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4月30日(木) カキドオシ

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カキドオシの花の蜜を吸いに来る虫を待っていたら、これってビロードツリアブだったでしょうか…招かれざる客の来襲でした。花の下弁にある毛を、虫がどう避けて通るか見たかったのに、ホバリングしたまま、長い口吻でチューチューなんて、こらあ、ただ食い(飲み?)で逮捕しちゃうぞぉ!
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というワケで、毛の役目は相変わらず不明のまま、花の雌シベ(先が二つに割れた柱頭)と雄シベ(雌シベの奥に、縦に2個)を接写してみました。こうして見ると、下の唇弁の中央だけに毛がないのは、やはり雌シベ・雄シベ・雄シベと縦にまっすぐ進ませたいのだろうと確信が深まります。
あとはビロードツリアブのようなズルではなく、真面目に下唇弁に降りたってくれる虫さんが来てくれればいいわけで、気の長い話です。

<補注> 斑入りのカキドオシ2種を収録しました。(2022年4月16日

過去のきょう 2014 アズキナシ 2013 クワガタソウ 2012 フゲンゾウ(普賢象) 2011 ヤマナシ 2010 フゲンゾウ(普賢象) 2009 イヌスギナ 2008 ツリガネズイセン(ヒヤシンソイデス・ヒスパニカ) 2007 ゴウダソウ 2006 ウンゼンツツジ 2005 ナガミヒナゲシ 2004 トチノキ

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4月29日(水) ナツグミ

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ナツグミの花は、まだ開かない蕾状態だけを掲載したままでした。この1カ月で、かわいらしかった葉もすっかり大人びたし、硬い蕾も開きました。
ナツグミに関連したグミの花ではトウグミダイオウグミの花を収録しています。この二つはナツグミと近縁ではあっても、花がナツグミよりもっと黄色っぽくて、どれも同じように見えるグミの花(注1)でも、案外に違いがあるものだと感じ入ります。

<補注1> ナツグミ、トウグミ、ダイオウグミの3種以外に、グミ類の花は以下のものを収録しています。(和名50音順)
アキグミ ☆ ツルグミ ☆ ナワシログミ ☆ マルバグミ

<追録> グミの葉の上をさかんに這い回るテントウムシがかわいくて、肝心のナツグミの花(写真右端)はボケボケです。さて、このテントウムシの名前は?と調べたら、ナミテントウとやけにそっけないものでした。
ただし、名前のわりに「並み」ではないのは柄のバリエーションでした。斑紋の数はいろいろ、赤黒の反転もあり、さらに色合いが赤(オレンジ)と黒だけでなく黄色もありというハチャメチャ具合です。今後、わからないテントウムシを見たらナミテントウだと思えばいいか、とテキトー爺さんは考えてしまいました。(撮影:2017年4月23日)
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<補注2> 上の追記にはナミテントウのことだけ書いてしまったものの、じつはこの写真で肝心な点は葉表の鱗状毛(ポツポツの白点)です。これが星状毛だとナツグミの変種であるトウグミであり、両種を見分けるときの必見ポイントです。

過去のきょう 2014 クサタチバナ 2013 アリドオシ 2012 ヒメオドリコソウ 2011 ヒノキ 2010 メグスリノキ(雄花) 2009 マムシグサ 2008 エンレイソウ 2007 サルトリイバラ(サンキライ) 2006 ムサシアブミ 2005 モチツツジ 2004 イトザクラ(シダレザクラ)

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追加編 : バイカイカリソウ

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葉の形からイカリソウの仲間とは想像がついても、花にあのイカリ(碇)=距がありません。その分、花が小さくて、ほぼ指先サイズです。
バイカイカリソウには白い花色のほかに赤とか紫もある(注)ようで、どうせならバイカ(梅花)に見える色合いが良かったなぁ…というのは少し贅沢な不満です。

<補注> モモイロバイカイカリソウを収録しました。(2018年4月12日

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4月28日(火) タンチョウソウ(イワヤツデ)

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この姿を見てほしかったのよ!とタンチョウソウが自慢げです。まるでアスパラのような茎だけが地面からニョキッと出てきて、その先で花が開きかけているのを見たのは数年前の3月末(掲載は4月11日)のことでした。
あと1カ月待てば、こうして雌シベが丹頂鶴のオツムのように真っ赤になり、花茎は長くのびて鶴の首を思わせ、イワヤツデとも呼ばれる大きな葉は鶴が羽ばたく姿を彷彿とさせるというワケなのでした。
思えば1カ月という時間はかなりのもので、桜吹雪を楽しんだ柳瀬川の土手もいまは葉陰がうれしい緑道となりました。歌ではなくても、「川の流れのように」とめどなくときが流れていることを、あらためて思ったりしています。

<追録> さらに生長が進むと丹頂鶴の面影はすっかり薄れ、徒長した茎ばかりがやたらに目立つ姿になっていました。(撮影:2018年4月19日)
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<補注> 見た目が似ている仲間(ユキノシタ科・属違い)にイシワリソウがあります。(2019年4月23日

過去のきょう 2014 ナニワイバラ 2013 キンギョソウ(矮性種) 2012 イチヨウ(一葉) 2011 チョウセンレンギョウ 2010 つがる(セイヨウリンゴ) 2009 キンギンボク(ヒョウタンボク) 2008 ベニバスモモ(ベニスモモ) 2007 カントウタンポポ 2006 リュウキンカ 2005 モミジバフウ 2004 コデマリ&オオデマリ

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4月27日(月) セイシカ

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このセイシカ(聖紫花)というのは、原産地の石垣島や西表島でも稀少種だそうで、険しい山道で運良く出会えるかどうかというツツジのようです。
それを、現地にも行かず、険しい道もたどらず、植栽品をごく安直にパシャリとやってしまいました。温々とここに掲載するのはやや後ろめたいものがありはしても、そのことさえ口をぬぐってしまえば、聖なるうす紫の花の美しさは絶品です。

