはキケン!です。

<追録1> 念のため、オオバショウマの葉を下に示します。柄の付け根まで葉が切れ込みが及んでいるのがわかります。
Imgp7942
<追録2> とてもキケンショウマらしい葉の群生に遇いました。(2024年10月11日)
Sanp_peltata

過去のきょう 2023 ストレプトカルパス・サクソルム 2022 アイギョクシ(カンテンイタビ) 2021 オキシデンドルム・アーボレウム(スズランノキ) 2020 オオウラジロノキ 2019 ヤマアジサイ 2018 ヤツマタオオバコ 2017 ステゴビル 2016 ヤブマメ 2015 コモチシダ 2014 ラクウショウ 2013 ヒガンバナ 2012 ダンコウバイ 2011 シラカシ 2010 イガオナモミ 2009 ヤブラン 2008 アメリカアゼナ 2007 ミズカンナ 2006 ヒデリコ 2005 ホオノキ 2004 ペンタス

| | コメント (0)

9月26日(木) ツリバナ

240926eu_oxyphyllus_var_oxyphyllus
ツリバナの木がここまで大きいのを初めて見ました。写真右側にはやむなく電線が入ってしまったのに、これが案外にいい役目を果たしてくれています。
まず電線にはルールがあって、4.5m以上の高さに張らないといけないのです。つまりこの木はそれに近い高さまで育っていて、自分的にはせいぜい3mくらいのもの(分類的には灌木=低木)だと思っていたツリバナの認識改めになりました。
かつ、電線が架かる道路の脇とはつまり市街地であるわけで、山のなかとかお庭とかよりは格段に俗っぽいわけです。いままでは深窓の令嬢的な見方をしていたのに、一気に娑婆に降りてきてくださった感じで、かなり驚きの一枚でした。

<ツリバナの過去記事・掲載順> ☆ 割れた殻(種欠落) : 2004年10月30日 ☆ 花 : 2005年5月27日 ☆ 種をつけて割れた実(1個だけ) : 2005年11月20日 ☆ 豊穣な稔り : 2007年10月23日 ☆ 割れて種を下げた実(やや不完全品) : 2011年10月13日 ☆ 割れて種を下げた実(ほぼ完全品)と色づいた葉 : 2011年11月10日 ☆ 青い実と葉(オオツリバナと比較併載) : 2023年6月26日

過去のきょう 2023 シクンシ(八重) 2022 ユウスゲ 2021 ゲンノショウコとタチフウロ 2020 ヨツバハギ 2019 ツリフネソウ 2018 リンボク 2017 ヤブニッケイ 2016 ウラジロノキ 2015 イヌシデ 2014 ツノナス(フォックスフェイス) 2013 ホオノキ 2012 食用菊・料理菊・もってのほか(イエギク) 2011 キャットミント 2010 フウトウカズラ 2009 リンボク 2008 ヒメクグ 2007 ジャコウソウ 2006 ヌスビトハギ 2005 アレチヌスビトハギ 2004 コブシ

| | コメント (0)

9月25日(水) カラメドハギ

240925whole_grass
メドハギに種類があるとは不覚でした。あとづけでYListを見ると、メドハギを名乗るものが11種掲載されていました。メドハギが不老不死の薬ならいいのに…。
さてカラメドハギです。草丈やそのつくりはふつうのメドハギと大差なくても、全体が繁くて、強健な感じがします。カラは唐をあて、別名をチュウカメドハギとするので、原産はあの国らしくても、強健イメージを重ねたような気もします(トウオオバコ参照)。
240925leaf
メドハギとのわかりやすい見分けどころは葉で、小葉1枚がゴツくて幅ありです。また、メドハギは即脈までしか目視できないのに、カラは細脈まで凸凹とわかります。
240925calyx
そしてもう一点は老眼鏡ないしルーペが必要で、萼が細く長く割れています。メドハギだと、割れて尖ってはいても長さがカラほど極端ではありません。
さて、次のメドハギ類はなにが現れるやら、キバナメドハギとかナガバメドハギとか名前だけは安直ぽいものがあって、できればその辺から先に会いたいものです。

<補注> 実がたくさんできていました。(2024年10月27日

過去のきょう 2023 サイウンカク(彩雲閣:ユーフォルビア・トリゴナ) 2022 スカーレットオーク 2021 サルスベリ 2020 オオバシマムラサキ 2019 サンタンカ(白花種) 2018 ホザキアサガオ(ミナ・ロバータ) 2017 ツルマメ 2016 ヤブタバコ 2015 イワシャジン 2014 オオモクゲンジ 2013 エゴマ 2012 ムクロジ 2011 スダジイ 2010 オニバス 2009 ヒオウギ 2008 クサネム 2007 オオモクゲンジ 2006 ハナセンナ 2005 シロミノコムラサキ 2004 フウセントウワタ

| | コメント (0)

9月24日(火) オオモミジ

240924ac_amoenum_var_amoenum
「小さい秋」発見の今年第1号です。いつまでも真夏日が続いて、いったいどうなるんだと心配したのに、山から里へ、冷気は確実に降りてきているようです。
しかしあらためて眺めると、「大」モミジのくせに「大きくない」葉も多いと気づきます。特に「小さい秋」を兆している葉が小ぶりではないかと思うのです。
弱小の葉から冷気を感じてしまうとは、人間世界にも劣らぬ厳しさみたいで、早くきれいに変身できると喜んでなぞいられないなぁ…とシンミリです。

