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3月31日(木) エゾムラサキツツジ

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花びらの先が尖らないので花冠が丸く見えるところは、同じ早咲きのゲンカイツツジを思わせます。ただ、名前に紫を冠しているとおり、こちらの紫みが勝っていて、蝦夷地の春雪を背景にこれが咲いていたら、さぞや映えることでしょう。
もっとも、色合いは相対的で不確かです。そこで着目するのは写真にもある葉で、このごろは「落ちない落葉樹」のことで頭を痛めていたのに、なんとこの木のおかげで「半常緑」(注1・2)という存在を知ることになりました。
エゾムラサキツツジの花は、このわずかに残った葉の付け根から咲き出しています。冬越しした逞しい葉が、最後のご奉公とばかりに花を支えているように見えます。

<補注1> 半常緑で花がゲンカイツツジに似るところから、エゾムラサキツツジにはトキワゲンカイの別名があります。
<補注2> ツツジ類の常緑or落葉のタイプをまとめました。(2013年2月23日

2010年のきょうリビングストンデージー> 2009年のきょうヤブサンザシ(雌)> 2008年のきょうサラサレンゲ> 2007年のきょうオオシマザクラ> 2006年のきょうクロモジ> 2005年のきょうヤマモモ

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3月30日(水) アジサイ

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春の息吹というのはうれしいものです。ガサガサと刈り込まれて無残だったアジサイの枝先でも、命の証がほころび始めました。
木々の芽吹きどきの葉というのは、アジサイに限らず生命力にあふれているものです。ただ、それにしてもこの分厚くて瑞々しい姿には目を奪われます。
シーボルトがアジサイに奥さんの名前(お滝さん)をつけたというのは、じつは花の姿に由来したのではなく、この葉の頑丈さに着目したのだとしたら…あ、もちろんこれ「はた衛門珍説」ですけれど、うなずいてくださるご同輩は多いような気がします。

<補注> アジサイの冬芽は裸芽タイプです。(2018年2月28日

2010年のきょうモミジバスズカケノキ> 2009年のきょうミミガタテンナンショウ> 2008年のきょうヒサカキ> 2007年のきょうハナカイドウ> 2006年のきょうユキゲユリ(チオノドクサ・ルシリエ)> 2005年のきょうベニバナトキワマンサク

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3月29日(火) コノテガシワ(センジュ)

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宿題は早く片付ける…子供のころから苦手だった「生活の基本態度」も、趣味のことなら誰にも文句を言わせない優等生に変身してしまいます。
10日ほど前に載せた本来のコノテガシワに対し、身近で見かけやすいこのコノテガシワの葉の並びはとてもきれいで密に整っています。このような葉の整い方と、樹形がコンパクト(丈が低く、枝がまとまりやすい)であることが、コノテガシワの園芸種であるセンジュ(千手)の特徴です。
そんな特徴を活かし、この木は50㎝四方ほどの大きなプランターに植えられて駐車場の仕切りにされていました。ただ、いくら大きくても所詮プランターでは無理があり、写真で切り取った部分の周りは無残な剪定痕だらけでした。本来の自然な円錐形に育てるには、少なくとも直径1m以上のスペースは必要です。

2010年のきょうヒアシンス> 2009年のきょうアーモンド> 2008年のきょうニシキモクレン> 2007年のきょうカラシナ> 2006年のきょうアマナ> 2005年のきょうキブシ

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3月28日(月) アケボノアセビ

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人間がボケるのは困りものでも、アセビの赤色がボケてくれるのは大歓迎です。ボケ具合の少ないアカバナアセビ(赤みが強い)を載せた前後から、赤っぽいアセビに出会うたびにそのボケ具合を審査する日々(オーバーかな・笑)でした。
いくらか赤が淡いものはあっても、自信を持って「曙」とは思えず難儀してきました。しかし、どうやらこの木のほんのり具合は合格ラインを超えているようです。
めでたく赤・白・ロゼに出会えたお祝いに、今夜は3種のワインを一気開封なんて豪気なことをしちゃいますか。もちろんミニチュアサイズ瓶ですけれど…。