過去のきょう 2014 トキワナズナ(ヒナソウ、フーストニア) 2013 カイノキ 2012 ガザニア(クンショウギク) 2011 シナレンギョウ 2010 チドリノキ(雌花と雄花) 2009 ユズリハ 2008 ワサビ 2007 シロバナアケビ 2006 カブ 2005 ゲンゲ(レンゲソウ) 2004 ハナズオウ

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4月26日(日) クリンソウ

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咲き出しのころ(3月中旬)は「こんな自然環境に派手な色のサクラソウを持ち込むなんて、悪いマネをするヤツもいるもんだ!」と憤激していました。それが、訪れるたびに茎がグングンのびて、クリンソウだと気づいたのだから赤面します。
九輪というのは、お釈迦様の墓にかけられた傘が起源だそう(出典:Wikipedia)で、先祖や親を思う気持ちを表すにはふさわしい感じがします。
前に取り上げたのは、東北地方のやや標高のある場所のものだったので、今回よりずっと遅い時期のレポートでした。関東南部の平地基準でいくならば、いまごろがクリンソウの花の時期ということを記録しておきます。

過去のきょう 2014 オオデマリ 2013 ヤマブキソウ 2012 クヌギ 2011 ヤマシャクヤク 2010 サラサレンゲ 2009 トウグミ 2008 カラスムギ 2007 ルイヨウボタン 2006 イヌザクラ 2005 ホタルカズラ 2004 ムクロジ

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4月25日(土) チョウセンゴミシ

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絵手紙に描かれた真っ赤な実しか知らなかったチョウセンゴミシの実物をようやくとらえることができました。蔓は逞しく這い上がり、いかにも精力が強そうな葉が開き、その付け根にたくさんの花がぶら下がっていました。
もう花床がかなり充実しています。これが鈴なりの赤い実に変化するのでしょうから、ドラえもんに頼んで時間を早送りしてほしくなります。
そう言えば、絵手紙の記事で引き合いに出したマツブサは、花をまだ撮影できていないことを思い出しました。こういったレア物さんたちは、花と実だけを確認するのにもなかなか手間取るわけで、男の収集癖をやたらとくすぐってくれます。

<補注> ホンモノの実にようやく会えました。(2022年10月29日

過去のきょう 2014 アルブカ・スピラリス・フリズルシズル 2013 クロモジ 2012 タチツボスミレ 2011 ハルリンドウ 2010 ギョイコウ 2009 オオカナメモチ 2008 キンギョソウ 2007 オオバベニガシワ(雌花) 2006 オオバベニガシワ 2005 ベニドウダン 2004 キングプロテア

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4月24日(金) チョウジソウ(広義)

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特にAKB48が好きというワケでもないのに、かわいい花が群れて咲いているのを見ると単純にうれしくなります。おととい載せたツボスミレの群生に続き、チョウジソウがこれだけひしめき合っている景色も初めての出会いで、つい興奮です。
さて、これだけ群れ咲いているのに、風がそよいでも香りは流れて来ません。香料としての丁字(クローブ)はかなり強い香りがしますから、どうやらこの草の名前の丁字は香りではなく花の形に由来したものであることがわかりました。
ずいぶん前にこの花を載せたとき、「チョウジソウは香りがいいのだろうか」と未確認で終わっていた疑問がようやく解決です。

<補注・追録> チョウジソウとだけしていたタイトルを(広義)と修正しました。
この群生がじつは在来のチョウジソウではない疑惑が出てきて、当時のファイルから花と蕾がよく見える一枚を下に追加しました。嫌疑のポイントは次の点です。a. 萼がやや緑っぽい b. 茎が黒くない c. 花弁付け根(くびれ部分)の色がやや淡い
問題は、在来品でないとしたらなんなのか…で、外来のホソバチョウジソウではないかと考えています。(2019年6月6日2020年4月29日
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<再補注> 外来種の一つであるヤナギチョウジソウを確認したところ、在来種とはかなり感じが違うことがわかりました。そのため、ここに掲載した写真は在来種でほぼ間違いなく、「広義」としたのは余計な心配だったように思えてきました。
しかし、今後もう少し理解が進んで二度三度と訂正の羽目になるのも情けないので、本記事のタイトルからは当面の間「広義」をはずさないでおきます。(2021年5月17日

過去のきょう 2014 トネリコ 2013 ジュウニヒトエ 2012 コナラ 2011 ヤマブキソウ 2010 フサザクラ 2009 ゴマキ 2008 マルバアオダモ 2007 ヒメウズ 2006 シラユキゲシ 2005 モッコウバラ 2004 モウソウチク

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4月23日(木) ヒメカジイチゴ

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たった一つの真っ赤な実を見つけて、初めてヒメカジイチゴの存在を知ったのは3年前でした。まだご縁ができず、あの実の試食はできないままです(涙)。
しかし、この花を見ると、実がレアなことが理解できます。ふつうのカジイチゴに比べれば、花つきはグッと控えめだし、花びらは細くて華奢な感じです。
ただ、木そのものは姫というほどエレガントではなく、遠目にはカジイチゴと見分けがつかない大きさだったりします。けっこう樹勢があるようには思えるので、そのうち「ほら、食べてごらん」と気前のいい姫様(↓)に出会える気がします。

<追録> 気前のいい姫様には一向出会えないままに、またもや花の季節を迎えました。やはり控えめな花つきで、実を賞味できる可能性が低いことを覚悟させられました。(撮影:2020年3月25日)
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過去のきょう 2014 ヤブニンジン 2013 モミジバフウ 2012 ヤマエンゴサク 2011 ナガバモミジイチゴ 2010 チドリノキ(雄花) 2009 ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ) 2008 コモンセージ 2007 ウラシマソウ 2006 ヒメコウゾ(雌花) 2005 ライラック 2004 ムラサキツユクサ