過去のきょう 2023 カギカズラ 2022 ビクトリアアスター・キエト 2021 キクイモモドキ 2020 アカザカズラ(オカワカメ) 2019 シマスズメノヒエ 2018 ハイビスカス・レモンフラミンゴ 2017 ヒュウガミズキ 2016 アメリカニワトコ 2015 ハナミズキ(アメリカヤマボウシ) 2014 オトコエシ 2013 ナンキンハゼ 2012 シュロソウ 2011 オカボ(イネ) 2010 ヌルデ 2009 ミズワラビ 2008 ダンドボロギク 2007 サンゴジュ 2006 カラスノゴマ 2005 アスパラガス 2004 シュウカイドウ

| | コメント (0)

9月23日(月) セイタカトウヒレン

240923sa_tanakae
腰丈ほどにスックと立ち上がった茎に目を奪われました。その茎にはこれ見よがしのヒレがついていて、うーん、記憶をたぐっても、こんなん、見たことありません。
なんだ、あれ?とブツクサ言いながら徘徊を続けると、少し陽当たりのいい斜面で咲いているアザミ風のこの花(写真右側)の苞は、これ、あれじゃないですか!?
トウヒレンは塔飛廉で、飛廉は中国でこういう感じの草本を言うようです。それがスックと立つから塔だし、中国から借りた名前だから唐を当てる考えもあるようです。
問題は、このSaussurea(トウヒレン属)の和名で、このように塔飛廉を当てる種類もあれば、ヒゴタイやアザミを借りる輩もいて、140種ほどある仲間がそれぞれ勝手に○○ヒゴタイとか○○アザミ、あるいは○○トウヒレンを称します。どうしてそんなカオスに陥ったのだ!と憤激しても、学者さんにも気分があったとしか思えません。

<補注> Saussurea(トウヒレン属)は名前問題の宝庫でした。(2024年10月5日

過去のきょう 2023 エキノドルス・コルディフォリウス 2022 クスドイゲ 2021 ニオイシュロラン 2020 ハイビスカス・ロバツス 2019 コナラ 2018 コリウス(ジゼル) 2017 ツルフジバカマ 2016 エゴマ 2015 タカサゴユリ 2014 タムシバ 2013 オオベンケイソウ 2012 サネブトナツメ 2011 アカメガシワ 2010 オオバチドメ 2009 ヤブマメ 2008 アゼナ 2007 オオアブラギリ(シナアブラギリ) 2006 コナギ 2005 ヤブツルアズキ 2004 ナナカマド

| | コメント (0)

9月22日(日) ヤブツバキとマテバシイ

240922ca_japonica
これが伊豆大島での撮影なら、さすが椿油の産地はツバキの稔り具合が違います!とやりたいところです。ところがこれ、都内の公園です。ヤブツバキがこんなに豊年満作でも、たぶん物好き爺さんくらいしか喜ぶ人はいないでしょう。
一般には成り年(表年)・裏年と呼ぶ隔年結果現象は果たしてツバキにもあるか調べたら、なんと、収量で7~8倍の差がありました。果樹農家の場合は、そんな変動を剪定や摘果によって防ぐのに、公園のヤブツバキは「あるがまま」です。
Imgp7372
もののついでに、近くにあったマテバシイもチェックです。いやはや、こちらの樹上も例年に倍する押すな押すな状態でした。さらにその下の芝生は脱落したドングリが折り敷かれていて、山もこんな豊作だったら、動物たちもニッコニコでしょう。

過去のきょう 2023 タヒチアンハット(カロミア・テッテンシス) 2022 アカソ 2021 オオケタデ 2020 テンジクスゲ 2019 カイトウメン 2018 カイコウズ(アメリカデイゴ) 2017 ダンコウバイ 2016 シェフレラ・アルボリコラ・スターシャイン 2015 ホオノキ 2014 トレニア(ハナウリクサ) 2013 イタビカズラ 2012 ハブソウ 2011 アレチヌスビトハギ 2010 ノチドメ 2009 アカネ 2008 ツユクサ 2007 カワラケツメイ 2006 チヂミザサ 2005 オトコヨウゾメ 2004 ミヤギノハギ

 

| | コメント (0)

9月21日(土) タイタンビカス

240921hi_xtaitanbicus
タイタンビカスが新品種として市場に登場したのは2010年だったそうで、かつて自分が初の出会いをしたのはその6年後のことでした。さてそれからさらに9年が経過し、タイタンビカスはさまざまな品種が作り続けられています。
写真のものは、色目は代表的なブライトレッドでありながら、かつて見たズドーンと高身長(支柱が必要)タイプではなく、大きく広がる繁みを作っていました。タイタンという形容を自己否定しつつ、お庭の植栽としてはずっと使いやすい姿形です。
さて、その花の横に黄色い実を見つけて、来月あたりにここで種をほんの少し頂戴しようかと企みました。しかし、考えてみればこれ自体が交配品種であり、もしかして?と調べたら、やはり親と同じ性質のものが出現する確率は低いのでした。
いいねえ、さらに面白いものが生まれるかも…という発展的な思考回路が脆弱で閉塞的な爺さまは、たぶん種の色形を確認して満足しそうです。

過去のきょう 2023 キリンカン(麒麟冠:ユーフォルビア・グランディコルニス) 2022 フォルディア・カウリフロラ 2021 セイオウボ(西王母) 2020 ハナキリン 2019 シナサイカチ 2018 ヘビウリ 2017 スズメウリ 2016 プロステケア・コクレアタ・アルブム 2015 イワガネソウ 2014 ヒノキアスナロ 2013 ツルリンドウ 2012 ヤマグルマ 2011 カラスザンショウ 2010 ハダカホオズキ 2009 ケツユクサ 2008 ミズタマソウ 2007 ミズタマソウ 2006 ヤマハギ 2005 オトコエシ 2004 ナツメ

| | コメント (0)