<補注> アケボノアセビと思しきものの実が割れていました。(2020年3月1日

2010年のきょうメタセコイア(雌花)> 2009年のきょうオランダカイウ(カラー)> 2008年のきょうミズバショウ> 2007年のきょうヘビイチゴ> 2006年のきょうハナノキ> 2005年のきょうモモ

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3月27日(日) ユキゲユリ(チオノドクサ・ルシリエ)

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この花、以前登場したときは「チオノドクサ」でした。あれから5年、知恵が少しだけついて、今回は和名を前面に押し立てます。さらに、カタカナで呼ぶときもルシリエと加えるのが正式で、属名だけで呼ぶ(注)のは流通的な通称らしいと知りました。
もともとは小アジアの高地の花で、日本ではブルージャイアント(この写真)やピンクジャイアント(前回登場のもの)という園芸種が早春の花壇を飾るようになりました。
百合というには寸法(背丈10~15㎝)がずいぶん不足でも、分類的にしっかりとユリ科(注)なので文句は言えません。ユキゲは雪解で、雪割草あたりと比べるとやや生硬な語感がするのは後発の花の苦しいところに思えます。

<補注> 2カ所に(注)とした部分は、APG分類体系では変更されています。属名 Chionodoxa は Scilla となったので、チオノドクサと呼ぶのはやや不適になりました。
さらに、科も Liliaceae(ユリ科)から Asparagaceae(キジカクシ科)に所属替えになっているので、ユリ呼ばわりにも問題が生じます。美しい見かけに反して、なんとも立つ瀬のない花です。

2010年のきょうメタセコイア(雄花)> 2009年のきょうヤブサンザシ> 2008年のきょうキブシ> 2007年のきょうミツマタ> 2006年のきょうザゼンソウ> 2005年のきょうヒュウガミズキ

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3月26日(土) ハッカクレン(ミヤオソウ)

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ハッカクレンを八角蓮と書くだろう(注2)ことはすぐ想像がついても、葉表が妙に光り輝いて、どうも蓮のイメージには遠いのです。さらに、葉によっては裂け方が六角とか九角とかあって、「看板に偽りありぃ~」なんてつぶやいてしまいます。
いえいえ、ヤツデの葉だってそんなもので、植物で「八」というのは「たくさん」というおおまかな意味なのでしょう。葉表のテカリだって、フラッシュのせいが多分にあるので、ハッカクレンにしてみれば「あまり文句言うなよぉ」と言いたいかもしれません。
葉柄の付け根で膨らみ始めた花蕾が開くころ(GWごろかな)、今度は「どぉ~だい!」というハッカクレンくんの自慢げな声を聞きたいものだと思います。

<補注1> 花の様子を収録しました。(2013年5月6日
<補注2> 八角蓮ないし六角蓮は中国名で、標準和名はミヤオソウでした。
ただ、ミヤオの意味がいまのところ不明なので、当面はハッカクレンと呼んでおくことにします。(2021年10月)

2010年のきょうハチジョウキブシ(雌花)> 2009年のきょうフッキソウ> 2008年のきょうキュウリグサ> 2007年のきょうダイコン> 2006年のきょうシンビジウム> 2005年のきょうチューリップ

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3月25日(金) フチベニベンケイ(カネノナルキ)

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初めてフチベニベンケイを載せたときは、「(葉の)フチが紅」であることはわかるものの、花がポチョポチョで情けない姿でした。ところが、その後10日ほどして今度は「花だらけ~」で肝心の葉が見えない過激な姿に出会うことになったのです。
寂しくても豪華すぎても植物写真としては不適切で、今回のように、花もそこそこきれいに、もちろん葉のフチの紅もバッチリと…と写せればうれしいものです。さらに花粉媒介者としてのハエさん(画面左下)まで入ってくれて、もぉ~満点!と思いきや、写真右端がボヤけているではありませんか。うーむ、遠く果てしない修行の道です。