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4月22日(水) ツボスミレ(ニョイスミレ)

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名前を貸した相手のタチツボスミレよりはグッと見かけにくいツボスミレが団体さんで野原を埋めていました。タチツボスミレと同じ有茎種ではあっても背はあまり高くならないので、まるで白いカーペットのように見えます。
先日はこれと同じ境遇のイヌノフグリ(身近な場所はオオイヌノフグリばかりになり、本来のイヌノフグリは稀少)もどうにか掲載できたし、こうして名前的な「ご本家」が元気にしているのを見るのは心弾むものです。
葉の形を仏具の一つ(如意)に見立てたニョイスミレという別名がありはしても、それほど特殊な葉形には見えなくて困ります。というより、どこの宗派で使う道具なのかわからないし、お寺さんが縁遠くなった現代ではほぼ「死語」に思えます。
もっとも、坪庭なんていう優雅なスペースも一般家庭で見ることは稀でしょうから、どうもこのスミレさん、時勢に合わない名前ばかりをもらったものです。

過去のきょう 2014 フジモドキ(チョウジザクラ、サツマフジ) 2013 オドリコソウ 2012 オウゴンカシワ 2011 トキワマンサク 2010 ウコン(鬱金桜) 2009 ゲッケイジュ 2008 ムベ 2007 オキナグサ 2006 ブルーベリー 2005 サクラソウ 2004 ナシ

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4月21日(火) ウグイスカグラ

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葉の赤いフチ取りがかわいくて撮りました。花はそろそろ終局段階となり、さりとて実(左の枝先に見えている)はまだ膨らまず、どっちつかずに思っていたこれまでだと取り上げなかったであろうシーンです。
しかし、花と前後して展開した若葉が、これだけ生長してもまだフチに赤みを残していることには今年初めて気づきました。これなら、フチベニカグラなんていう別名があってもいいくらい、ちょっと目立つ特徴です。
夏にはこの色みが消えていたような記憶があるので、指にまとわりつくような柔らかな感触とともに、この時期だけのウグイスカグラの鑑賞ポイントです。

過去のきょう 2014 シロヤブケマン 2013 コナラ 2012 クッカバラ(フィロデンドロン・クッカバラ) 2011 アブラチャン 2010 チューリップ(突然変異) 2009 ハラン 2008 ニワトコ 2007 オーニソガラム 2006 ヤマグワ 2005 ニワトコ 2004 ムクロジ

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4月20日(月) カテンソウ

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8年後の宿題提出です。カテンソウの花を写したものの、茎の先で目立っていたのは雄花で、その下の葉腋にある雌花は見つけられないでいました。
接写レンズを使ったわりには細部がいまひとつでも、定規の1mmがこんなに大きく見えるサイズなのですから、自己採点で及第としておきます。雌シベ(柱頭)がどんな具合で、子房がどうなっているか…などは次の機会とします。
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そしてこちらは雌花と違って自己顕示欲丸出しの雄花です。前回掲載の株は雄花が白(緑)というちょっと珍しいタイプだったのに比べ、今回はノーマルの赤い蕾ですから、提出が遅くなった宿題におまけの回答も付け足した気分です。

<追録> カテンソウの群生(↓)を見ました。(撮影:2018年4月19日)
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過去のきょう 2014 ミツバアケビ 2013 アケボノセンノウ 2012 ワビスケ(紺侘助) 2011 ヤマコウバシ 2010 サネカズラ 2009 フゲンゾウ 2008 ヤマフジ・昭和紅 2007 ヒメフウロ 2006 タチイヌノフグリ 2005 カロライナジャスミン 2004 ナノハナ

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4月19日(日) トウゴクミツバツツジ

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ふつうのミツバツツジに東国と冠がつくので珍種かと思うと、関東圏ではそれほど珍しくなくて(自生品は稀でも)、近所の庭木がこれだったりします。
咲き出しが「ふつう」よりやや遅く、じつは二つの区別を知らないうちはミツバツツジというのはずいぶん花期が長いものだと思っていました。
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そんな赤面の歴史はさておき、開花時期は流動的で不確実なので、ほかの見分けポイントが不可欠です。それが雄シベの数で、東国(↑)は10本、「ふつう」は5本と、ものすごくハッキリした違いがあるのです。
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比較のために、2週間ほど前の「ふつう」(↑)を載せておきます。数が半分になった分、花糸がふてぶてしく太い気がします。しかし、図鑑にそんな記述は見あたらないので、これははた衛門の独断と偏見というヤツです。

<補注> サイゴクミツバツツジを収録しました。(2023年4月17日

過去のきょう 2014 ユキモチソウ 2013 ムレスズメ 2012 プリムラ・ブルガリス 2011 エイザンスミレ 2010 クスノキ 2009 フサザクラ 2008 トウモクレン 2007 マツバウンラン 2006 オニタビラコ 2005 ハナミズキ(アメリカヤマボウシ) 2004 ハウチワカエデ

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4月18日(土) イヌノフグリ

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過去に二度、「見ィつけた!」とやったのが間違い(正体=1回目:フラサバソウ 2回目:タチイヌノフグリ)だったので、おっかなびっくりの掲載です。
まず花のチェックです。上部葉腋につき、赤紫色の筋を持つ直径3~4mmの合弁花(図鑑類の要約)…よぉし、いい感じです。
次は葉を確認します。長さ6~10mmで毛が散生し、鋸歯は2~3(ときに4)対、葉柄は長さ3~7mm…はい、合ってる気がします。
そして全体の姿です。立ち気味にのびて10~25cmになり、茎の下部では葉が対生し、上部ではそれが互生…うん、条件を満たしています。
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ただ、絶対の決め手になるフグリちゃん(注1・2)がまだこんなショボさでした。またもやまったく違うなにかを写してぬか喜びしたものなのか、これからここがプックリ膨らみ始めるのか、期待と不安で胸が張り裂けそう(笑)です。
「せっかく会えたんだから、またおいでよ!」というフグリちゃんからのメッセージだと思い、来月もここに来てみることにします。

