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7月31日(水) キヌタソウ

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かつてはたかが3~4段の花序を撮るのに往生したというのに、うわわ、こんなにドンドンのびてくださって、ほら、自分だって頭が重くて倒れているじゃないですか。
せっかく見つけたキヌタソウの群落はてんでの混乱状態で、端にあったこの一株でどうやら草姿がわかるように撮れました。どうしてこんなにグチャグチャなのだ!?と腹を立てながら調べ直すと、そうか、キヌタソウはヤエムグラと同属(↓)でした。
最初の出会いが慎ましやかな植栽品だったことや、曰くありげな名前(注)に惑わされ、つい崇め奉ってしまった自分が恥ずかしくなります。この疎ましい夏が終わったら、次はここでタマタマ状態の実を確認することにします。

<このブログに収録済みのGalium(ヤエムグラ属)・和名50音順>カワラマツバ ☆ キクムグラ ☆ クルマムグラ ☆ ヤエムグラ(3月下旬5月上旬
<補注> キヌタソウの語源は一般に衣(きぬ)を打つ道具に拠るとされます。この植物の実が「砧」に似るというのです。しかし「砧は衣板の転訛」と国語辞書は説明していて、砧は多くの人がイメージする槌ではなく、その槌を受ける板のことなのです。
さて、その衣板とキヌタソウの球形2分果が似ているかと言えば、まったく相似点はありません。もちろん槌にも見えなくて、どうやらこの説はとても不適切なのです。
ならば、頼りの牧野博士は?と訊ねると、「新日本植物図鑑」には上記の不適切解説が載っていても、元々の「日本植物図鑑」にはその一文がありません。つまり、博士逝去後の改訂で余計な俗説が足されてしまったのです。
「わからないことは書かない」という博士の毅然とした態度に拍手を送りつつ、版によっては牧野図鑑でさえこんな軽挙をやらかすことを知って暗然とします。

過去のきょう 2023 コウキクサとミジンコウキクサ 2022 リベリアコーヒーノキ 2021 ギンドロ(ウラジロハコヤナギ) 2020 ナンバンサイカチ 2019 ハナズオウとアメリカハナズオウ 2018 スーパーランタナ・ムーンホワイト 2017 アゼオトギリ 2016 ナガバミズアオイ(ポンテデリア・コルダタ) 2015 ハツユキソウ 2014 タブノキ 2013 ジュズダマ 2012 ユーフォルビア・ダイヤモンドフロスト 2011 オオイタビ 2010 トチカガミ 2009 ハナカンナ(カンナ) 2008 ヒツジグサ 2007 キハギ 2006 ナツズイセン 2005 マンリョウ 2004 サンゴジュ

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7月30日(火) シオジ

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シオジの箪笥というのはなかなかの高級品です。硬いのに柔らかいという、門外漢には理解しにくい性質で、ほかの材より白っぽいのも魅力です。
柾目が通ることから柾寿や柾樹とされ、それがシオジまで転訛したそう(by Wiki)で、その語源説に従うと、たまに見る「塩地」という漢字表記は不適切なことになります。その辺をご承知の家具屋さんだと、欅や桐には漢字をあてても、シオジはそのままカタカナ表記しています。こういうわきまえがあるお店なら信用できそうです。
見かけがよく似ているとされるヤチダモは葉をほぼ落とした季節に見ていて、両者を通年で比較できるような環境に住めたらなぁ…と妄想が膨らみます。

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7月29日(月) イケマ

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この不思議な名前が忘れられなくて、ずいぶん探しました。それなのにイケマさんは「イケマせんわ」と現れてくれず、仕方なしに苗を求めて育ててみました。
しかし、アイヌに愛された=冷涼な環境を好む人です。志木の住宅地で花を咲かせるという芸当は無理な話でした…という過去がサラッと過去になりました。
飴玉のような蕾がかわいくて、画面右下の花穂ではそれが順々に開いていく様子が見てとれます。若い葉を伴った元気な蔓は絡みつく相手を探しています。
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花がとても小さいのは、写真右側でスケールや蟻が示しています。ただ、小さいくせに花びらののけぞり具合は豪快です。もしやこの薄緑のパーツは萼かと思えば、本来の萼は控えめについていて、これは真面目に花びらなのでした。
ただ、その内側には白くて本当の花びらっぽく見える副花冠があります。サイズに反してずいぶんと凝ったつくりで、長い間の捜索が報われた思いです。

<追録> 2カ月後、10cmほどの長さになった実を一つだけ見つけました。
悔しいことに、途中、1回見失っていて、あの小さな花からこんな莢が生まれる過程がわかりません。来年以降の探求課題です。(撮影:2024年9月20日)
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7月28日(日) エゾエノキ

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蝦夷を名乗るからには北海道限定の樹種かと思えば、全国に分布するそうで、巴投げを喰らいました。どういうわけじゃい!?と噛みついてみると、日本にあるエノキ属のなかで、コヤツだけが蝦夷「にも」自生するという意味でした。
そう言えば、かつて取り上げたコバノチョウセンエノキもやたらと面倒を含んだ名付けでした。本来のエノキがあまりに単純な名前である分、ほかの仲間をヒネリまくってしまおうという妙なバランス感覚の所産ではあるまいかと邪推してしまいます。
おっと、肝心なのはこの写真のどこが「蝦夷」かということです。まず、エノキと違い、葉の先が尾状に長くのびています。そして、鋸歯がエノキやコバノチョウセンエノキよりもずっと粗く大きく、かつ葉の先から元側までずっと続いています。
あとは、この写真にも見えている実がポイントです。赤く色づくふつうのエノキと違い、エゾエノキは緑から真っ黒に直行するらしいのです。言われてみれば写真にもすでに黒く見える実があります。次の機会には逆光を避けて確認してみましょう。

過去のきょう 2023 ヒマラヤタマアジサイ・紅旗(こうき) 2022 ユウギリソウ 2021 カッコウソウ 2020 キンマ 2019 ヒメスイレン 2018 イヌエンジュ 2017 ツタ(ナツヅタ) 2016 ウメモドキ 2015 ギンヨウアカシア 2014 クサソテツ 2013 ミカイドウ 2012 ネジバナ 2011 アルカネット 2010 アメリカホド(アメリカホドイモ、アピオス) 2009 ギンパイソウ 2008 アオヤギソウ 2007 ソクズ 2006 ウマノスズクサ 2005 コガマ 2004 オオニシキソウとコニシキソウ