9月20日(金) アマヤニリンゴ(タヒチモンビン)

240920sp_dulcis
ポリネシアやメラネシアを原産地とし、樹高10m以上まで簡単に生長する木です。洋梨型の実は生のまま、あるいは加熱して大事な食材となるし、酸味を持つ葉は、若葉に限らず、大きく(長さ10cm程度)なったものも食材として使われます。
アマヤニリンゴは甘脂林檎で、上記の実の特性に着目した和名です。またタヒチモンビンのモンビンは現地でのこの木のポピュラーな呼び名です。
ほかにタマゴノキと呼ぶ向きはあるものの、それはフクギ科のキヤニモモと混乱する虞があって、自分的には避けておきます。それでも念のために言及しておくと、キヤニモモの実は丸く、アマヤニリンゴのような縦寸がありません。またキヤニモモの葉は厚手・硬質で鋸歯がなく、アマヤニリンゴは薄くて紙質で鋸歯が目立ちます。

<補注> 同属のアムラノキを収録しました。(2024年11月3日

過去のきょう 2023 ミミズバイ 2022 マルバハッカ(アップルミント) 2021 キョウガノコ 2020 ヒャクニチソウ 2019 ツノゴマ 2018 ヤブニッケイ 2017 クサギ 2016 クロモジ 2015 オオアブラギリ(シナアブラギリ) 2014 カラムシ 2013 ムラサキナツフジ(サッコウフジ) 2012 オトコエシ 2011 マコモ 2010 キセワタ 2009 マルバハッカ(アップルミント) 2008 ギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ) 2007 ソテツ(雄株) 2006 アシタバ 2005 シロミノコムラサキ 2004 フジバカマ

| | コメント (0)

番外編 : 蜂蜜レポート第9弾(対馬蜂蜜)

P9190001
色合いを示すために皿に入れた蜂蜜の量がヤケに少なくて笑えます。この対馬の蜂蜜はとても貴重=高価なので、スプーンで掬うのにビビりました。
もっとも、色合いは気づくほどに濃いとか淡いとかはありません。ただ、純度というか透明度が高いのはすぐにわかります。そして一舐め…甘さが別格でした。
これまでの蜂蜜レポートは「なんの蜜か」がテーマでした。対するに今回はこの蜜を集めた蜂さんが主役です。対馬には純粋な日本蜜蜂しかいなくて、それはとてもデリケートな性格だし、西洋蜜蜂に比べ体が小さくて収量も少ないのに、自分たちの冬越しに一定量が必要なので、全部をいただくことは不可能なのだそうです。
さて、問題はこの蜂蜜をどう使うかです。自分は毎朝のヨーグルトにトッピングしていて、それは考えるだに贅沢すぎます。夜な夜なこっそり起き出して、瓶に小指を入れてニマ~でしょうか。家族に見つかったら、「これは毒じゃ」と言うたりましょう。

<追録> この蜂蜜を対馬から持ち帰ってくれた人が撮った写真です。蜂洞といい、蜂はなかなか気に入ってくれないし、いったん住み着いても、動かしたりするといなくなってしまうというむずかしさだそうです。
S__34291726

| | コメント (0)

9月19日(木) ジャワユリ(パンクラチウム・ゼイラニクム)

240919pa_zeylanicum
スパイダーリリーかなと一瞬思ったものの、よく見ればいろいろ違います。
まず目立つのは葯の違いで、スパイダーリリーだとその寸法が長く、強いオレンジ色です。また、花びらがノッタリと長いスパイダーリリーに対し、こちらは玩具の吹き戻しに似てクルクルッとカール(注1)しています。葉はこちらが細くて繊細な感じです。
さてそんな特徴で調べると、Pancratiumという属(注2)に行き当たりました。その名前は古代ギリシャの格闘技パンクラティオンに通じていて、「全力」を意味します。どうやら気候耐性が強靱なようで、なにかこんな時節にふさわしい性質です。
スパイダーリリーが属すHymenocallisとはごく近い仲間(ヒガンバナ科)で、和名の冠・ジャワは主な産地を示します。百合と言われてやや困惑はしても、パンクラチウム・ゼイラニクムという学名をスルッと覚える自信がないので、ここは簡単に妥協です。

<補注1> 写真の花はまだ若い状態で、生長とともに次第に展開はします。
<補注2> この属はまだYListには収録されておらず、したがってジャワユリという和名も暫定です。

過去のきょう 2023 ピレア・ヌムラリフォリア(マルバハイミズ) 2022 センニンソウ 2021 ギンモクセイ 2020 キサントステモン 2019 サントリナ 2018 コヤブラン 2017 ヤブツルアズキ 2016 ハエジゴク(ハエトリグサ、ハエトリソウ) 2015 カンガレイ 2014 マキエハギ 2013 シシオクマワラビ 2012 カシグルミ 2011 サンシュユ 2010 アオハダ 2009 フジマメ 2008 カラスウリ 2007 カゼクサ 2006 ミズキンバイ 2005 シロバナマンジュシャゲ 2004 ツリフネソウ

| | コメント (0)