<補注1> このあと、記事の場所にあった稀少品は消滅していました。イヌノフグリの生命力が弱いのか、人間の欲が強いのか、いずれにせよ、せっかくの聖地は失われてしまいました。(2015年5月)
<補注2> 別の場所なので証明とは言いにくくても、立派なフグリを思うさま確認できました。(2022年5月10日

過去のきょう 2014 カシワ 2013 キケマン 2012 シダレヤナギ 2011 シラカシ 2010 コクサギ 2009 ハボタン 2008 シモクレン 2007 ホオノキ 2006 イロハモミジ 2005 ツルニチニチソウ 2004 モクレンとコブシ

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4月17日(金) リョウブ

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去年の実の房が残ったままなので、リョウブの木であることがわかります。また、枝にはふつうに樹皮があっても、幹の皮はまだらに剥けています。
そんなリョウブが若葉を萌え出させていました。リョウブ(令法)という名前の元になった、この木の大事なシンボルです。
花が咲くころには葉もやや硬くなって、あまり食欲をそそらなくても、いまの時期、親指の先ほどの葉は柔らかくて、そのままでも食べられます。わりと厚いので食べでがあり、ナマだとごく軽いエグ味があるものの、茹でればすぐに抜けます。
救荒食など考える必要もない時代がいいのか悪いのか、リョウブの炊き込みご飯などを味わいながら、じっくり考える必要があります。

<補注> この写真にも前年の実はかろうじて残っているものの、花の時期まで盛大に実をつけたままの木がありました。(2020年7月9日

過去のきょう 2014 キバナカタクリ 2013 オンツツジ 2012 ソラマメ 2011 ミツガシワ 2010 アズキナシ 2009 バッコヤナギ 2008 イスノキ 2007 ネギ 2006 エノキ 2005 アカメガシワ 2004 ハタザクラ

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4月16日(木) ゴウダソウ(ルナリア)

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ゴウダソウとの初の出会いはこの奇想天外な青い実(だけ)でした。そしてその実が銀色に輝くのを確かめ、次の年にはめでたく花を確認できました。
ただ、それらの写真は花は花、実は実…と、いかにもお勉強的なとらえ方でした。生きとし生けるものは、日々、次のステージへの変貌を続けているわけで、今回はその変化過程を一枚の絵に閉じ込めてみる試みです。
帰宅して思ったのは、花の子房部位をもっと詳しく見たいということです。変化過程などと偉そうなことを言っても、ゴウダソウの不思議はその一点に帰結することに現場で気づかなかったのは情けない限りです。
いやいや、できていないことを悔やむよりはできたことを喜ぶ方が明るく人生を過ごせそうです。きょうの写真のキャプションは、「ゴウダソウのなかにはオタマジャクシが泳いでいるんだよ!」としておきましょう。

<補注> ゴウダソウの真冬の姿を収録しました。(2018年1月6日
<追録> 本文中に書いた課題:花の子房部位がわかりました。それは花の筒部のなかにあり、雄シベの花糸に囲まれている(上位子房)のでした。わかってみれば当たり前というか、わりと単純なしかけです。(撮影:2018年4月22日)
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過去のきょう 2014 ササベザクラ 2013 チゴユリ 2012 コブクザクラ 2011 キクモモ 2010 ウラシマソウ 2009 ザゼンソウ 2008 アオキ 2007 カーネーション 2006 ヒメツルニチニチソウ(斑入り) 2005 ハタザクラ 2004 ハタザクラ

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4月15日(水) コンロンコク(崑崙黒)

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こういうドスのきいた色にはグラッとくるタチで、ツバキ類では過去に紺侘助を取り上げています。二つを比較すると、「黒」よりも「紺」の方の迫力が勝っているような気はしても、この崑崙黒は花の開きが大きい分、存在感があります。
また、崑崙を名乗る植物には例のコンロンカがありました。ただ、あの記事では「崑崙」を実在の崑崙山脈由来と思っていたフシがあります。しかし、本当はちょっと変わった作りのものとか、この椿のように色が特徴的なものを「崑崙」としたようです。
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実際、コンロンカは暑い土地のもので、決して高山植物ではありません。そのことから察するに、この崑崙黒も中国西部の高山で産するワケではなく、伝説上の崑崙山に咲くようだという形容なのでしょう。
例の西王母もこの崑崙山のご出身だということで、今夜あたりはこの不思議な世界へ夢の旅をしてみたいものです。

過去のきょう 2014 センダイタイゲキ 2013 ココノエ 2012 アネモネ 2011 ハタザクラ 2010 ハシバミ 2009 ハリエニシダ 2008 ウスバサイシン(ミドリウスバサイシン) 2007 ラショウモンカズラ 2006 ヤブタビラコ 2005 シロバナハナズオウ

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4月14日(火) カキドオシ

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カキドオシの花がめっきり目立つようになってきて、かわいいのでググッと寄ってみたらゲゲッと腰が引けました。なんじゃ、その毛は!
この下唇は吸密に訪れる昆虫の着地台になるはずなのに、せっかく来てくれた虫を拒むかのような毛の意味はどこにあるのでしょう。よく見ると、下唇の中央部には毛がありません。毛を嫌った虫がそこを通ると、背なかは真上の雌シベに接触するはずで、別のカキドオシの花粉を的確に柱頭に擦りつけてくれることが考えられます。
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そんな勝手な解釈を実証してくれる虫さんが来ないか、ちょっと待ってみたものの、そうそう虫の良い話はありませんでした。しかたなく視線を引いてみると、生長のエネルギーを内包した葉や茎もまた美しく輝いていました。
通り抜ける垣根などない野原でも、茎はグイグイとのび続けます。ちょうどいまの時期なら、この先端部分は食べることができ、おひたしとか天ぷらとかになって、晩酌のテーブルに春の野の味と香りを運び込んでくれます。

