8月31日(金) ボタンヅル
待望のボタンヅルに巡り会うことができました。丘の上で燦々たる陽光を浴び、ヤマツツジの木を覆い尽くして、花を咲かせていました。
仲間のセンニンソウの葉が全葉で小細工のないあっさりしたものであるのに比べ、3出複葉の小葉それぞれが深い切れ込みを持つ込み入った作りです。ボタンの葉に見えるかどうかは別にして、とても趣のある姿です。
花はセンニンソウよりひと回り小さく、あちらが純白なのに対し、こちらはややクリームがかっています。花びらに見える萼片とシベが同じ長さで半球状に開くので、花火とか手鞠とか、そんなイメージを抱きます。
さてうれしい出会いはまた悩みの元でもありました。まずは名前です。ボタンヅルとボタンズル、二つの表記があるのです。「蔓」は「ツル」であり「スル」ではないと思いはしても、なんと牧野博士(新日本植物図鑑)が「ズル」派なのです。
ただ、手元のほかの図鑑は「ヅル」だし、広辞苑や大辞林も「ヅル」です。いつもは博士の権威にひれ伏すのに、今回はちょっと逆らってしまいます。
もう一つ困ったのは、これが草か木かということです。以前は草も木もかまわず、手当たり次第に掲載していたのに、このところブログタイトルに忠実に、記事を草・木・草・木の順にしていたのです。いずれこういう(草木という区分がしにくい植物にあたる)日が来ることはわかっていたのに、バカなことをしているものです。
ボタンヅルは草か木か! 牧野博士は「落葉木質のつるである」としていて、草木の境にこだわっていないのはさすがです。ただ、「小低木」とする図鑑は少なくない一方で、「多年草」とするものもあり、にわかには判断できません。
結局、うれしい遭遇に舞い上がって根もとの観察を怠った自分がいけないわけで、次の機会には自分なりの意見が出せるようにマジマジと見ることにします。などと言っているわりには、きょうは「草」の出番の日で、まあパッと見は草だったような…。
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