9月18日(水) トヨハラヤナギ

240918sa_xkoidzumii
湿地とは言わなくても水辺がほど近い斜面にあり、悠然たる枝振りでした。
葉は幅が3cm強、長さ10~15cmで、表側の深い緑と、裏側の明るい緑の対比が目立ちます。かつ裏側には葉脈がはっきり浮き出て、力感があります。
柳というのはそもそも素人の手に余る樹種なのに、特にこの柳は性悪です。標準和名のトヨハラヤナギ以外にコイズミヤナギやバッコオノエヤナギ、アサマヤナギという別名を持ちます。まずはトヨハラの意味解説が見つからず、日本の二次林研究に尽くされた豊原源太郎先生のお名かと思いつつ、まるで当てずっぽうに過ぎません。
そこへいくとコイズミヤナギのkoidzumiは学名にも記されていて、日本植物分類学会の創立者・小泉源一博士への献名と思われます。またバッコオノエはそれぞれバッコヤナギとオノエヤナギのことで、この二種が交雑したものという素性を示しています。
残るアサマは浅間で、冷涼地帯に多いことを示していそうでも、この柳は本州全域に分布するらしいので、やや適切さに欠ける命名ではあります。
さて自分でこの柳をどう呼ぶか、建前は標準和名優先としながらも、身許を明言している意味でバッコオノエに惹かれます。加えて言えば、バッコヤナギ柳絮まで追いかけたことが懐かしいし、オノエについてはタチヤナギの記事で比較候補として取り上げたままであることが思い出されて、どうにもこの呼び方に肩入れしてしまいます。

過去のきょう 2023 フイリタコノキ 2022 キンエノコロ 2021 イヌキクイモ 2020 チョロギ 2019 ヒガンバナ 2018 カラタチ 2017 イタビカズラ 2016 アワブキ 2015 アワブキ 2014 オジギソウ 2013 シロバナヤマハギ 2012 センニンソウ 2011 オオバコ 2010 キレハノブドウ 2009 ボントクタデ 2008 ノダケ 2007 ヒトエスイフヨウ 2006 タカサブロウ 2005 ヒガンバナ 2004 シキミ

| | コメント (0)

9月17日(火) アガスタシェ・ローズミント

240917ag_rp
大手種苗会社がアガスターシャ・ローズミントとして売り出しているせいで、属名の末尾がシャなのかシェなのか、ネット上で揺れています。しかし、Agastache(カワミドリ属)を素直に読めばシェであり、いくら大手がゴリ押ししてもこれはシェでしょう。
そう言えばこの属の代表であるカワミドリについては、そのアクセント位置に悩まされたことを思い出します。どうも厄介がついて回る人たちのようです。
ただ、そのカワミドリでも最初の掲載では花が寂しく、追録写真が不可欠でした。今回のAgastacheも、上記会社のカタログとは咲き方に大きな差があって、あの写真が誇大表示ではないことをいつか証明して差し上げる必要があります。

過去のきょう 2023 サイカク(犀角) 2022 イヌエンジュ 2021 ボダイジュ 2020 クレロデンドルム・インキスム 2019 シラハギ 2018 センナリヒョウタン 2017 ユウガギク 2016 トキリマメ 2015 マウンテンミント 2014 キハギ 2013 ベニシダ 2012 ヒトエスイフヨウ 2011 キミガヨラン 2010 トウゴマ 2009 トウガン 2008 コバノカモメヅル 2007 ハシカグサ 2006 コウヤマキ 2005 ヌルデ 2004 ワレモコウ

| | コメント (0)

9月16日(月) ステノカルプス・シヌアツス

240916st_sinuatus1
蕾状態からほぼ2カ月が過ぎ、ころや今とばかり樹下に立ってみたら、うぇ~ん、予定と違いますがな。そもそも花びらはない(雌シベ・雄シベだけ)のはいいとして、これではとてもFirewheelには見えなくて、マッチ棒の燃えかすに過ぎません。
なんでもかんでも異常気象のせいにするのは悔しくても、帰り道は自分も眉間のあたりがジンジン痛んで、ムジナモ撮影以来の熱中症恐怖に晒されました。
240916st_sinuatus21
しかし、花はガッカリでも素敵な気づきがありました。この葉の美しさです。観葉植物として市場性があるようで、腰丈ほどだと渋沢さんクラスです。そんな高級品を買い込んで枯らさないようハラハラするよりは、ここで楽しむのが一番です。

過去のきょう 2023 アカサヤネムノキ 2022 オリヅルラン 2021 オオカナダモ 2020 クロバナタシロイモ 2019 クズ 2018 シロモジ 2017 ヤマグワ 2016 インドソケイ 2015 スネイルフラワー 2014 シュウブンソウ 2013 ミケリア・マウダイエ 2012 ママコノシリヌグイ 2011 マルバアメリカアサガオ 2010 ミズアオイ 2009 カンレンボク 2008 モミジガサ 2007 アオツヅラフジ 2006 サルスベリ 2005 ベニゴウカン(ヒネム) 2004 ツルボ

| | コメント (0)

9月15日(日) ブロッキニア・レヅクタ

240915br_reducta
まるで長ネギの葉が開いたみたいで、愛想がありません。南米ギアナ高地のサバンナにワサワサ繁っているそうで、参考写真を見たところで、行ってみたい気持ちはちっとも湧きません。もっとも、長い花穂を立て、白い花をつけることはあるようです。
ただ、その花よりも虫を集めるのはこの葉です。ネギと違って中心部が筒になっていて、そこに水を溜めます。その水が虫を誘引し、落ちると壁は滑りやすくて這い出せず、しかも水は酸性を帯びていて虫を殺します。つまり食虫植物なのです。
どうもこの「植物が動物を食べる」という食循環が信じられなくても、自分も風化したらそこらの植物に栄養を供給するんだろうなあ…とか、無理に考えたりします。