<補注> せっかく訪花昆虫を写せたのに、そやつは無銭飲食する輩でした。(2015年4月30日

過去のきょう 2014 ハシバミ 2013 コスミレ 2012 レンギョウ 2011 スギ 2010 サルトリイバラ(サンキライ・雌花) 2009 オオイワウチワ 2008 ハナノキ 2007 ムレスズメ 2006 コオニタビラコ 2005 アケビ

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4月13日(月) ニワザクラ

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ニワウメに比べてニワザクラがレア物だなどという先月の発言は取り消しです。このところ咲きっぷりが良くなって、近所の徘徊範囲に限っても4~5カ所でこの真っ白な植え込みを見ることができました。
春先は案外に気忙しくて散歩時間が減り気味で、しかもこの木は腰丈ほどに止まりがちで目に入りにくいという二つの要因が重なっていた気がします。
ニワザクラには、同じ八重でさらに賑やかなピンクの種類もあるようなのに、それにはまだ出会っていません。花がどうしてもこんなにワヤクチャとしているので、さらにここに色みを添えたいと思う人はさすがに少ないのでしょう。

過去のきょう 2014 レンプクソウ(ゴリンバナ) 2013 ミツバツツジ 2012 プリムラ・ジュリアン 2011 オウショウクン 2010 ニッコウネコノメ 2009 オオリキュウバイ 2008 タピアン 2007 ムラサキケマン 2006 スズメノテッポウ 2005 シロバナタンポポ

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4月12日(日) ヒイラギソウ

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前回の記事ではまるで日陰者のような書き方をしたので、その点を修正するのが今回の狙いです。日がな一日、燦々と陽光が照り付ける場所ならいざ知らず、このように数時間直射日光を受ける環境は平気のようです。
おかげで、前回のパッとしない写真をカバーすることができました。強い陰影の効果で彫りの深い葉の具合がわかるし、表面の短毛もはっきり見えます。
花の盛りにはまだ少し間があったものの、開いた花の色合いは前よりぐっと鮮やかに見えます。もう少し・もう少しと粘って歩いた末に出会ったヒイラギソウは、そろそろ傾きかけた強い陽射しのおかげで美人度がアップしていました。

過去のきょう 2014 クロモジ(雌花) 2013 ヒトリシズカ 2012 ユキヤナギ(ピンク) 2011 アマナ 2010 エンレイソウ 2009 ホソバアカメギ 2008 クレマチス・白万重(しろまんえ) 2007 プリムラ・マラコイデス 2006 オオベニウチワ(アンスリウム・アンドレアナム) 2005 ハナカイドウ

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4月11日(土) ジューンベリー

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待ちに待ってジューンベリーの花を写すことができました。蕾のころからこの小さな公園に通い、三度目でようやく真っ白な景色に会えました。
今年に限れば、ソメイヨシノが散ってドウダンが咲き始め、さらにハナミズキが開き始めたこの季節がジューンベリーの開花時期でした。
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在来のザイフリボクとの違いを学習中であって、花で見分けるときは花柱(雌シベ)に注目するようです。ここが1本で先が5裂しているのがジューンベリーで、5本が癒着状態(先だけ割れる)なのがザイフリボクというわけです。
このジューンベリーのそこが1本であることは確認できたものの、かつてザイフリボクとして取り上げた写真のそこは、接写が甘くてよく判別できません。ただ、こうして見比べてみると、ザイフリボクは十分に繁った葉を背景に開花しているのに対し、今回撮ったジューンベリーは葉がまだまったく展開していません。(注2)
ミクロ部分の検証ができないままだと負け惜しみっぽくはあっても、視野を大きく、全体をつかむことが大切だよと諭された気がします。

<補注1> ジューンベリーの和名はアメリカザイフリボクとされるのに対し、セイヨウザイフリボクというものもあるようで、二つの区別が判然としません。そのため、和名使用は保留し、大雑把に流通名のジューンベリーだけで表記しておきます。
<補注1-2> 上の補注(文字消し部分)では、「ジューンベリー」を洋物のザイフリボク属(Amelanchier)一般の呼称と誤解していました。正しくは、現地名:ジューンベリー(Juneberry=Amelanchier canadensis)の和名がアメリカザイフリボクであり、和洋二つの名前は一対のものです。
<補注2> 本文後半の文字消し部分は大きな間違いでした。掲載写真の段階でもすでに葉は展開し出しています。開花時にザイフリの葉が繁く、ジューンの葉が遅いと思ったのは、撮影時期によるところが大きいようです。(2020年4月8日

過去のきょう 2014 ヒキノカサ 2013 ミカイドウ 2012 ヤブレガサ 2011 アオキ 2010 ヒメウズ 2009 タンチョウソウ(イワヤツデ) 2008 八重咲き水仙・エルリッチャー 2007 イカリソウ 2006 ゲンゲ(レンゲソウ) 2005 ハタザクラ

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4月10日(金) ムサシアブミ

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隣の坊主が中学生になりまして、このくらいになると近所の大人など避ける子が多いのに、彼にはまだそんな衒いがありません。パソでお絵かきごっこなどさせると、アンパンマンを描いて喜んでいるのだから、単と言うか、純と言うか(笑)。
展葉前のムサシアブミを見て、つい其奴を思い出しました。幼い姿のなかに、噴き出さんばかりのエネルギーを秘めていて、美の極致を感じます。
そう言えば、追いかけっこで彼に簡単に負けたのは、もう2~3年も前のことだったでしょうか。呆然とするほどのショックでした。しかし、このムサシアブミの若苗に漲(みなぎ)る生命力を眼にすれば、それもやむなしと肯(がえ)んずるばかりです。