<補注> 近縁種(フチベニベンケイの品種)のクラッスラ・ゴーラムを収録しました。(2021年12月4日

2010年のきょうハオルチア・オブツーサ(雫石)> 2009年のきょうカランコエ・ラクシフロラ> 2008年のきょうハナノキ(雄花)> 2007年のきょうナツグミ> 2006年のきょうシュンラン> 2005年のきょうフッキソウ

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3月24日(木) サワラ

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葉の先についた濃茶の物体は雄花の蕾です。これがもう少し膨らみ黄色っぽくなるといよいよ花粉飛び散りモードでも、サワラはスギほどには騒がれません。
枝元部分には前年の実(=雌花のあと)が残っていて、いままではこのばかりを写していました。今回初めて着目する雄花の姿です。
ついでに、サワラの特徴であるX字型の白い気孔帯もきれいに写せました。この部分が太すぎて蝶ネクタイみたいだったり、あるいは壊れた※印みたいだったりするのも多いなかで、写真の木はとてもすっきりしたX型で、サワラの優等生でした。

2010年のきょうスノーフレーク> 2009年のきょうヒサカキ> 2008年のきょうキクラミネウス水仙・ジャンブリー> 2007年のきょうゼンマイ> 2006年のきょうカツラ(雄花)> 2005年のきょうヒアシンス

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3月23日(水) クロッカス

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前に白や黄色のクロッカスを取り上げたころには、まだまだ花をボンヤリとしか見ていなかったなぁと反省しながらグイッと迫りました。
サフランほど長くは飛び出さないものの、ちょっとキモイ系の雌シベが目を惹きます。ここが真紅のサフランに対し、クロッカスはこの程度の色ではあっても、サフランライスには一応使えるという報告も見つけました。
加えて、花びらが内花被・外花被それぞれ3枚ずつでできていることもあらためて認識しました。この構造はアヤメ類と同じであって、なんとまあ(←この驚きはごく個人的なものです)、分類的にクロッカスはアヤメの仲間(アヤメ科・注1)でした。アヤメの咲くころにこのことを思い出すことができれば万々歳です。

<補注1> 6年前、初めてクロッカスを取り上げたときにこのことは触れています。資料の受け売りで書いてもまったく身につかないことの見本です。
<補注2> クリームビューティという品種を取り上げました。(2012年3月18日
<補注3> クロッカスは一つの球根が二度にわたって花を咲かすことに「ようやく」気づきました。(2025年3月21日

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3月22日(火) アカシデ

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雌雄同株の雌雄異花ではあっても、雌花が出るころにはこの美しい赤色の雄花が情けない状態になってしまいます。冬芽や紅葉の赤がきれいなのに加え、この雄花の赤みはきっとアカシデの名をもらうのに大きく貢献したことと思います。
マンサクやサンシュユの黄、コブシやハクモクレンの白が春の主役の色だとすれば、このアカシデの赤みは、春のうれしさを演出する渋い脇役に思えます。

2010年のきょうパンノキ> 2009年のきょうヤドリギ> 2008年のきょうミニアイリス> 2007年のきょうタアツァイ> 2006年のきょうコノテガシワ> 2005年のきょうダンコウバイ

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3月21日(月) オウバイモドキ(ウンナンオウバイ)

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ふつうのオウバイが枝を垂らすのに対し、ウンナンオウバイ(注)の枝は上にのび横に這ってかなり大きな茂みを作るので、いささかムードが違います。
むしろ、この花色やこの雰囲気のものというと、個人的にはキソケイが紛らわしいと思います。かつてはその違いもしっかりわからないまま載せていたので、今回は花だけでなく、見分けポイントとなる葉もしっかり写し込みました。
葉が羽状複葉のキソケイに対し、ウンナンオウバイは三出複葉…などと自分のおさらいをしていたら、ウンナンオウバイの別名にウンナンソケイとあるのを見つけました。うわわ、こんな紛らわしい説明は見なかったことにしておくのがよさそうです。