過去のきょう 2023 ヒメゴクラクチョウカ 2022 ヒロハノナンヨウスギ 2021 ウンシュウミカン 2020 ドドナエア 2019 スダジイ 2018 オオバナイトタヌキモ 2017 コカモメヅル 2016 タイワンツナソ(モロヘイヤ) 2015 センニチコウ 2014 ミツバウツギ 2013 ヒメガマ 2012 イイギリ 2011 エノキ 2010 マルバチシャノキ 2009 ソクズ 2008 ヤマジノホトトギス 2007 コボタンヅル 2006 トキリマメ 2005 ホワイトベルベット 2004 タラノキ

| | コメント (0)

9月14日(土) サンザシ

240914cr_cuneata
冬に赤熟した実を見ていて、そのとき穴が開いていた萼の痕跡に目を奪われたせいか、サンザシの実はわりと平たいものだと思っていました。なんとまあ、若い時期はこんなイチジク型だったなんて、16年ぶりの認識改めができました。
そんな恥ずかしさにもメゲず、春(初夏)の花と真っ赤な実の間を埋めることができた喜びに浸っています。かつ、こんな暑いときでも新枝から赤い葉が芽吹いていて、サンザシの強靱な性質もわかり、あのドライフルーツがまた恋しくなりました。

過去のきょう 2023 プレイガール 2022 シロガネヨシ(パンパスグラス) 2021 オオボウシバナ 2020 ウツボカズラ(ネペンテス) 2019 ユウガギク 2018 ミソナオシ 2017 ヤマブキ(一重) 2016 ウスギコンロンカ 2015 エビヅル 2014 ツリガネニンジン 2013 サルトリイバラ(サンキライ) 2012 アキノエノコログサ 2011 アメリカアサガオ 2010 トウテイラン 2009 コヤブラン 2008 フユイチゴ 2007 ノアサガオ 2006 ガマズミ 2005 ニラ 2004 ハナゾノツクバネウツギ

| | コメント (0)

9月13日(金) シカクヒマワリ

240913te_helianthoides
かつては小石川土産として取り上げました。つまり、かしこくも「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」の圃場で保護栽培されていたものです。
あれから14年、なかなかに丈夫な性質だそうで、あちこちで野生化しています。特に危険性はないので、植生的な問題視はされていないようです。
背丈ほどに大きくなるので、いきおい葉と葉の間の距離に目が行きます。間延びとまでは言わなくても、断面が真四角の茎が意味不明です。さらにその茎を挟んで向かい合う葉は左右がつながっているので、雨が溜まります。災害に備えての貯水装置でもなかろうし、茎も変なら葉もおかしくて、なにを考えているやら奇怪千万です。

過去のきょう 2023 トウガラシ(ゴシキトウガラシ) 2022 タイヘイヨウグルミ 2021 カシグルミ(テウチグルミ) 2020 マルバヤナギ(アカメヤナギ) 2019 ネズミサシ 2018 クルマバナ 2017 クサコアカソ 2016 スパティフィラム 2015 シロバナシナガワハギ(コゴメハギ) 2014 キササゲ 2013 ナンバンギセル 2012 ナツユキカズラ 2011 オウゴンニシキ(オウゴンカズラ) 2010 キバナキョウチクトウ 2009 マルバタマノカンザシ 2008 ノシラン 2007 オオブタクサ 2006 キツネノマゴ 2005 ウラハグサ(フウチソウ) 2004 フジ

| | コメント (0)

9月12日(木) オオイタヤメイゲツ

240912ac_shirasawanum
自分にとって難関だったこの木をようやく取り上げます。まずはオオイタヤメイゲツという名前が困りもので、オオがつかないイタヤメイゲツがわかりませんでした。
今回の調べで、それはコハウチワカエデの別名であることを思い出しました。そして次に並ぶイタヤの意味はかつてイタヤカエデの掲載のときに学んでいます。続くメイゲツは名月で、これがどうにも情緒的すぎて、本名とは思いにくかったのです。
なんと英名をFullmoon mapleというくらいで、じつに真面目な名前でした。9~11裂した葉の先端を辿るとまん丸になる=名月というわけです。またその直径よりも葉柄が長く、そこにはコハウチワカエデのような和毛が生えていません。
なかなか見定めきれなかったオオイタヤメイゲツをとらえたうれしさのあまり、葉が赤くも黄色くもないこんな季節に収録してしまいます。美しい色合いの一枚は、この暑さが衰えて山の朝夕がキリッと冷え込むころに狙ってみましょう。

過去のきょう 2023 カンコノキ 2022 マツカサススキ 2021 ネコノシタ 2020 アイ 2019 ナベナ 2018 ハクウンボク 2017 ヌルデ 2016 アンジェラ(つるバラ) 2015 ミソナオシ 2014 ハンゲショウ 2013 モクレイシ 2012 カナムグラ 2011 ハナウコン(クルクマ・ペティオラータ) 2010 タコノアシ 2009 シュウカイドウ 2008 マルバルコウ 2007 キツリフネ 2006 ツユクサ 2005 ハギ 2004 ヒガンバナ

| | コメント (0)

9月11日(水) シマヨシ

240911ph_ar_picta
同じようにクサヨシ(Phalaris arundinacea)の園芸品種という位置づけのものにフイリクサヨシがあり、さても我が同胞は水辺の草の園芸改良に余念がありません。
ちなみに学名(園芸品種名・注)は、フイリクサヨシがVariegata(斑入り)と直球なのに対し、こちらシマヨシ(別名:シマガヤ)はPicta、つまり「彩色したような」です。いや、淡黄白色以外、特に彩色されてはいませんが…は外野の声です。
それよりも、今回の撮影品は草丈が1mに満たず、ずいぶんと小型でした。また茎の下方がスッキリしていて、全体に葉が繁くのびていたフイリクサヨシとは趣が少し違います。いったいこれがシマヨシの特性なのか、それともこの暑さのせいなのか、いつの日か「ふつうの夏」が戻ったとき、両種をじっくり比較観察したいものです。