<過去掲載のムサシアブミ・季節順>2月1日 ☆ 2月10日 ☆ 4月29日 ☆ 8月9日 ☆ 11月18日 ☆ 12月27日

過去のきょう 2014 アカシデ 2013 タチイヌノフグリ 2012 ヒカゲツツジ 2011 スギナ(ツクシ) 2010 カタクリ 2009 ベニコブシ 2008 ライラックワンダー 2007 ジロボウエンゴサク 2006 ヤハズエンドウ 2005 アオキ

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4月9日(木) マロニエ(セイヨウトチノキ)

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落ちた実を拾って中身を見てみたいと、何度かこの木の下にたたずんだものです。しかし、フェンスの外(小学校の敷地のなかに立つ木なのです)に転がり出た実はついぞ見つからず、一粒恵んでくれる優しい先生も登場しませんでした。
悲嘆にくれたまま春を迎えてまたこの木の下を訪れ、まだ固い冬芽でも撮ろうと空に向けたレンズに写ったのは、パッカリと口を開けた実でした。手にすることは無理でも、ふつうのトチノキと変わりのない中身であることだけは見てとれます。

草木からはいろいろなことを教わるわけで、今回の教訓は「下がダメなら上がある」ということでしょうか。自分の視点を変えないと、せっかく見えているものも見えずに「ダメだ、ダメだ」と自滅してしまうことは、実生活でも少なからずありそうです。
さて、その視点を変えさせてくれた功労者の冬芽です。ふつうのトチノキほどテラテラとは輝いていないものの、ベニバナトチノキよりはべとつきが感じられ(注)て、実のイガとともに、これがマロニエであることを証明していました。

<補注> マロニエ(セイヨウトチノキ)の芽鱗は、見かけによらずベトつかないことがわかりました。(2016年3月8日

過去のきょう 2014 キジムシロ 2013 フウ 2012 スズメノヤリ 2011 ヒノキ 2010 イヌコリヤナギ 2009 ベニバナトキワマンサク 2008 ムラサキウンラン(ヒメキンギョソウ、リナリア) 2007 セイヨウジュウニヒトエ(アジュガ・レプタンス) 2006 チョウセンレンギョウ 2005 ドウダンツツジ

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番外編 : メインパソの静音化

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仕事ができないことを道具のせいにするのはヘボの常であって、このところどうもパソの音が耳について作業効率が落ちているような気がしていました。「よし、机周りを静かにして、仕事に集中できる環境を作ろう」と思い立ったのは、少しズッシリしてきた500円玉貯金(二度目)のコーヒー瓶も後押しになったのかもしれません。
パソの静音化と言えば水冷化とか無音電源とかが効果的であっても、それらはささやかな軍資金ではとても事足りるものではありません。そこで、今回はPCケースと電源をできるだけ静かなものに交換してみることにしました。
写真右がいままでのパソの外見で、左が新しい姿です。元のケース(KLX-800)は、60年代のマスタング(映画「男と女」では影の主役として活躍)を思わせて好きだったのに、こうして見るといかにも「音抜け」が良すぎます。
それに比べて、今度のSilencio 352(COOLERMASTER)は、まるでのっぺらぼうで愛想はゼロの風貌です。いわゆる窒息ケースで、内部スケスケ箇所はなく、ケースの内側にも遮音材が使われています。
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また、電源も容量こそ元と同じ400Wでも、80PLUS認証で消費電力も減り、ファンも12cmの静音タイプなので、回っていてもほとんど音がしません。
結果は大成功で、起動時だけCPUファンが音を立てても、すぐにほとんど回転音を意識しない静けさが訪れます。蓋を開けたまま使っているとき、ときどきハードディスクのシーク音が聞こえて、すわ、HDDが寿命か?とヒヤリとしたくらいです。あわててCrystal DiskInfoでチェックしてもまったく正常で、いままで聞こえなかった微少な音が聞こえるようになったのだから、今回の投資は大満足の結果でした。

ところがノーミスで終わらないのもまたヘボの常で、今回の大チョンボは内部レイアウトを確認しないまま新しいケースを買ってしまったことでした。新規投資はケースと電源だけにし、ほかはそっくり移行するだけと思っていたのに、新しいケースにマザーボードが入らないという驚愕の事態です!
これはSilencioが悪いのではなく、KLXが特殊なレイアウトで電源がケース前方にあったことが原因でした。このレイアウトのおかげで、ケースはミニタワーのくせにマザボはATXサイズがぎりぎり入るのです。そこで、前回の更新ではケースのなか目一杯のマザボを入れられたのに、今度のSilencioは電源を後ろに置くノーマルタイプ、つまりマザボもミニATXサイズでないと無理だったというわけです。
しかたなくマザボも新しいものにし、どうせならCPUもこれまでのSandy Bridgeから新世代のIvy Bridgeベースに換えて…とやっていたら、あらあら、いつの間にか当初予定の倍の費用になってしまいました。

そのほかにも、今回の更新劇にはここに一気には書き尽くせないゴタゴタがありまして、それも仔細に記録しておかないといかんとは思いはしても、それを並べてしまうとせっかくの静音化の喜びが半減しそうなので、とりあえずこの記事は「成功の記録」として気分良く終えておこうと思います。

<補注> CPUやマザボの力不足が目立ち始めたので、3年後、主要パーツを入れ替えました。(2018年7月16日

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4月8日(水) マルバスミレ

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大雑把というか思い切った名前で、このくらい丸い感じの葉を持つのはアオイスミレとかタチツボスミレとか、ほかにもあるでしょうよ!とブーイングです。ただ、スミレの種類はあまりに多くて、名付けも大変だったろうと同情はします。
また、葉の感じは似ていると言っても、上にあげた二つは有茎種なのにこのマルバスミレは無茎ですから、全体の感じが違って見えます。
白い花に入る紫の筋と、長くて太い距が花の特徴です。加えて、花の形も外周が丸々して(各花弁の突出が少ない)います。花も葉も丸いのだからマルマルスミレなんていう名前はどうだろう…というのを要らぬお節介と言います。