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番外編 : リスアカネ

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キキョウの蕾が気に入ったらしくて、この赤とんぼ、何度も飛び去ってはまたここに止まります。ついつい30枚もバシャバシャやってしまいました。
そのなかにはもっと過激な逆立ち状態もあったのに、あえてこの一枚を選んだのは種類の特定のためです。赤とんぼにはかなり多くの種類があることは、かつて掲載した真っ赤なトンボをショウジョウトンボと教えていただいたときに学びました。
さてそのときの勉強を思い出し、30枚の写真をジトッと眺めてみると、まずは翼端の濃茶色が一つ目の特徴でした。次いで胸の黒い筋が上端に届ききっていません。
これらのことから、リスアカネとわかりました。え、栗鼠ですか?というのは無駄口で、スイスのトンボ学者フレデリック・リス(Ris)さんに因む名前でした。

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7月27日(土) スズタケ

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竹を名乗るくせに笹です。竹と笹の違いを簡単に言えば、生長したあとでも稈鞘(皮)が残るか残らないかです。それが落ち、ツルツルの稈になれば竹です。
そんな基準からすれば、ワタシの背丈を超す高さがあるくせに、この写真の稈はすべて鞘を残しています。大きいのに笹なのです。ただ、別に厳密なことが必要ない人は「大きいから竹」と思うわけで、笹なのに竹とされてしまいました。
そして、「スズ」も問題含みです。漢字では篠竹とすることがあっても、それはこの品種を特定するには不適に思えます。音的に「みすず」が語源だとする説があり、古く「みすゞ刈る」という表現もあることから、この笹の美称だったように思えます。
もしかして、滅多に見ることのない花が鈴のように垂れるのかと資料写真を確認したものの、それは考えすぎでした。たぶん昔の杣人が、竹の子を採ったり行李を作ったりする身近な竹(じつは笹)に親しみを込めてこう呼んだのだと思います。

過去のきょう 2023 サンショウモ 2022 カワイスギ 2021 トックリアブラギリ(サンゴアブラギリ) 2020 バンジロウ 2019 エビヅル 2018 ミズカンナ 2017 ウマノスズクサ 2016 アオイゴケ 2015 ルイヨウボタン 2014 キンカン 2013 スパティフィラム 2012 ハナカイドウ 2011 ムクゲ 2010 アズキ 2009 ギンバイソウ 2008 カリブラコア 2007 トウモロコシ 2006 オグルマ 2005 ゲッキツ(シルクジャスミン) 2004 タカノハススキ

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7月26日(金) ギンメイチク

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ふつう、竹類は花も実も見ることができません。ギンメイチクの母種であるマダケの場合だと120年おきに開花するらしいので、巡り合わせのいい人なら生涯一度は立ち会えても、間の悪さにだけは自信のあるはた衛門さんには無理な話(注)です。
なので、花でも実でもなく稈と葉だけの写真です。前回のギンメイチク掲載時にも、写っていたのは稈と葉だけです。ならばなぜにまたぞろ、稈と葉???
その新しい見どころは新鮮な枝と長い節間です。かつての撮影場所はいかにも手入れが良すぎて、野趣に欠けるというか、まさに展示品そのものでした。
かつ、今回の稈の径と節間の対比はマダケの特性そのままです。マダケ⇒キンメイチク⇒ギンメイチクと弄り回され、それでもメゲない姿に心がなごみました。

<補注> 竹の開花は稀でも、笹の花ならばはた衛門でも遭遇できます。

過去のきょう 2023 クリプトステギア・マダガスカリエンシス 2022 コモウセンゴケ 2021 バンドーム(オリエンタルユリ) 2020 ヘリアンフォラ 2019 ウバユリ 2018 カキノキ(枝垂れ柿) 2017 フユイチゴ 2016 ツタウルシ 2015 コバノギンバイカ 2014 ツチアケビ 2013 ミズナラ 2012 コミカンソウ 2011 アレチマツヨイグサ 2010 シカクヒマワリ 2009 ルドベキア・ニチダ 2008 クララ 2007 ルリタマアザミ 2006 セリ 2005 コンロンカ 2004 カクレミノ

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7月25日(木) オオウバユリ

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関東以西に多いウバユリ(↓)に対し、東北から北がオオウバユリの生息地なので、両種が並んで咲き誇る一枚を得るのはかなりむずかしいことのようです。
ということわりをするのは、この写真がオオウバユリだと証明しにくいからです。ウバユリの変種で、名前どおりにウバユリより大きいはずでも、なにせ自然物のこと、背丈も花も、何cmからがオオウバユリとは決められないようです。
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ただ、右の蕾状態を見るとウバユリより豊満体型であることは感じられるし、花数がウバユリより多いという説明にも頷けそうです。さらに東北地方遠征で遭遇したという状況証拠もあるわけで、めでたくウバユリ属の仲間を1種追加としておきます。

<ウバユリの過去記事・掲載順> ☆ 枯れかけの花 : 2007年8月16日 ☆ 盛りの花・できかけの実 : 2010年8月7日 ☆ 若葉・枯れ残った茎 : 2012年4月5日 ☆ 実と種 : 2014年11月20日 ☆ 蕾から開花まで一覧 : 2019年7月26日 ☆ 朔果の割れるしくみ : 2021年1月13日

過去のきょう 2023 レックスベゴニア・エキゾチック・ペリドット 2022 セイヨウサンシュユ 2021 テキサスセージ(レウコフィルム) 2020 クロツグ 2019 ナギ 2018 ヤブマオとメヤブマオ 2017 カノコユリ 2016 ナタマメ 2015 ハエドクソウ 2014 ヨコグラノキ 2013 ホウキモロコシ 2012 シャシャンボ 2011 ニワウルシ(シンジュ) 2010 キバナミソハギ 2009 フサザクラ 2008 マツブサ 2007 オニユリ 2006 オトギリソウ 2005 ヒレハリソウ(コンフリー) 2004 ブルーファンフラワー(スカエボラ)

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7月24日(水) タカノツメ

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かつて、冬を迎えて黄変した葉がヤケに光沢を放つ姿を載せました。それはてっきり雨上がりで葉が濡れていたせいと思い込んでいたら、なんの、梅雨が明けた好天下でも、タカノツメの葉表はテロリとした輝きを湛えているのでした。
そして、左側に嵌め込んだのはシワシワの樹皮を持つ側枝です。上述の黄葉の記事では、タカノツメの冬芽を見るつもりで小枝も載せていて、そこではやはり同じように縦方向に縮めて萎ませたような皺を確認することができます。
季節がまるまる反転している疎林のなかで、いかにもタカノツメらしい二つの特徴をおさらい::::と言うのはやや虚勢で、へえ、そうなんだと認識できました。

