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6月27日(日) モッコク

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「これがモッコクの雌株です」と見得を切るつもりだったのに、17年があっという間に過ぎていました。光陰矢のごとし…いいえ、自分が忘れっぽいだけです。
そして、それだけの時間があればいい加減男も少しは成長して、モッコクのこれは単純に雌株と言えない(雌雄異株とは分類できない)ことも知りました。トチノキが雌雄混株というタイプであることを学んだのは11年前のことでした。植物はなかなか多様で、モッコクの場合は、雄花しかつけない雄株と、両性花を咲かす株(両性株という呼び方はなくて、牧野博士もこの区分はシカト)とがあるようです。
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というわけで、こちらはどうあがいても雌シベを突き出すことのない雄株です。長年見ていて、ずっとこうして黄色い葯しか見せません、もちろん実もつけません。

さて、話は両性花をつける株のことで、それがいったいどのくらいの率で存在するのか、今回は17年のブランクを埋めるべく、大調査を敢行しました。
というほどのことはなくて、近所の戸建て住宅団地を歩き回っただけです。そこは前の東京オリンピックのときに造成され、300区画ほどある大規模なものです。
時代はまだゆったりの昭和だったので、一つひとつの区画が大きめで、庭もしっかりあり、そこには「庭木の王」とか「三大庭木」とされる(された?)モッコクが植えられていることが多いのは前から気づいていました。そこで今回は失礼を承知で一軒一軒のお庭をチェックさせていただいたわけです。
その結果は、なんと26軒のお庭にモッコクがありました。なかには2本・3本と並んでいるお宅もあって、これはたしかに庭木の王だったとあらためて感動です。
ただ、そのなかで雌シベを突き出していた木はたった4本でした。さらにつけ加えると、まったく花が見つからない木が半分近くあったのです。
毎年咲くものではないらしいことは、昔の記事に寄せられたコメントでも教えていただいているし、自分で眺めている感覚でも、そんな気はします。つまり、両性花をつける株の率を正確に算出するのはけっこう根気のいる仕事みたいです。

そして、今回の大調査(笑)のオマケです。この団地にも代替わりの波は押し寄せていて、広い敷地は2~3区画に割られ、小綺麗な住宅が並んでもそこにはモッコクが似合う庭などあるわけがなく、せいぜい玄関横にシマトネリコがあるくらいです。
人の気配がしないお宅も少なからずありました。あと10年もすれば、この団地から昔の面影は根こそぎ失われることでしょう。たぶんそんな情けない景色は見なくて済むだろうというのが、ほんの少しだけ、気持ちの救いです。

<補注> モッコクと同じように「両性花をつける株と雄株」という性別タイプの木にヒトツバタゴがあります。

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