<補注> 上記のように「オウバイ」か「ソケイ」か紛らわしかったのでマジメに調べたら、標準和名は「オウバイモドキ」(by YList)でした。
「モドキ」が本名とは哀れながら、ウメモドキやらサフランモドキやらもあるのですからやむを得ません。タイトルを修正することにしました。(2011年3月24日)

2010年のきょうチトセラン2種(サンセベリア)> 2009年のきょうクサイチゴ> 2008年のきょうアネモネ> 2007年のきょうチンゲンサイ> 2006年のきょうアブラナ> 2005年のきょうツクシ

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3月20日(日) コノテガシワ

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割れた実を残したまま、今年の蕾が膨らんできたコノテガシワです。この蕾の今後、つまりちょっと変わった雌雄異花については5年前に掲載済みなので、今年はちょいと引いた視線で枝振り全体をとらえてみました。
ふつうに庭や公園で見かけるコノテガシワよりも荒々しい感じがします。子供が手を合わせている様子とされる葉も、きれいに縦には並ばず、奔放です。
じつはきょうの写真の方がふつうのコノテガシワで、上記の身近に見るコノテガシワは園芸用に開発された「千手(センジュ)」という品種なのでした。千手は葉の並びがきれいで木もコンパクトなのに対し、「ふつう」のこの写真の木は5mほどもありました。ただし、葉の表裏がないというコノテガシワの特性はどちらも同じです。
さて、5年前には千手の存在などよくわからずに(いま思えば、あれは千手だったかも)花だけに着目していたので、次は自信を持って「これが千手」と言える写真を撮るのが課題(注)になりました。

<補注> 課題のセンジュを収録しました。(2011年3月29日

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3月19日(土) オオイヌノフグリ

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名前は大きいけれど、寸法は小さなオオイヌノフグリの花にグッと寄ってみました。紺色の葯が開きかけて、まるで女高生みたいな白と紺のツートンカラー(あァ~、たとえがオヤジ丸出しでございまする)が清楚です。
現在11時27分、あと30分も経つと、紺色の制服がグランドで埃まみれになったみたいに汚く(うゥ~、たとえがしつこいです)なります。
おっと、バカはほどほどにして、雌シベと花びらに注目します。フグリを膨らませるための雌シベは、意外にも棒状のそっけない形です。
それに比べると花びらは、同じように見える4枚のなかでも1枚(手前側)は大きく、紫の筋も鮮明です。さらにその対抗サイドの1枚は横の2枚よりもやや小さく、案外に凝った装いの女高生(あァ~、しつこい!)なのでした。

2010年のきょうコブシ> 2009年のきょうモクレイシ> 2008年のきょうロドレイア・ヘンリー> 2007年のきょうコマツナ> 2006年のきょうウグイスカグラ> 2005年のきょうコブシ

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3月18日(金) フサザクラ

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クリスマスのころに撮ったとき(2009年)は、「あと何回の北風に耐えることができるでしょう」などと無責任な書き方をしたのに、そろそろ冬芽が割れそうに膨らむ季節になっても、フサザクラの実は飛ばずに残っていました。
飛ばなかったらタネとしての用をなさないのでは…、というのは余計なお世話で、「なあに、落ちるときには落ちるさ」というのが本人の言い分なのでしょう。
風変わりな花だけ注目されがちでも、じつは翌年の花どきまで枝から落ちないフサザクラの実は、例のヤマコウバシよりも強力な受験生の味方に思えます。

2010年のきょうウグイスカグラ> 2009年のきょうユーカリ> 2008年のきょうヒメリュウキンカ> 2007年のきょうミズナ> 2006年のきょうスギ> 2005年のきょうバイカオウレン