過去のきょう 2023 レモンティーツリー(レプトスペルムム・ペテルソニイ) 2022 オオボウシバナ 2021 ルリトウワタ(オキシペタルム) 2020 サスマタモウセンゴケ 2019 ラシャカキグサ 2018 タイワンウリノキ(シナウリノキ) 2017 タマアジサイ 2016 ガマズミ 2015 ヤノネボンテンカ(タカサゴフヨウ) 2014 オニユリ 2013 ナンキンハゼ 2012 キリンソウ 2011 シオデ 2010 ショクダイオオコンニャク 2009 コクサギ 2008 ホテイアオイ 2007 ソバナ 2006 ツキヌキニンドウ 2005 ニワウメ 2004 ルリヤナギ

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7月23日(火) オオハンゲ

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花序のつくりは仲間のカラスビシャクとそっくりでも、葉がずっと大型だし、広い縁取りのある葉脈が特徴です。前の掲載ではその肉穂部が閉じたままだったのに、撮影が3週間ほども遅いと、苞が簡単に開けて、中身を確かめることができました。
つくりはそっくりと上述したものの、色が黒みを帯びるカラスビシャクの付属体と違い、オオハンゲのそれは緑のまま枯れてしまうことがわかります。また、肉穂全体のサイズはカラスビシャクの1.5~2倍あって堂々(注)としています。
英名をGreen dragonというそうで、あちらの人々も「全体、グリーンだよなぁ」「でかくて、ドラゴンみたいだねぇ」と感じるらしいと知って、頬が緩みました。

<補注> ついでにムカゴも大きかったらいいなと探したのに、見つかりませんでした。なんと残念なことに、オオハンゲはムカゴをつけないのでした。

過去のきょう 2023 リンゴバショウ 2022 カギカズラ 2021 アアソウカイ(パキポディウム・ゲアイー) 2020 セイヨウニンジンボク 2019 キダチタバコ 2018 ウスベニタチアオイ(ビロードアオイ、マーシュマロウ) 2017 デンジソウ 2016 キジョラン 2015 コマクサ 2014 マンリョウ 2013 シロギキョウ 2012 コマツナギ 2011 ガクアジサイ 2010 オオアワダチソウ 2009 エゴノキ 2008 クリ 2007 ミョウガ 2006 キヌタソウ 2005 ヒヨドリジョウゴ 2004 タブノキ

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7月22日(月) ベニバスモモ(ベニスモモ)

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幹生花(果)という植物学用語があって、ほかに端的には言いようがありません。このブログで最初にこの言葉を使ったのはカカオの記事(2009年)でした。
そして、アメダマノキの記事(2022年)では、当ブログに収録した幹生する植物を並べています。ところがそれらの名前にベニバスモモはありません。もちろんベニバスモモの特性を調べても「幹生する」という表現は見つからない(注)はずです。
ただ、桜の木でも幹に花が咲くことは珍しくなく、広義のサクラ属ではこういう現象があり得るのだと思います。高い枝には届かない動物に種子を運んでもらうため、とか、枝を媒介させずに効率よく結実する、とか、メリットがあるようです。
ただ、サクラ属に限れば、ふつうに枝成りする主流派の目を盗むかのように幹の下方でこうしているわけで、ズルなんだかお茶目なんだか、ビミョウです。

<補注> 写真の実と幹の間には小さな枝があり、この状態を幹生とは言えないのかと思います。あくまで個人的に「あ、幹に実が!」とうれしかった気持ちの記録です。

過去のきょう 2023 ヘーベ 2022 ベニコウホネ 2021 ハナアロエ(ブルビネ) 2020 アデニウム・オベスム・ドワーフ(砂漠のバラ) 2019 マムシグサ 2018 ベニヒ 2017 イヌエンジュ 2016 エノキウツギ(ウオトリギ) 2015 カシワ 2014 メタカラコウ 2013 センジュラン 2012 キクイモモドキ(八重) 2011 ホシオモト(パイナップルリリー) 2010 ヒメヤブラン 2009 イヌヌマトラノオ 2008 オオダイコンソウ 2007 ヤブカラシ 2006 クリナム・パウエリー 2005 イヌゴマ 2004 ノブドウ

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7月21日(日) カンガレイ

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折々に目立った草木を無作為に取り上げるという日記なので、特定の植物についての知識をまとめておくことにはとても不向きです。きょうのカンガレイのように通算7回目の登場(↓)ともなると、リンク機能のありがたみに最敬礼です。
そして暦的に見直したら、これが最も早い季節の姿でした。そう思って眺めるからか、丈がとても短くて新鮮です。かつ、小穂の形が変です。砲弾型に先が尖っているはずなのに、遠間で眺めるとそこが四角です。まるで先端が切り落とされたみたいです。
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グッと寄ってみたら、それは雌シベ(柱頭)が噴水のように湧いているためでした。花は雌性が先行するので、いまの季節に撮影できて幸運でした。雌シベは3裂することから、小穂1個にはたくさんの花が寄り集まっているとわかります。
おっと、雄シベの葯もこぼれ始めています。そして、その雌雄合体の成果をまだ見ていないことに気づきました。8回目のカンガレイ登場はどうやら10月ごろ、小穂から黒い実をほじくり出せたシーンになりそう(なってほしい)です。

<過去掲載のカンガレイ記事・暦順>8月5日 : 全体の姿 ☆ 8月12日 : 全体の姿 ☆ 8月19日 : 全体の姿(サンカクイと比較) ☆ 8月20日 : 小穂、茎、苞葉 ☆ 9月19日 : 雌シベ、雄シベ、茎と苞葉との継ぎ目 ☆ 12月2日 : 冬枯れの様子

過去のきょう 2023 ササゲ(ジュウロクササゲ) 2022 オオバアサガラ 2021 ニシキモクレン 2020 ナンヨウザクラ 2019 コフジウツギ 2018 ミシマサイコ 2017 ワレモコウ 2016 タマザキクサフジ(ツルレンゲ、クラウンベッチ) 2015 マルバアサガオ 2014 オガタマノキ 2013 センコウハナビ(ハマエンサス、ハマエンサス・ムルティフロールス) 2012 ノウゼンカズラ 2011 サンタンカ(イクソラ・シネンシス) 2010 ジャノヒゲ 2009 エンジュ 2008 チングルマ 2007 ツボサンゴ・パレスパープル 2006 シロネ 2005 ハナヅルソウ 2004 アカメガシワ