過去のきょう 2014 リキュウバイ 2013 ユーフォルビア・ラクテア 2012 カツラ(雌株) 2011 ワビスケ(数寄屋)  2010 ジロボウエンゴサク 2009 シロバナアケビ 2008 ヤマザクラ 2007 バイモ 2006 ムシクサ 2005 ヒサカキ

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4月7日(火) ロドレイア・ヘンリー

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遠くの町でロドレイアを見つけ、うれしくなりました。これまで二度載せたロドレイアは同じ木で、ウチの近くの大きな病院の庭にあるものでした。
それが、縁もゆかりもない住宅の玄関先でこうして咲いていたのです。かつての記事で「美しい木なので、これからは目にすることが増えるはず」とした予測がピタリと当たった(たった1本見つけて大げさ過ぎます・笑)のです。
もっとも、ロドレイアに関する自分の知識には進歩がなくて、日本に導入されている2種(Rhodoreia henryiとRhodoleia Championii)のうち、これがどちらなのか、さっぱりわかりません(注)。早くもっと普及してロドレイアマニアが増え、その見分け方を教えていただける日が来ることを待ち望んでいます。

<補注> 長い間、単に「ロドレイア」と逃げていたタイトルに「・ヘンリー」を追加しました。その理由は2009年の記事に記しています。(2022年3月)

過去のきょう 2014 センボンヤリ 2013 レンギョウ 2012 アオイスミレ 2011 ガマズミ 2010 アズマネザサ 2009 トキワイカリソウ(白花) 2008 ベニコブシ(ヒメシデコブシ) 2007 ノウルシ 2006 スモモ 2005 スギナ

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4月6日(月) ヤブカンゾウ

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金子みすゞの詩(芝草)に「京びな」という名前が登場します。題名の芝草はノシバだろうし、隣に並ぶ「かんざし草」はシロツメクサのことだろかと想像(注)はしながら、「京びな」にはまったく思い当たる植物がなくて困りました。
調べているうち、彼女が育った山口・長門地方ではヤブカンゾウをそう呼ぶらしいと知りました。たしかに、この時期の葉が重なる様子を十二単の襟元と見立てることは決して乱暴な話ではありません。
この襟元にあの暑苦しい花が乗ったら興ざめでも、春の野遊びで女の子が小さな花をそこに挿したら、ヤブカンゾウも一気にかわいいお人形です。

<補注> 金子みすゞが自分で「かんざし草」と呼んだものの正体はいくつか考えられ、シロツメクサはあくまではた衛門説です。候補のなかにはオヒシバをあげる人までいて、みすゞ本人も複数の植物を「かんざし草」と呼んだようです。
同じように「芝草」をストレートにノシバと考えたのははた衛門の短絡思考で、スズメノカタビラメヒシバなども「芝草」と呼ぶことができそうです。

過去のきょう 2014 ハナイカダ(雄株) 2013 グズマニア・ヒルダ 2012 シダレカツラ 2011 ラッパズイセン 2010 イチリンソウ 2009 カランコエ(八重) 2008 ノボロギク 2007 トウダイグサ 2006 センボンヤリ 2005 ボタン

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4月5日(日) ミシマザクラ

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静岡県東部の地名を冠した桜が多いことに触れたのは先日の天城吉野の記事であって、その口が渇かないうちに三島桜も見つけてしまいました。もちろん、この三島とは伊豆半島の付け根にある静岡県三島市のことです。
調べていくと、国立遺伝学研究所・竹中博士というキーワードに遭遇するわけで、先のワタシの驚きは桜界についての無知がもたらした所産なのでした。
桜博士と言えば、水上勉の小説のモデルとして名を知られる笹部先生を思い起こします。あちらがあくまで一私人を通し、自分の名を冠した桜を世に残すなど、いかにも数寄者らしいのに比べると、この竹中先生はお役人としてかなり淡々と桜の交配研究に打ち込んだようで、もちろん竹中桜などはありません。
そのお人柄を知るよしもないとは言え、青空に映えるこの白い桜を仰ぎ見ていると、偉大な学者というのは後世に感動を残すことだけは理解できます。

過去のきょう 2014 オキナグサ 2013 デンドロビウム・ピンクドール・エレガンス 2012 ウバユリ 2011 ニワトコ 2010 ノウルシ 2009 シナミズキ 2008 ヤマモモ 2007 キランソウ 2006 ミケリア・マウダイエ 2005 レンギョウ

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4月4日(土) ハラン

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花の時期を迎え、ハランに出会うとついその根もとをネチネチ探します。しかし、うまく見つかる確率たるや、初めて写せたときとまるで変わりません。写真の植え込みの場合、花を意識したのか根もとをお掃除してくれていたので助かりました。
ただ、前回の写真では蕾状も含め4個も固まっていたのに、今度の場所は点々と一つずつしか咲いていません。しかも、前回は文字だけであっても花の直径は3cmとしているのに、今回のものは2cm弱で、ちょっと発育不良?でした。
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ところが今回の収穫はこの実でした。ちょうど花と同じサイズで、小さなタマネギを思わせます。花と同時に見られるということは、去年の花が1年でこうなったものなのでしょう。頭の先に平らな柱頭が残っていて、花の細部はまだよく写せていないのに、こんな雌シベが中央にドンとあることが想像できました。

<補注> 生長したあとの大きな葉に比べると、若葉はちょいとキュートな姿でした。(2015年7月13日

過去のきょう 2014 アブラチャン 2013 ソシンカ 2012 オオカンザクラ(大寒桜) 2011 キクザキイチゲ 2010 ハナニラ 2009 チョウジザクラ 2008 ノジスミレ 2007 アザレア 2006 ヤブレガサ 2005 カタクリ

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追加編 : プリンセス雅(みやび)