<補注> このPictaを園芸品種名(cv.)とする資料が多いものの、ブリタニカはvar.つまり変種としています。

過去のきょう 2023 アキザキスノーフレーク 2022 カナクギノキ 2021 テキサスセージ(レウコフィルム) 2020 ムクゲ 2019 マルバハギ 2018 ゴマノハグサ 2017 コバノカモメヅル 2016 ダイサギソウ 2015 メリケンムグラ 2014 ナナコバナ 2013 ミズタマソウ 2012 ウラジロガシ 2011 カジカエデ(オニモミジ) 2010 カラムシ 2009 シオン 2008 ドイツトウヒ 2007 ムシカリ 2006 イボクサ 2005 ダールベルグデージー 2004 ニラ

| | コメント (0)

9月10日(火) ツルマサキ

240910eu_fortunei
ツルマサキはかつて冬に取り上げたことがあって、割れた実から飛び出たオレンジ色の種がいかにもマサキの仲間であることを示していました。あの一枚があればこそ、今回は心置きなく夏の様子を収録です。青い実が豊作でした。
これだけの数が無事に全部育ち、この枝(蔓)がオレンジ色に溢れたらと期待が膨らみます。画面右手に映っているのは大きなハンノキで、このツルマサキはそれに絡みつき、おおむね4~5mの高みで中空にのび出していました。

過去のきょう 2023 レモンマートル 2022 パナマソウ 2021 セイヨウムラサキ 2020 トキホコリ 2019 テンニンソウ 2018 トケイソウ 2017 キレハノブドウ 2016 イヌビワ 2015 ギンコウボク 2014 アキカラマツ 2013 コクチナシ(ヒメクチナシ) 2012 イワガネゼンマイ 2011 カワラケツメイ 2010 ヤナギタンポポ 2009 メドハギ 2008 ノシバ 2007 ハネミギク 2006 ヤハズソウ 2005 イチイ 2004 ヤマボウシ

| | コメント (0)

9月9日(月) ポップコーン(ハゼトウモロコシ)

240909ze_mays
ポップコーンというのは、トウモロコシの実を炒って爆裂させ、味付けしたものというのは常識でも、その「トウモロコシ」に専用種があるなんて初めて知りました。
そして、炒る前の「トウモロコシ」がカリカリに干涸らびているのを見たことがあっても、あれは天日干ししたからだろうと思っていました。いやいや、畑に生えているうちからカッチカチです。粒をもぎ取るのも大変だし、噛むのは完全な危険行為です。
学名はシンプルにZea maysで、対するふつうの「トウモロコシ」はその亜種(subsp. mays)とされています。発生学的なことはわからないものの、学名からすれば、ポップコーン(別名:ハゼトウモロコシ)の方が「本家」になります。
そして、さいたま市産のそれが商品として売られていることも知りました。ということは、いままでただのトウモロコシ畑だと見過ごしていたおそれが十分で、これからトウモロコシ畑の横を通るときはジロジロ・ジトーッと見つめる必要が生まれました。

<補注> ポップコーンよりもさらにトウモロコシの先祖と思われている種類がありました。(2024年10月11日

過去のきょう 2023 シロガネチカラシバ 2022 カカツガユ 2021 シロバナヤマハギ 2020 キバナヨウラク 2019 カホクザンショウ(カショウ) 2018 タイマツバナ 2017 ナス 2016 ネコノシタ 2015 ノコギリソウとセイヨウノコギリソウ 2014 アキニレ 2013 ミドリヒメワラビ 2012 ゴンズイ 2011 イヌザクラ 2010 サジガンクビソウ 2009 シュロソウ 2008 ガンクビソウ 2007 キレンゲショウマ 2006 カラスウリ 2005 マメアサガオ 2004 マーガレットコスモス

| | コメント (0)

9月8日(日) コメツガ

240908ts_diversifolia
このところ、皇位継承がなんたら、ご進学がかんたら…めっきりマスコミ露出度が高まっているコウヤマキくんに捧げたい木を見つけました。彼のお印ですけれど、高野槙からこのコメツガに替えたらいかがでしょう。お父上がツガ、ご子息がコメツガ、連続性があってよろしいし、令和の米騒動に揺れる現代にピッタリではありませんか。
ふつうの暖温帯を好むツガに対し、コメツガはより環境の厳しい亜高山帯に育つというのも、なにやら意味深に感じます。このごろ、ふとした表情が明治天皇を思い出させて、激動の時代の象徴だった高祖父様が現代に蘇ったような気もします。
いや話はコメツガで、葉が米のよう(小さい・短い)というネーミングです。その気で見ればたしかにやや寸詰まりで、積雪や強風をやりすごす形なのでしょう。

過去のきょう 2023 フイリダイダイ 2022 ヒメジョウゴゴケ 2021 フウセンカズラ 2020 ジャコウソウ 2019 オオヒナノウスツボ 2018 オオバイヌツゲ 2017 ツブラジイ 2016 ドラセナ・レフレクサ 2015 イチイ 2014 ナンバンギセル 2013 アメリカノウゼンカズラ(黄花) 2012 ナガエコミカンソウ(ブラジルコミカンソウ) 2011 シラヤマギク 2010 ゴジカ 2009 キツリフネ 2008 ミヤコグサ 2007 ギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ) 2006 キカラスウリ 2005 ナガボノワレモコウ 2004 ハナシュクシャ

| | コメント (0)