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7月20日(土) ヘラノキ

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ヘラノキにまとわりついて離れないヒラヒラさん…ヘラとヒラ、きょうの主題です。思いついた言葉遊びを棄てられない=真性オヤジ症候群です。
されど、暑いさなか、蜜を求めて離れないキチョウと、それを飽きもせず撮り続ける爺さま、どっちもどっち、なかなかのしつこさ勝負でした。
結果、ヘラノキの花は虫媒だったことを確認できました。あ、自分でこの花を舐めてみることを忘れました。高すぎて、ジャンプしても花穂には届かなかったよなぁ、と情けない言い訳をするこの狡さは真性イソップ症候群でしょうか。

過去のきょう 2023 ミチノクナシ 2022 ユウスゲ 2021 ニゲラ(クロタネソウ) 2020 ブラッシア(スパイダーオーキッド) 2019 イセハナビ 2018 ツルアジサイ 2017 キリ 2016 チャボガヤ 2015 アオギリ 2014 ヤマシャクヤク 2013 ムラサキシキブ 2012 フシグロセンノウ 2011 キダチルリソウ(ヘリオトロープ) 2010 クヌギ 2009 スジギボウシ 2008 ゴウソ 2007 シダルケア 2006 ナンキンマメ(ラッカセイ) 2005 セイヨウハッカ 2004 サツマイモ

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7月19日(金) コレオプシス・ロセア

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群れなして咲いてはいても散漫な印象です。糸状で色も薄い葉、スリムでまっすぐな花茎、散漫なつき方の花びらの三要素が相和して醸す空疎感です。
北米がお里であり、Pink Tickseedと俗称される多年草です。チックシード(硬い種)はキンケイギク属(↓)を指し、そのピンク版というわけです。
秋まで長く咲き、かつ病気や害虫に強いという美点があるので、このロセアを元にして園芸種が作られています。そのなかには「アメリカンドリーム」という大仰な名前のものもあって、資料写真では驚くほど派手な変身ぶりも見られます。

<既収録のキンケイギク属・和名50音順>イトバハルシャギク ☆ オオキンケイギク ☆ キンケイギク ☆ コレオプシス・ソランナ ☆ ハルシャギク

過去のきょう 2023 マイアンテムム・ステッラツム 2022 タイワンコマツナギ 2021 ゼノビア・プルベルレンタ(スズランノキ) 2020 オオバヤドリノボタン(メディニラ・マグニフィカ) 2019 アオギリ 2018 ウワバミソウ 2017 トモエソウ 2016 アカバナルリハコベ 2015 ジュウモンジシダ 2014 ヒペリクム・ヒドコート 2013 アマチャヅル(雄花) 2012 ボタンクサギ 2011 ヨロイグサ 2010 チチコグサ 2009 メハジキ 2008 オオツヅラフジ 2007 チゴザサ 2006 ベニクロバナキハギ(ヤクシマハギ) 2005 コバギボウシ(斑入り種) 2004 ヒメヒオウギズイセンとミズヒキ

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7月18日(木) マルスグリ

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別名がいくつかあって、そのなかで親しみがあるのはグースベリーです。鵞鳥(がちょう=goose)料理にこの実で酸味付けをするのがその名の由来です。
フサスグリとは違い、こうして枝に1個1個ぶら下がります。もしこれで真っ赤な実だったら「ラディッシュって木にできる?」と勘違いする人が出そうです。
その実についたとんがりはあと少しすれば枯れるのに、枝についた刺は威力が衰えることはありません。自宅栽培するときは早めにカットすべきでしょう。

<このブログに収録済みのスグリ属・掲載順> ☆ ヤブサンザシ(雄花=雄株雌花=雌株) ☆ フサスグリ ☆ ザリコミ

過去のきょう 2023 ヤクシマアジサイ 2022 カサブランカ 2021 ルリアザミ(ムラサキルーシャン、ケントラテルム) 2020 オミナエシ 2019 ルイヨウボタン 2018 カヤ 2017 カジノキ 2016 イヌカラマツ 2015 イヌザクラ 2014 タイマツバナ 2013 ウワミズザクラ 2012 スズカケソウ 2011 ニンジンボク 2010 ゴボウ 2009 マツカゼソウ 2008 アオツヅラフジ 2007 シオデ 2006 ノハナショウブ 2005 ヤツガシラ 2004 ジュズダマ

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7月17日(水) オオグルマ

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三度目の登場ともなると、少し酔狂な注目点が出てきます。葉裏がこんなに表情豊かな草本を初めて意識しました。ムキッとしている葉裏ならヤツガシラが印象深くても、オオグルマは脈の隆起度が激しいだけでなく、その繊細さも感動的です。
そして、脈の走り方にまるで規則性がないことに惚れました。中肋から鋸歯へと脈が流れるとき、ふつうはなんらかのルールがあるのに、どんなに見つめても考えても、「いいんだよ、みんな、行きたい方向に行けよ」という声しか聞こえません。
さらに、葉が茎を抱く様子も、オグルマが左右均等なのに比べると、オオグルマのそこはいかにもいい加減です。「巻きゃあいいんだろ、巻きゃあ」という態度に満ちあふれていて、こういう横紙破りも草木に限れば笑って見ていられます。

過去のきょう 2023 テンニンギク 2022 オキシデンドルム・アーボレウム(スズランノキ) 2021 トウキョウチクトウ 2020 ピンポンノキ 2019 サンゴジュ 2018 ナガバハエドクソウ 2017 オオバギボウシ 2016 シソ(アカジソ、アオジソ) 2015 ヒエンソウ 2014 サワグルミ 2013 ミソハギ 2012 コンロンカ 2011 エンビセンノウ 2010 ヤナギハナガサ 2009 マサキ 2008 ヤナギラン 2007 チダケサシ 2006 トモエソウ 2005 クサキョウチクトウ(オイランソウ) 2004 ヤブツバキ

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7月16日(火) ステノカルプス・シヌアツス

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大きな木の高みに「変なモノ」を見つけました。森のお姫様の冠にしては数がずいぶん多すぎます。記憶を辿ると、ヤマグルマの花に近い感じでしょうか。
ところが、これは素人の記憶で追いつく代物ではなくて、分類的にはヤマグルマとは縁もゆかりもないステノカルプス・シヌアツスという木でした。オーストラリアあたりに産し、英名・Firewheel treeです。火の車…和名には絶対に不向きです。
夏の終わりごろ、この冠が赤く燃え上がるようで、今回見たのはその前段階、つまり蕾状態でした。お互いにこの夏を乗り切り、無事に再会(注)できますように…。