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3月17日(木) ロニセラ・フラグランティシマ

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ロニセラというのはスイカズラ属の学名ですから、覚えにくい名前だなどと不満を言っては草木好きの資格を剥奪されてしまいます。しかし、フラグランティシマとはなんじゃいな?と思ったら、「フレグランス=香り」に通じているようです。
そこをわかってみればとても強い香り(スッキリ系)です。時間帯や風向きによるはずとは言え、昼過ぎで半径5mほどには香りをまき散らしていました。
スイカズラの仲間なので花が2個セットです。この早春に咲く花と香りをセールスポイントに、苗を800円前後で売っている植木屋さんもありました。まだまだ街では見かけなくても、香り公害(?)にならない程度に流行ってくれてほしい木です。

<補注1> 9年後も、街ではまだレアものでした。(2020年2月22日←和名に言及)
<補注2> とても見分けをつけにくい同属種を収録しました。(2024年2月13日

2010年のきょうソメイヨシノ> 2009年のきょうヤマアイ(雌花)> 2008年のきょうマツバギク> 2007年のきょうソテツ> 2006年のきょうアンズ> 2005年のきょうトサミズキ

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3月16日(水) バクチノキ

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博打で身ぐるみ剥がされた人の姿だという幹がこの写真の主役です。夏なら涼しげで良くても、この時期にはなんだか哀れみを誘います。
かつて、名前の由来であるこの幹も写さず、しかもバクチノキとセイヨウバクチノキの違いもよくわからずに「バクチノキ」としてここに収録したことがありました。6年後の記事修正をしながら、二つの違いをしっかり覚えることにします。
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実を写そうとした1枚に、かろうじてその見分けポイントが入っていました。葉柄に一対の腺点があります。また、鋸歯が「セイヨウ」よりもハッキリして大きめです。
なにより違うのは花の時期で、バクチノキは秋に、セイヨウは春に咲くようです。とりあえずこれからだとセイヨウの花の時期を迎えるので撮影予定に組み込みです。

<補注1> セイヨウバクチノキの花を収録しました。(2011年5月4日
<補注2> バクチノキの花を収録しました。(2012年11月12日

2010年のきょうタイリンミツマタ> 2009年のきょうヒュウガミズキ> 2008年のきょうマメイヌツゲ> 2007年のきょうキバナシズシロ> 2006年のきょうキクザキイチゲ> 2005年のきょうオオタチツボスミレ

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3月15日(火) カンノンチク

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似たものにシュロチク(棕櫚竹)があって、あちらは葉も背丈もシュッとスマートな感じなのに対して、こちらは全体的にズングリムックリの見かけです。
そもそもこの二つはかなりの近縁(ともにヤシ科カンノンチク属)ですから、見分けにくいときも間々ありはしても、葉幅と葉の反り具合が注目ポイントです。
カンノンチク(観音竹)は棕櫚竹に比べると葉が広く(2㎝ほど)、また葉が横方向に反っていてボートをひっくり返したように見えます。これに比べると、棕櫚竹は小葉の幅が1㎝ほどと細く、横方向の反りはほぼありません。

<補注1> 翌年、観音竹と棕櫚竹をツーショットでとらえることができました。(2012年10月19日
<補注2> カンノンチクが花穂をつけました。(2020年6月27日

2010年のきょうヒマラヤゴヨウ> 2009年のきょうトサミズキ> 2008年のきょうクサノオウ> 2007年のきょうモミジイチゴ> 2006年のきょうカタクリ> 2005年のきょうヒイラギナンテン

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3月14日(月) カイヅカイブキ

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イブキを園芸用に改良したのがカイヅカイブキだといいます。ふつうのイブキよりも枝が幹を巻くようにのびます。この樹形全体が巻き上がる性質を剪定でうまく強調して、まるでソフトクリームみたいに育てているお宅をときどき見かけます。
写真のものは、カイヅカイブキとしてはかなり大きな木(樹高10mほど)で、そんな強剪定はせずにわりと放置されて自然樹形に近いように見えます。それでも木全体を眺めると、グルン・グルンと巻いています。

