7月31日(水) キヌタソウ
せっかく見つけたキヌタソウの群落はてんでの混乱状態で、端にあったこの一株でどうやら草姿がわかるように撮れました。どうしてこんなにグチャグチャなのだ!?と腹を立てながら調べ直すと、そうか、キヌタソウはヤエムグラと同属(↓)でした。
最初の出会いが慎ましやかな植栽品だったことや、曰くありげな名前(注)に惑わされ、つい崇め奉ってしまった自分が恥ずかしくなります。この疎ましい夏が終わったら、次はここでタマタマ状態の実を確認することにします。
<このブログに収録済みのGalium(ヤエムグラ属)・和名50音順> ☆ カワラマツバ ☆ キクムグラ ☆ クルマムグラ ☆ ヤエムグラ(3月下旬、5月上旬)
<補注> キヌタソウの語源は一般に衣(きぬ)を打つ道具に拠るとされます。この植物の実が「砧」に似るというのです。しかし「砧は衣板の転訛」と国語辞書は説明していて、砧は多くの人がイメージする槌ではなく、その槌を受ける板のことなのです。
さて、その衣板とキヌタソウの球形2分果が似ているかと言えば、まったく相似点はありません。もちろん槌にも見えなくて、どうやらこの説はとても不適切なのです。
ならば、頼りの牧野博士は?と訊ねると、「新日本植物図鑑」には上記の不適切解説が載っていても、元々の「日本植物図鑑」にはその一文がありません。つまり、博士逝去後の改訂で余計な俗説が足されてしまったのです。
「わからないことは書かない」という博士の毅然とした態度に拍手を送りつつ、版によっては牧野図鑑でさえこんな軽挙をやらかすことを知って暗然とします。
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