<補注> 2カ月後、Firewheelは不完全燃焼でした。(2024年9月16日

過去のきょう 2023 ウィローオーク 2022 コウヤカミツレ 2021 コチョウラン 2020 パキポディウム・エブレネウム 2019 イタリアンパセリ 2018 テンダイウヤク 2017 ウバメガシ 2016 トウジュロ 2015 クリ 2014 シモツケソウ 2013 アオギリ 2012 ワラビ 2011 ヒトツバカエデ 2010 ヒマラヤヤマボウシ 2009 ヤブマオ 2008 モクゲンジ 2007 セイヨウフウチョウソウ(クレオメ) 2006 アサザ 2005 ヒメヒオウギズイセン 2004 リアトリス

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7月15日(月) セイヨウトラノオ(ベロニカ・ロンギフローラ)

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たくさん咲いているとうれしいという幼稚な嗜好が丸出しです。前の掲載とは構図的になんら変化がなく、なぜ再掲するのか、理由付けが必要です。
はい、それは今回の写真の質感が、前よりもずっと本物に近かったからです。面白いことに、露光時間は前回1/80、今回1/800と10倍の開きがあります。長く露光しても冴えない色合いVSわりと短め露光のくせにじつにイキイキ質感です。
自分はほとんど絞り優先オートで撮っているので、この写り具合の差はカメラが勝手にやってくれたもの、もっと言えばお天道さまのご機嫌次第です。つまりは、日照の強い日に日向を選んで歩け・歩けとなるわけで、このごろの夏は鬼門です。

過去のきょう 2023 アナケイリウム・ラジアツム 2022 ネッタイスズラン 2021 グレビレア・プーリンダスプレンダー 2020 マダガスカルジャスミン 2019 アオカズラ 2018 オウゴンオニユリ 2017 斑入りバナナ(ムサ・アエアエ) 2016 アレチハナガサ 2015 バイカモ(ミシマバイカモ) 2014 キンシバイ 2013 ホウキモロコシ 2012 ワイヤープランツ 2011 コエンドロ(コリアンダー) 2010 アーティチョーク(チョウセンアザミ) 2009 イヌビワ 2008 ムラサキバレンギク 2007 イチジク 2006 ヒマワリ 2005 アキノエノコログサ 2004 ユリ(品種不詳・カノコユリ系)

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7月14日(日) ヒロハザミア(ザミア・フルフラセア)

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前にこのザミアを取り上げたときよりもさらに大きな株に遭遇しました。写真で巨大感を出せた気はしても、念のため、高さは2m、幅は3mオーバーでした。
かつ、光線具合が前の撮影場所より恵まれ、優しい雰囲気を出せました。このザミアの特徴である葉先の不規則なな欠刻もよくわかるし、ヒロハザミアという和名にふさわしく、ふくよかなフォルムの葉も確認できます。
残念だったのは株下に生じるらしい球花(雌雄異株なので、球花に雌性・雄性あり)が見つからなかったことです。もし雌株なら、ソテツと同じく朱色の「卵」も生む(笑)らしくて、株の成熟度は申し分ないので、またの楽しみとしておきましょう。

過去のきょう 2023 グネモンノキ 2022 ミゾカクシ 2021 カサブランカ 2020 ムラサキバレンギク 2019 オオグルマ 2018 ランダイスギ 2017 ユクノキ 2016 セイヨウヤブイチゴ(ブラックベリー) 2015 ユリノキ 2014 シマススキ 2013 クロモジ 2012 トチバニンジン 2011 ノウゼンカズラ 2010 ベニバスモモ(ベニスモモ) 2009 ミヤギノハギ 2008 ジュンサイ 2007 チョウセンシラベ・シルバーロック 2006 カランコエ 2005 マルバマンネングサ 2004 ホテイアオイ

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7月13日(土) ダイギンリュウ

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背丈が50~60cmあり、クネクネと身を捩りながら生長します。姿が妙な仲間にことかかないEuphorbia(トウダイグサ属・↓)のなかでもかなりの変態度です。
園芸的にはペデランサスと呼ばれることが多くても、これは旧属名で、いま現在の学名はEuphorbia tithymaloides 'Cucullatus'です。つまりE. tithymaloides(和名:ムカデタイゲキ、通称:銀竜)の園芸種・ククラツス(フードを持つの意)です。
そのフードとは、どうやら花の形を言っているようで、花をつけるのが楽しみです。かつ、母種と違うのは株下の葉が赤みを帯びることで、これは老化の一過程(発色後は茎から脱落)ではあっても、緑一色ではない賑やかさがあります。

<変態度高めのEuphorbia 6傑・和名50音順>キリンカン ☆ ギンツノサンゴ ☆ サイウンカク ☆ チュウテンカク ☆ ミドリサンゴ ☆ ユーフォルビア・ラクテア・クリスタタ(春峰)

過去のきょう 2023 コチレドン・福娘 2022 アメリカシモツケ 2021 シダレケヤキ 2020 オマツリライトノキ 2019 ホソバイヌビワ 2018 アマ 2017 コシロノセンダングサ 2016 ホタルイ 2015 ハラン 2014 アオジクユズリハ(イヌユズリハ) 2013 ハス(古代蓮) 2012 シマトネリコ 2011 ハナハッカ(オレガノ) 2010 タマゴタケ 2009 タカトウダイ 2008 チョウセンニンジン(オタネニンジン) 2007 セイヨウニンジンボク 2006 ヒエンソウ 2005 ヘメロカリス 2004 ヘクソカズラ

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7月12日(金) イジュ

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イジュの花を見て喜んだのは去年の8月でした。大温室での出会いで、とりあえず勉強したなぁという「コレクター的達成感」が湧いたのを覚えています。
対するに、今度は志木の街なかです。花後、イジュがこんな実をつけるとは思いもしませんでした。まるでイヌビワを思わせる形ではあっても、これから黒紫色に熟したあとは5つに割れて種を落とす自然散布型の蒴果だそうです。
240712marapr
じつはこの木を見つけたのは寒さ厳しい2月でした。常緑性であることはわかっても葉がやや苦しげで、温暖地の木であろうとは感じました。そんなくたびれた葉が、3月後半になると一気に若葉と入れ替わりました。赤みを帯びて束生する姿が独特です。
240712jun
そして、志木の露地での開花は6月でした。まん丸の蕾が順々に開き、10日ほどは厚みのある純白の花を楽しめました。そしてそれがボタボタと落ちます。
そんな観察プロセスのなかで、イジュだろうかヒメツバキだろうかわからず悩んでいたら、ついにオーナーさんに遇えたのです。ごくあっさり「イジュですよ」とのお答えをいただき、あらぁ、ヒメツバキではなかったかと少し落胆したのは内緒です。