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横浜緋桜を載せたついでに、花色がよく似た(開花時期も、中間タイプとほぼ同じ)この桜にも触れておきます。名前からわかるように、ご成婚を記念して現皇太子妃のお名をいただいたそうなので、横浜緋桜よりもさらに新人です。
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二つの見分けに最初は戸惑いました。しかし、どうやら雅(↑)の方は花びら同士に隙間があることに気づきました。
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そこがわかってから横浜緋桜(↑)を見直すと、花びら同士がこうして重なり合っています。花糸の色も横浜の方が真っ赤なので、両者の花色はかなり似ているようでいて、さすがプリンセスらしく、雅の方が微妙に典雅な色合いに見えてきます。

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4月3日(金) ヨコハマヒザクラ

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なんとも派手な花色の桜です。まるで桃みたいではあっても、花の咲き方は桜そのものであることが遠目からでもわかります。
うつむいて咲く濃い色の桜といえばカンヒザクラを思い浮かべるわけで、この横浜緋桜の片親はやはりそれでした。もう一方の親はヤマザクラだそうで、その二つを掛け合わせてこの桜が誕生したのが1972年ごろと言いますから、数ある桜のなかではかなり新人で、関東以外では知名度がまだ低いかもしれません。
面白いのは、同じこの品種に早咲き・中間咲き・遅咲きの3タイプがあるということで、ソメイヨシノと満開時期が重なる写真の木は中間咲きにあたりそうです。開花が前後で20日ほどもずれるので、3タイプそろえて植えたら1カ月以上もこの桜を眺めることができる訳です。ただ、それだとたぶん辟易しそうです(笑)。

過去のきょう 2014 ツワブキ 2013 ミヤマカタバミ 2012 ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ) 2011 ミヤマウグイスカグラ 2010 ムスカリ 2009 イトザクラ(シダレザクラ) 2008 イトザクラ(シダレザクラ) 2007 スノーフレーク 2006 ムクゲアカシア 2005 ムスカリ

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4月2日(木) ヒメスミレ

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いったいなにを写そうとしたのか、あとで自分でもわからなくなりそうな写真です。このところ、「いかにも」っぽく被写体にスケールをあてることが多かったので、「ふつう」に周りのものとの比較で主役のサイズを示そうとしてみました。
これなら、サイズだけでなく、その場所の環境というか、どういうものと共生するかもわかるので、とてもいい手だと思ったのです。しかし、いかんせん、こうして写真にしてみると、空疎というか、雑然というか、こりゃアカンと反省です。
主役のヒメスミレが「勘弁してよ」と言いたげに葉裏を見せていて、ここが紫がかるのがこのスミレの一つの特徴です。名前の「姫」は、この小ささを示すようです。
そして、脇役陣(左から、コハコベヒメオドリコソウハナニラ)とともにわかるこのスミレの性格は「人里が好き」ということです。鳥で言えばスズメやツバメのようなもので、適当に人の臭いがするところが姫のテリトリーです。

<追録> 今度は団体さんで登場です。やはり人の臭いがプンプンする場所でした。(撮影:2022年3月25日)
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過去のきょう 2014 レンギョウ(雌花) 2013 ムユウジュ 2012 サルココッカ・コンフサ 2011 ヤマコウバシ 2010 ゴンズイ 2009 テンダイウヤク 2008 イチハツ 2007 ヤマエンゴサク 2006 ニリンソウ 2005 シデコブシ

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追加編 : ソメイヨシノ

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この時期、いつでもどこでも写せると思うと気が入らなくて、ソメイヨシノの開花状態にはいままでちゃんと向き合ってきませんでした。
過去掲載は時期はずれの狂い咲きとか、開花前の夕暮れ情景とか、弘前の夜桜とか、少しひねったものばかりで、植物ブログとして他種と花の比較ができない困った状態でした。ということでようやく登場させます。
撮る本人の気持ちは写真に出るものか、いかにもつまらんぞ!という写真です。写しておいて、どこがどうソメイヨシノなのか調べたら、萼がやや毛深くて、付け根側がほんのわずか壺型に膨らんでいるのだそうです。
そんな微妙すぎる特徴よりも、ソメイヨシノの説明でたいがい最初に触れられるのは「葉の展開に先立って花が咲く」ということです。読み流すと「当たり前だろ」と思う部分であっても、葉の気配も見せずに木全体が花だけで覆われるというのは、案外にこの桜を特定するときの基本的な決め手かもなと思います。

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4月1日(水) アマギヨシノ

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白い桜はオオシマだとばかり思ったら、これは天城吉野という品種でした。オオシマにエドヒガンを掛け合わせたそうで、色白になるのは道理です。
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ソメイヨシノやオオシマザクラよりも一足早めに満開状態でした。ヒラヒラと舞い落ちてくる花びらは大きくて、厚みも感じます。
河津だけでなく、今年は修善寺の名を冠する桜も取り上げ、きょうは天城です。熱海には熱海寒桜というのがあったはず(注2)だし、静岡東部は桜の宝庫(注1)かと思えてきました。ただ、考えたら志木にはハタザクラがあるのだし、お隣の新座にもミョウオンサワハタザクラがありました。
なんのことはない、「おらが桜」はあちこちにあって、それぞれが咲いた咲いたと喜んでいるのだから平和なものです。おっと、今年のハタザクラはおとといからチラホラ開き出し、今朝は親木でも十分な数の花を見ることができました。

<補注1> 三島桜を収録し、そこに「静岡東部の地名を冠した桜が多いわけ」を書いておきました。(2015年4月5日
<補注2> 熱海寒桜を収録しました。(2020年3月12日

過去のきょう 2014 ショウジョウバカマ 2013 レウイシア 2012 シャガ 2011 ヒイラギバツバキ 2010 クヌギ(雄花) 2009 イカリソウ 2008 アカシデ 2007 カテンソウ 2006 アブラチャン 2005 ユスラウメ

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