9月7日(土) カノツメソウ

240907sp_calycina
この白い花はセリ科だなとは思いながら、周りの草との区別がままなりません。その花(散形花序)の位置がせいぜい膝丈しかなく、ほかの草に埋もれていて、どう撮ろうか決めきれないまま、とりあえずパシャパシャした駄作写真です。
なので、苦し紛れに白丸をつけたのがこの草の葉です。根もと付近(画面右手)では2回三出複葉、花の近く(画面左下)だと三出複葉で、葉先が鋭く尖ります。
カノツメソウは「鹿の爪草」で、この葉先が鹿の爪に似ると解説されても、残念ながら鹿の爪はこんな尖り方はしません。そのせいか、元々「鷹の爪草」だったものの「た」が消えたという迷解説もあって、一瞬信じたくなります。
ただ、牧野図鑑は「鹿の爪草」説をとりつつ、「其(その)根形ニ基ク」としていて、なるほど博士はすべて掘り起こして標本にしたんだものねえ…と感慨新たです。

<補注> 現在の標準和名はカノツメソウでも、別名にダケゼリが上げられていて、牧野図鑑ではそちらをメインにし、「山生ノ芹」を意味するとしています。

過去のきょう 2023 オロシマチク 2022 ワシントンヤシ 2021 ワックスフラワー 2020 カイコウズ(アメリカデイゴ) 2019 シマサルスベリ 2018 コスツス・ルカヌシアヌス 2017 シロバナツユクサ 2016 スギモリケイトウ 2015 アッケシソウ 2014 ミズメ 2013 エビネ 2012 コマツナギ 2011 ウワミズザクラ 2010 ヒシ 2009 ヤマナシ 2008 ハグロソウ 2007 サラシナショウマ 2006 コブナグサ 2005 ウコン 2004 ママコノシリヌグイ

| | コメント (0)

9月6日(金) オオウラジロノキ

240906ma_tschonoskii
やや光線が足りなくて、念のためにフラッシュも使っておいたのが役に立ちました。オオウラジロノキの葉裏の白さが強調され、葉表との対比が鮮やかです。
そして、育つ場所が違えば稔りの進行も違いました。ほぼ同じ時期なのに、最初の出会いでとらえた実はすでに下を向いていたし、今回はまだ上向きです。緯度と高度を考え合わせると2カ所の気候はほぼ同じに思えるので、いまごろがオオウラジロノキの実の向きが上から下へ変わる境目なのでしょう。
ただ、今回出会った木の稔り具合はかなりプアーです。そう言えばまだ試食の願いは叶っていなくて、この記事の下にぜひ「追録」を書き加えたいものです。

過去のきょう 2023 トキワイチゴ(ルブス・カリシノイデス) 2022 ウチワサボテン 2021 ナンバンギセル 2020 クマガイソウ 2019 レックスベゴニア・シーサーペント 2018 ヒヨクヒバ(イトヒバ) 2017 コウゾ 2016 ディジゴセカ(アラリア) 2015 エゾノコリンゴ 2014 ヒヨドリバナ 2013 ヒトツバハギ 2012 オニバス 2011 アマクリナム 2010 ツノナス(フォックスフェイス) 2009 イチヤクソウ 2008 ヤマシャクヤク 2007 ウワミズザクラ 2006 ギンドロ 2005 リコリス・オーレア 2004 イタドリ

| | コメント (0)

9月5日(木) ネナシカズラ

240905cu_japonica
根も葉もないことを言ってはいけなくても、根も葉もない(注)植物は存在します。いわゆる寄生植物(ナンバンギセルヤセウツボなど)のなかでも、これはその名もネナシカズラで、根もなければ葉もありません。自分では吸水も光合成もせず、絡みついたほかの植物から水分や栄養分を頂戴するという、なんとも厚かましい輩です。
そのくせ立派に花は咲かせます。撮影がやや早すぎてまだ蕾だったものの、その数はやたら多くて、とてもスネかじりの身とは思えない派手な生活です。
宿主を締め上げてのびる蔓は赤紫の斑点が不気味です。自分の稼ぎはないくせにやたら濃い化粧の女のようで、見ていて段々に腹が立ってきます。

<補注> 発芽時は根があるのに、寄生するとその根は消え(↓)ます。また、葉は極少の鱗片状なので、その気で探さないと見つかりません。
<追録> 根が枯れて消失している様子(白丸囲み)とその上部(左上→右下へ続く)を画面一枚に合成しました。残念ながら開花は見逃してしまい、実がたくさんできていました。噛むと透明で味のしない汁が溢れます。(撮影:2024年9月20日)
P9201387

過去のきょう 2023 アキノワスレグサ 2022 アメダマノキ 2021 コノテガシワ 2020 ヤマザクラ 2019 バラ(サプライズ) 2018 ウコン 2017 クマツヅラ 2016 ハゲイトウ 2015 ウンラン 2014 アベマキ 2013 モミジガサ 2012 シチヘンゲ(ランタナ) 2011 シマトネリコ 2010 ツリガネニンジン 2009 フジカンゾウ 2008 ムカゴイラクサ 2007 タムラソウ 2006 ナンバンギセル 2005 ヒメマツバボタン 2004 モクレン(類)

| | コメント (0)

9月4日(水) カラコギカエデ

240904ac_tataricum_subspaidzuense
かつて載せたカラコギカエデには実がついていたのに、そしてカラコギカエデは雌雄同株だというのに、この木にはまったく稔りが見られませんでした。
さても、実の姿のあとは花とか、せめて紅葉とか、なにか変化要素が欲しいところなのに、あえて「なにもない」姿を撮ったそのわけは葉です。前回の木は葉に切れ込みがないタイプ(鋸歯は大きい)でした。対するに今度のものは3裂タイプです。
面倒なことに、カラコギカエデにはこの2タイプのほかに5裂もあるのだそうで、願わくは秋が深まってきれいに紅葉した仲間に会えたとき、その葉が5裂タイプという幸運に恵まれたいものです。いや、それは春の花どきでもいいのですけれど…。