過去のきょう 2023 マメナシ 2022 ルリタマアザミ 2021 ピペル・シルバチクム 2020 トビシマカンゾウとゼンテイカ(ニッコウキスゲ) 2019 ハリガネワラビ 2018 ヘツカニガキ 2017 アカガシワ 2016 ナワシロイチゴ 2015 アカメガシワ 2014 ペンステモン 2013 ハナゾノツクバネウツギ 2012 ハンゲショウ 2011 ヘラノキ 2010 ネジバナ 2009 ムラサキクンシラン(アガパンサス) 2008 キブシ 2007 ヘリアンサス・アトロルベンス 2006 カラスビシャク 2005 ヤブミョウガ 2004 アメリカフヨウ

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7月11日(木) レオノチス・ネペチフォリア

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久しぶりにカエンキセワタを見るなぁ…と最初は思ったのです。ただ、なんか変だなぁとも感じました。同じような、違うような、すっきりしないまま、取りあえず撮影です。
帰ってきて調べると、やはり別人でした。Leonotis(カエンキセワタ属)ではあっても、種小名がnepetifolia、つまりNepeta(イヌハッカ属)に似た葉が特徴というわけです。そうと知ってあらためてカエンキセワタの葉を見ると、あれはヘラ型でした。
対するにこちらはサジ型です。その葉が厚手で硬質(注1)です。また、茎がガッシリと骨っぽく、はっきり三つ叉に分かれる枝からは人工的な造形美を感じます。
立派な和名を持つカエンキセワタと違い、こちらは学名そのままで呼ぶしかない(注2)ようです。Christmas candlestickという英名を流用する手があっても、少し長くて発音しにくくて、同じ面倒をするならアカデミックさを感じられる方にしておきます。

<補注1> じつはこれがネペチフォリアでいいのか、とても迷っています。問題はこの分厚くて鋸歯のない葉で、参考ページに見る葉はまさに種小名どおりNepetaの葉を思わせる(厚みはなく、鋸歯あり)のです。
ただ、nepetifoliaでなければなんなのかがわかりません。Leonotisには20種ほどのバリエーションがあるとはわかっても、その参考画像が得られないのです。もう少し情報量が増えたころ、「間違いでした」とやることを覚悟の掲載です。
<補注2> タマザキメハジキ(珠咲目弾)という和名がついているようではあります。

過去のきょう 2023 ハナスゲ 2022 アメイシャ 2021 エノキ 2020 ハイビスカス(ブッソウゲ) 2019 ツガ 2018 シナノアキギリ 2017 ノカラマツ 2016 マヤラン 2015 キソウテンガイ(サバクオモト、ウェルウィッチア) 2014 ムクゲ(白花笠) 2013 カラムシ(雄花) 2012 スモモ 2011 クサスギカズラ 2010 ギンバイソウ 2009 コバギボウシ 2008 イランイランノキ 2007 ラムズイヤー 2006 ゴシキドクダミ 2005 アガパンサス 2004 カラスウリ

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7月10日(水) ミナヅキ

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前回登場時よりは花の鮮度が勝っています。ピントを当てた花房はまだ咲ききってはいないし、画面左端には蕾状態の房も見えています。
こんな状態と比べると、4年前、旧暦なら水無月の真んなかだから被写体の鮮度に問題なしとしたのはかなりの強弁に思えてきました。カシワバアジサイではあるまいし、花穂はやはりシャッキリと空を向いている方が美しいと感じます。
加齢というのは地球の重力に負ける過程だそうで、鏡に映る己が姿とミナヅキの枝を見比べながら、ちょっとだけヒップアップ体操など試みる、諦めの悪い人です。

過去のきょう 2023 ハナエンジュ 2022 タンジン 2021 クローバー・ティントヴェール 2020 ニンニク 2019 オオフサモ 2018 ヒイラギ 2017 つがる(セイヨウリンゴ) 2016 シキザキホソバアカシア 2015 アデニウム・アラビカム(砂漠のバラ) 2014 アンゲロニア 2013 ナンテン 2012 クマツヅラ 2011 ノムラカエデ 2010 ヤハズアジサイ 2009 アブラチャン 2008 カラスビシャク 2007 カラタチバナ 2006 タイマツバナ 2005 サルスベリ 2004 メマツヨイグサ

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7月9日(火) グロリオサ

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知り合いがグロリオサを植えてくれて、おかげでジトッと見入ることができました。それで気づいたのが雌シベのひん曲がりです。付け根で直角にグイッと、金輪際まっすぐになんかのびるものか!という強い意思が感じられます。
これはノカンゾウオオバギボウシと同じく、自家受粉を避ける仕掛けでしょう。もし花柱が素直にのびてしまえば、俯いて咲く花の特性から、自分の葯からこぼれる花粉にまみれることになります。ノカンゾウのように横向きに咲くタイプなら、こうまで根性がひねくれる必要はなかっただろうに…と同情してしまいます。

<補注> さも大発見のように書いたものの、かつての写真は2枚ともにこのひん曲がり雌シベをとらえていました。「見えていても見えない」自分にゲンナリです。

過去のきょう 2023 ゲッカコウ(チューベローズ、オランダズイセン) 2022 ギンヨウジュ(レウカデンドロン) 2021 ハシバミ 2020 リョウブ 2019 ダイダイ 2018 ヒゴタイ 2017 クマツヅラ 2016 ヤブニンジン 2015 ハマボッス 2014 アカガシ 2013 カラスビシャク 2012 ザクロ 2011 ラブパット(ギボウシ) 2010 タイトゴメ 2009 ニガウリ 2008 オオハンゲ 2007 グリーンローズ 2006 カラジューム 2005 ナンキンハゼ 2004 タイサンボク