<補注> このイブキのことを「カイヅカ」ではなく「カイズカ」と表記するケースが割合に多く、大阪府貝塚(かいづか)市で作出されたという謂われからすれば「ヅ」であろうに、おバカなことだと一人で憤慨していました。
ところがあらためて学名を調べてみたら、そこにはJuniperus chinensis L. 'Kaizuka'とありました。zuはたしかにズなので、カタカナ表記に学名を反映させるなら「カイズカ」は正解になってしまいます。
ただし、YListも「カイヅカ」を標準和名としていて、「カイズカ」は別名扱いの立場です。「ヅ」をローマ字表記するとき、duではなくzuにするのは「慣習法」のようになっているので、ここは学名登録ミスではなく、Kaizukaをカタカナに戻すときはカイヅカにすべきだということを再確認しておきます。(2019年3月)

2010年のきょうハルニレ> 2009年のきょうオオイヌノフグリ> 2008年のきょうマツバギク> 2007年のきょうウチワノキ> 2006年のきょうアセビ> 2005年のきょうユキツバキ

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3月13日(日) ススキ

ようやくあすのバスに予約が取れて、14日夕方には帰れるつもりだったのに、あれこれ工夫してみたら、きょうのうちに志木に戻ることができました。
自分の部屋は棚の本やファイルが落ちて、モニターがこけ、キーボードのキーが一つ吹き飛んでいました。しかし、パソはちゃんと起動できました。
となると、365日連続掲載という欲が出て、きのう弱気なことを言ったばかりなのに、取り置き写真を引っ張り出して続けることにしました。
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先日、セイバンモロコシの枯れ姿を載せたあとでススキの枯れ藪を見たら、葉が同じような弓形で、ちょっと見だと違いがないことに気づきました。
そこでじっくり調べたら、葉の断面がVの字に二つ折れのセイバンモロコシに対し、ススキのそれは管状に丸くカールしていました。さらに、セイバンモロコシの葉は硬いと思ったのに、二つを比べるとススキの方がより丈夫な作りでした。
似たような枯れ葉でもしっかりと違うものです。こうなると、あとはアシの葉を確かめたくなったものの、うかうかしていると時期を失ってしまいそうです。

2010年のきょうレバノンスギ> 2009年のきょうヨシ(アシ)> 2008年のきょうヒメカンスゲ> 2007年のきょうオガタマノキ> 2006年のきょうダンコウバイ> 2005年のきょうシキミ

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3月12日(土) ムスカリ

東北の出張先で今回の巨大地震に遭遇してしまいました。
自分自身はホテルも確保でき、食事も摂れていて、まったく問題はありません。また、きょう遅くなってネットも回復して、周囲との通信もかなり自由になりました。
問題は埼玉への帰りの足で、新幹線はどうもしばらくダメのようです。
きのう・きょうの記事は出張に先立ってアップしていたものの、あす以降はちょっとメドが立ちません。大きな被害があった地域もあり、草木やブログどころの話ではないので、少しの間お休みする予定です。
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公園の広~い花壇が緑色のネットで覆われて…いるように遠目には見えたのです。ところが、寄ってみたら緑色のタコがみんなで逆立ちしていました(笑)。
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いったいぜんたいこれはナニ?と眺め回してみれば、なかにはやたら気の早いヤツもいて、もうすでに蕾が上がってきていました。なんとムスカリでした。
三角帽子みたいな花穂とか、もっと目を凝らせば、鈴蘭を紫色に染めたような花とか、とかく人目につきやすい部分でしかムスカリを認識していませんでした。ひょんな機会で葉の観察ができたわけで、これはこれでなかなか味のある姿です。

2010年のきょうシシユズ(オニユズ)> 2009年のきょうコブシ> 2008年のきょうオオハナワラビ> 2007年のきょうシロバナタンポポ> 2006年のきょうサンシュユ> 2005年のきょうオランダミミナグサ