過去のきょう 2023 アルプス乙女(セイヨウリンゴ) 2022 ブドウホオズキ 2021 シオガマギク 2020 ノササゲ 2019 ムシトリスミレ 2018 バラ(プリンセス・ドゥ・モナコ) 2017 エノキ 2016 キリ 2015 マテバシイ 2014 トクサ 2013 ムベ 2012 コンテリクラマゴケ 2011 ヒャクニチソウ(矮性) 2010 イチビ 2009 オオリキュウバイ 2008 アズマカモメヅル 2007 クロホウシ 2006 イトススキ 2005 アメリカノウゼンカズラ 2004 ウモウケイトウ

| | コメント (0)

9月3日(火) チョウセンシオン

240903as_koraiensis
シオンを名乗るにはあまりに背丈が足りません。2mを超えることも稀ではないシオンに対し、チョウセンシオンはせいぜい膝丈で、やや誇大表示の嫌疑ありです。
そのせいか、チョウセンヨメナの別名を持っていて、さてそちらはどうかと言うと、いやいやヨメナほどの葉幅はないし、硬いし、尖り過ぎだし、これもまた不適切です。どうも、他人の名を借りるというのは楽なようでむずかしいことだと気づきます。
ならば原産地の韓半島ではどう呼ぶのか調べても、答えが見つかりません。もっともハングルはさっぱりわからないので、この線も諦めて、Aster koraiensisと学名に頼ることにしました。これなら「高麗の菊」であり、じつに単純明快でスッキリです。

過去のきょう 2023 ジャンボカボチャ(セイヨウカボチャ) 2022 フクシア・フルゲンス 2021 ハマナツメ 2020 ノブドウ 2019 ホツツジ 2018 ノコギリシダ 2017 バアソブ 2016 レックスベゴニア・シースプライト 2015 レモングラス 2014 オオモクゲンジ 2013 ダイコンソウ 2012 シマトネリコ 2011 ヘラノキ 2010 トレニア(ハナウリクサ) 2009 オオマルバノホロシ 2008 メボウキ 2007 ゲンノショウコ 2006 サワギキョウ 2005 ガガイモ 2004 ナンキンマメ(ラッカセイ)

| | コメント (0)

9月2日(月) ワダコブシ

240902wadas_memory
見るからにコブシの実なのですが、太い幹が直立する感じのコブシと違って姿がやや華奢に思えます。シャクナゲの研究家・和田弘一郎さん(故人)が作り出したもので、そのものズバリ、ワダコブシ(園芸品種名:Wada's Memory)を名乗ります。
コブシとタムシバが交雑しているそうで、その気で見れば葉が細くて小さめです。春の花をまだ見ていなくて、それがコブシ型(花の下に葉が一枚)なのかタムシバ型(花の下に葉はなし)なのか、来春のちょっとした楽しみです。

過去のきょう 2023 トキワガマズミ(ビバーナム・ティヌス) 2022 オオイヌタデ 2021 ネオベンサミア・グラシリス  2020 ダキバヒメアザミ 2019 ニラ 2018 オオバゲッキツ 2017 アカマツ 2016 カゴノキ 2015 ウリハダカエデ 2014 キツネノマゴ 2013 ヤマボウシ 2012 カナムグラ 2011 ハナトラノオ(カクトラノオ) 2010 シロネ 2009 ツルガシワ 2008 ミズカンナ 2007 ヒメシロネ 2006 イヌタデ 2005 ハス 2004 ピンクノウゼンカズラ

| | コメント (0)

9月1日(日) カナダアキノキリンソウ

240901so_canadensis1
チラ見だとセイタカアワダチソウと勘違いしそうです。実際、ネットではこれをセイタカアワダチソウとしたり、逆にカナダアキノキリンソウの写真がじつはセイタカアワダチソウだったりという誤認が見られます。ある意味「危ない」外来植物です。
ただ、両者の存在をわきまえた上で眺めると、まず圧迫感が違います。背丈がセイタカほどはなく(高さ2/3程度)、花の穂先が空に向かず、尖りません。
240901so_canadensis2
その花序はセイタカに比べて賑やかさに欠けます。花穂の数が少ないし、小花の総苞はやや寸足らずです。そして、葉には粗い大きな鋸歯が目立ちます。セイタカにも鋸歯はあっても、ここまで疎らで尖ることはありません。

さて、もののついでに、どうしてセイタカ「アワダチソウ」とカナダ「アキノキリンソウ」が比較対象になるのかのメモです。牧野図鑑には「アキノキリンソウ、一名アワダチソウ」とあって、アキノキリンソウ=アワダチソウなのでした。オオアワダチソウもあることだし、アワダチソウで統一すればいいものを、面倒なことをしてくれるものです。

過去のきょう 2023 メランポジウム 2022 カラタチバナ 2021 ゴシキカズラ 2020 ツクバネ 2019 クサギ 2018 ヌスビトハギ 2017 ヒルムシロ 2016 イヌトウバナ 2015 ミズキンバイ 2014 ムクゲ 2013 シュウブンソウ 2012 ヤブデマリ 2011 ハリギリ 2010 トウワタ(アスクレピアス) 2009 キバナアキギリ 2008 ケンポナシ 2007 アゲラタム 2006 ヘクソカズラ 2005 センニンソウ 2004 マツムシソウ

| | コメント (0)

« 2024年8月 | トップページ | 2024年10月 »