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7月8日(月) ギョボク

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初めての草木に出会ったとき、たいていは「○○と似た雰囲気だな」とか、もっとわかりやすいときは「△△の仲間かな」とか、少ない知恵に照らし合わせます。
だがしかし、この木の前でははた衛門データベース、虚しく空回りでした。そして、悔しいことに、Googleレンズは楽々と候補写真をズラリ並べました。
もっとも、なかにクサギが混じっているのがご愛敬で、花びらが4枚(ギョボク)だろうと5枚(クサギ)だろうと気にはしていないみたいです。あるいは葉の姿とかそのつき方も、ギョボクは三出複葉で互生、クサギは単葉で対生…とまるっきり違うのに、そこの見分けは我関せずで一緒くたです。
へへへ、Googleレンズもそこまでかと思いかけたところで、ギョボクである可能性を示してくれたのはレンズさんであったことを思い出しました。敗北です。

過去のきょう 2023 セイナンツクバネウツギ 2022 レックスベゴニア・エスカルゴ 2021 スターチス(リモニウム) 2020 キンコウカ 2019 パプリカ 2018 アオキ(斑入りいろいろ) 2017 アメリカキササゲ 2016 ハマクサギ 2015 キンギンボク(ヒョウタンボク) 2014 アカバナシモツケソウ 2013 アメリカハナノキ 2012 ムラサキクンシラン(アガパンサス) 2011 イヌリンゴ 2010 ノヤマトンボ(オオバノトンボソウ) 2009 ヤブコウジ 2008 サンシュユ 2007 トリアシショウマ 2006 キュウリ 2005 トウネズミモチ 2004 ビヨウヤナギ

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7月7日(日) キキョウソウ

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ずいぶんと久しぶりに取り上げるキキョウソウです。その記事はと言えば、17年も前のわりにはしっかり勉強したようだし、写真に説明を書き込むことで「わかりやすさ」を目論んでいて、けっこう褒めてあげたい内容でした。
ところが、この帰化植物を特徴づける大切なことが一つ抜けていました。それは葉の説明で、キキョウソウの葉はまるで苞葉みたいに漏斗状なのです。もちろん、その漏斗の上には花が一つしか咲かないので苞ではなく、ふつうに「葉」なのです。
この「葉らしくない葉」の形態は学名にも述べられていて、種小名perfoliataは「葉中央部を茎が貫通したような葉」を意味します。同じ種小名を持つ植物として、このブログにはイシミカワキバナノツキヌキホトトギスを収録していて、その写真を見れば、言葉では理解しにくいこの特殊な葉のつき方が一目瞭然です。

過去のきょう 2023 ハナヤナギ(クフェア・ミクロペタラ) 2022 セイヨウハシバミ 2021 ビヨウヤナギ 2020 マタタビ 2019 イヌリンゴ(ヒメリンゴ) 2018 キツリフネ 2017 ベゴニア・ドレゲイ 2016 ハルパゴフィツム(ライオン殺し、悪魔の爪) 2015 スナビキソウ 2014 ザイフリボク(とジューンベリー) 2013 アマドコロ 2012 ゴマキ 2011 ヤマユリ 2010 タケニグサ 2009 トモエソウ 2008 サルビア・インディゴスパイア(ラベンダーセージ) 2007 シャシャンボ 2006 ナス 2005 チヂミザサ 2004 シャグマユリ

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7月6日(土) アカリファ・ウィルケシアナ

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かつて「花穂はついてはいても、あくまでオマケ、主役は葉」と断言してしまったことを後悔しての再掲です。あの季節からは半年のズレがあって、その間の変化過程はまったく不明ながら、花穂が白く煌めいているのに惹かれました。
さてこの半透明白色の毛状物体はなんだろうと考えて思い至ったのが、同属のベニヒモノキ(この属は花びらを持たず)です。あの花穂が束子(たわし)を思わせるのと同じで、つまり萼の先端が糸のように長くのびた結果と思えるのです。
やれやれ、生意気にもオマケと言い切った花穂がこんな難物とは恐れ入りました。端折った半年の間には、真っ赤な蕾から白い葯がこぼれるシーンもあるらしく、もう少し接写ができる被写体を探しながら、ほかの季節にも注目することにします。

過去のきょう 2023 イワヒゲ 2022 アメリカハンゲショウ 2021 ガルビネア 2020 ツタバキリカズラ 2019 ダリア(炎球) 2018 イヌガヤ 2017 ソテツ(雄株) 2016 カヤ 2015 ウメ 2014 バイケイソウ 2013 サルナシ 2012 サフィニア 2011 カジカエデ(オニモミジ) 2010 イワガラミ 2009 ノカンゾウ 2008 ボッグセージ(サルビア・ウリギノサ) 2007 ハクロバイ 2006 ヤマモモ 2005 リョウブ 2004 モミジアオイ

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7月5日(金) カッコウセンノウ

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ヨーロッパの牧草地に群生を作って「いた」多年草です。ただ、そういう長閑な環境が激減したいま、原産地では数を減らし、北米大陸が本拠となりつつあります。
嵌め込み写真に見るように、Silene(マンテマ属・注)特有の樽型の実をつけ、そこからのこぼれ種でどんどん殖えるのに、環境変化には勝てません。
さて、そんなガチンコ欧風の素性に似合わず、和名はやたらと風流です。これは種小名のflos-cuculiの直訳であって、flos=花、cuculi=郭公(ともにラテン語)、そしてセンノウはもちろんマンテマ属のことです。あののんびりした鳴き声はいまごろ響き渡るのだったか…と記憶をたぐり始めるほど、ずいぶんと聞かなくなりました。

<補注> 園芸方面ではシノニムのリクニス(Lychnis)で呼ばれています。

過去のきょう 2023 オカタイトゴメ 2022 ククイノキ 2021 ゴレンシ(スターフルーツ) 2020 ソランドラ・マキシマ・ワリモー 2019 ヤクシマオナガカエデ 2018 カリブラコア・ティペットダブル 2017 ゴマノハグサ 2016 リュウビンタイ 2015 タコノアシ 2014 タラノキ 2013 トチバニンジン 2012 イワガラミ 2011 ノハナショウブ 2010 ビジョザクラ(バーベナ) 2009 オオバギボウシ 2008 ケショウサルビア(ブルーサルビア) 2007 リシマキア・プンクタータ 2006 アフリカハマユウ(インドハマユウ) 2005 ノブドウ 2004 アサガオ

