形も面白いのに、それ以上に名前が不思議な竹です。いえ、辣韮(らっきょう)という名付けは、見るからに的を射て(矢竹だけに・笑)いると思います。問題は学名の方で、Pseudosasa japonica ○ tsutsumiana Yanagitaという(注2・3)のです。
まず、○の部分が問題で、調べるとここがf. だったりvar. だったり、揺れているのです。
品種なのか変種なのか、議論が分かれているようです。
それもそのはずで、この矢竹はあるお庭(水戸の堤さん宅)にあったものが柳田さんという人に見いだされて全国に広まったという経歴の持ち主なのです。どうしてそこにあり、どうやって生まれたのか、謎ということでしょう。
そんなわけで、堤さんと柳田さんのお名前が学名に織り込まれているわけはわかっても、もう一つの問題がそのtsutsumi「ana」の部分でした。穴? 虎の穴?という軽薄な反応をしてしまった自分を恥じております。
これはたぶん接尾辞で、「堤さんのところに由来する」ということでしょう。いやはや、竹藪を眺めるだけでも、脳ミソには幾本か皺が増えてくれるものです。
<補注1> 矢竹(ふつうのヤダケもこのラッキョウヤダケも)は生長しても稈に皮が残るため、「竹」とは呼ぶものの、じつは「笹」(つまり草本)だと言います。
そのため、草・木・草・木と交互に続けているこのブログが草・草となってしまうわけで、いや、そこはそれ、見かけ的には竹でしょうよ!ということで、強引に「木」の順番のところに出してしまいます。ちょうど「木」曜ですし…(苦しい!)。
<補注2> 記事掲載時点では、学名の後半部分だけを四の五のと言って、前半を無視…ではなくて、その内容をぜんぜん理解していませんでした。いま見直すと、Pseudo+sasaで、ベゴニア・プセウドルベルシーで学んだ「なんちゃって=Pseudo」と「笹」の合体語なのでした。つまり補注1 の内容は学名にそのまま示されていたわけで、ずいぶんな年数を経ての膝ポンです。(2020年1月16日)
<補注3> 記事掲載から年月が経ち、あらためてYListを確認したら、学名のjaponicaの後ろはシンプルに'Tsutsumiana'でした。
つまり品種・変種問題はなくなり、園芸種とされたわけです。柳田さんのお名前もはずされてしまい、かなりスッキリしました。(2022年1月)
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