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7月4日(木) アガペテス・グランディフロラ

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擬態と言えばふつうは動物界のものであっても、植物もそれをすることは研究されているようです。この美しい縞模様がなにに似ているのか、まったく見当がつかなくて、したがって単なる思いつきながら、意味のない模様には見えません。
その花冠はまた、美しいだけでなく大きく(長さ5~6cm)て見応えがあります。鉢植えでいい(温度管理が困難か?)から手元に…と願う人は多いはずでも、ミャンマー産のこのツツジ科植物が市場に出回るのはまだまだ遠い先かと思います。
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枝の先についた白い塊は実のようで、この先の変化が楽しみです。また、萼には花外蜜腺があるのだそうで、だとすると花の模様は虫をおびき寄せるための擬態と考えたことが的外れになります。いやいや、蜜腺と装飾の二重集客装置というのは十分にありだろうと、はた衛門説はもはや暴走…いやいや迷走を始めました。

<補注> この植物(Agapetes grandiflora)をアガペテス・ブルマニカ(A. burmanica)とする場合もありますが、その種小名はシノニムです。

過去のきょう 2023 バイカアマチャ 2022 コレオプシス・ソランナ 2021 カレープラント 2020 ヒメイワダレソウ 2019 ヤマミズ 2018 レザーウッド(キリラ・ラセミフローラ) 2017 ヨーロッパキイチゴ(ラズベリー) 2016 ネグンドカエデ・エレガンス 2015 リョウブ 2014 ヒメアガパンサス(トリテレイア) 2013 クチナシ 2012 ナギナタソウ 2011 ニワフジ 2010 アカメガシワ 2009 クサフジ 2008 キミノニワトコ 2007 ヒツジグサ 2006 コンボルブルス 2005 ワルナスビ 2004 メタセコイア

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7月3日(水) イトバチョウジソウ

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花は見るからにチョウジソウなのに、この葉はなんとしたことでしょう。この両方の特徴をもとに調べると、Amsonia hubrichtiiという多年草に辿り着きました。
アメリカ中南部に産するアムソニア(チョウジソウ)の原種で、生息地の一つオクラホマでは絶滅危惧種とされています。それなのにどうして日本の庭に?と不思議でも、少ない個体を大事に栽培して観賞用とする動きもあるのだと言います。
hubrichtiiという種小名がなんともカタカナ化しにくくて困っていたら、宿根草販売で有名なお店が「イトバチョウジソウ」という簡明な名で呼んでくれていました。頼りのYListがまだこの種は取り上げていないので標準和名とは言いにくくても、この名はおそらく「事実上の標準和名」として浸透しそうな気がします。

<補注> 北米産のアムソニアとしては、先にヤナギチョウジソウ(A. tabernaemontana)を収録しています。

過去のきょう 2023 ベゴニア・ボウエラエ 2022 ラバンジン・ラベンダー 2021 シラカンバ 2020 コバノランタナ 2019 ヤブデマリ 2018 キツネノボタン 2017 ナガバハエドクソウ 2016 カレープラント 2015 シデシャジン 2014 ヨコグラノキ 2013 エゾミソハギ 2012 アマチャ 2011 シロザ 2010 ストケシア(ルリギク) 2009 タマザキクサフジ(ツルレンゲ、クラウンベッチ) 2008 ウツボグサ 2007 イタチハギ 2006 オカトラノオ 2005 ボタンクサギ 2004 ユズリハ

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7月2日(火) ヒゴロモコンロンカ

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緑の葉の上にきれいな色つきのパーツがあって、最近、危なくブログに恥を晒し置くところだったサルビア・ビリディスを思い出します。もっとも、あちらは脛丈ほどの草本、こちらは生長すれば2m超えの木本ですから間違えようがありません。
さらに、この真っ赤な薄片の先にこれもまた真っ赤な萼と蕾がついていることからして、これはあきらかに苞葉で、ビリディスとはまったく違う構造です。
惜しかったのは蕾がここまで膨らんでいたことで、これが星型に開く(5裂)と、芯が真っ赤で外側が真っ白という可愛らしい花を見ることができたはずです。
そんな開花状態もぜひ記録したいし、同属(Mussaenda・↓)の皆さんとの共通点ももっと確認したいし、今回の出会いを良いきっかけにしたい木です。

<既収録のMussaenda(コンロンカ属)・和名50音順>ウスギコンロンカ ☆ コンロンカ ☆ ムッサエンダ・フィリピカ・ドナアウロラ

過去のきょう 2023 キササゲ 2022 グロッバ・スコンブルギー(ダンシングガールジンジャー) 2021 ピンクカサブランカ 2020 ヤブカラシ 2019 クサレダマ 2018 カイノキ(ランシンボク) 2017 トウネズミモチ 2016 オウゴンマサキ 2015 サンゴシトウ(ヒシバデイゴ) 2014 オゼコウホネ 2013 カシワ 2012 ツノゲシ 2011 トウグミ 2010 ネムノキ 2009 キンコウカ 2008 モモノハギキョウ 2007 ヤマユリ 2006 テリハノイバラ 2005 ツルハナナス 2004 ノウゼンカズラ

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7月1日(月) ユーフォルビア・カメレオン

240701eu_dulcis_chameleon
名前のカメレオンは、体色をコロコロと変えるあの爬虫類のことです。気温や周囲の色に反応するのはいいとして、体調や気分でも色が変わると言います。
さてもこのユーフォルビアは気分で色を変えはしなくても、春の緑から秋の真っ赤まで、苞や葉の色が変わります。いまは夏色で、落ち着きのある銅葉です。
取り柄は葉色の変化だけでなく、草姿がこんもりまとまります。さらに冬の極寒に耐え、かつ夏にも強いとあっては、園芸筋で人気が出ないワケがありません。
あるいは乾燥に耐えるわりに過湿もある程度は平気で、さらに病害虫にも強いときては文句のつけようがないでしょう。ただ、「植物は花が命」みたいな人にこれを薦めたら絶対にクレームが来ます。ユーフォルビア好きが条件とまでは言わなくても、この属の花はすべからくシブチン路線と知っている人限定の品です。

過去のきょう 2023 カレクス・グライ 2022 サワシバ 2021 ピンクのアナベル(アジサイ) 2020 ヤライコウ(イェライシャン、トンキンカズラ) 2019 チャンチン 2018 ナンブソウ 2017 ツチグリ 2016 ガーベラ 2015 ムラサキクンシラン(アガパンサス) 2014 クマノミズキ 2013 オグルマ 2012 チシャノキ 2011 サジオモダカ 2010 オオバジャノヒゲ 2009 オニシモツケ 2008 マタタビ 2007 コナスビ 2006 アリアケカズラ 2005 ハルシャギク 2004 ザクロ

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