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3月11日(金) リンドウ

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往年の美人女優が、年を経ても凛として…みたいなリンドウの枯れ姿です。花殻がそのまま窄(すぼ)んで、まるでペーパークラフトのようです。
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その花殻を手に取ると、特に揺すったわけでもないのに、種がパラパラと手のひらにこぼれました。思いがけないほど軽くて小さくて大量の種です。
リンドウを庭で育てるときには主に株分けで殖やします。ただ、一見脆弱そうなこの種も案外に発芽率は高いようです。もう少し暖かくなったら近所の土手に播いてみようか、など目論みはしても、直播きでは雑草負けする公算が大です。
かと言って育苗ポットで育ててからではいかにも土手を私物化しているようで(直播きでも本質は変わらないです・笑)気が引けます。なんとか人目につかずに「リンドウの土手」をこしらえる妙案がないものかと思案中です。

2010年のきょうハチジョウキブシ(雄花)> 2009年のきょうクリスマスローズ(フォエチダス)> 2008年のきょうアセビ> 2007年のきょうシラー・シベリカ・アルバ> 2006年のきょうネモフィラ・ペニーブラック> 2005年のきょうシバザクラ

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3月10日(木) ノハラアザミ

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この時期の根生葉をいろいろ見て、その正体がすぐにわかればいいなあ…とは夢見つつ、それには人生があと一度は必要なことでしょう。
などと弱音を吐きつつ、偉そうにこれをノハラアザミとしたのは、去年、この近辺で生長した姿を見ていたからに過ぎません。あとづけでノハラアザミの根生葉を調べたら、どうやらこれが正解でした。しかも、花の時期にもこの根生葉部分があるのがノハラアザミの特徴(ノアザミとの見分け点)の一つというオマケ知識も得られました。
美しく輝いて存在をアピールしてくれた和毛(にこげ)に感謝です。

<補注> この時点から1カ月前は枯れきった姿でした。(2021年2月10日

2010年のきょうソラマメ> 2009年のきょう啓翁桜> 2008年のきょうユリノキ> 2007年のきょうウズラバタンポポ> 2006年のきょうフッキソウ> 2005年のきょうハナニラ

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3月9日(水) フクジュソウ

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春の使者という性格上、どうしても花のハシリにだけ目が行って、そのあと、葉がこうして繁くなってくるころの姿をしっかり写したことがありませんでした。
深い切れ込みを持った濃緑色の葉は、これはこれでなかなかに美形です。
3月も中旬に向かい、この辺では花がやや小振りになりました。こうして花が終息したあとも、しばらくは葉が生長し、脛丈ほどにワサワサした藪状態まで育ちます。

<補注> 福寿草のバリエーションとして、秩父紅(2018年2月21日)とミチノクフクジュソウ(2018年3月17日)を掲載しています。

2010年のきょうユリノキ> 2009年のきょうモミジイチゴ> 2008年のきょうユキワリイチゲ> 2007年のきょうゲンカイツツジ> 2006年のきょうカナメモチ> 2005年のきょうオウバイモドキ(ウンナンオウバイ)

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3月8日(火) ネズコ(クロベ)

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クロベと聞くと、ついあの黒部ダムを思い浮かべるというのに、このクロベ(注1)は地名ではなく、漢字にすると黒檜です。クロビという呼び方もまだ残っているようなので、元々はクロビだったものがだんだんに変化しているのでしょう。
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で、どうしてこれが黒い檜なのかと言うと、アスナロの別名が白檜(シラベ)なのと対照させた名づけなのでした。で、どこが黒いのかと言うと葉です。アスナロの葉裏には白い「小」の字の気孔帯が目立つのに、クロベにはそれがありません(注2)。
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日陰や湿地でも育つ強い木なのに、割れやすいのでやや下等の扱い(注2)だそうです。歌にもなって知名度の高いアスナロと比べると、どうも日陰者っぽさが漂います。

<補注1> 標準和名はネズコだった(by YList)ので、タイトルの樹名の並び順を変更します。(2020年3月)
<補注2> ネズコには気孔帯がないのではなく、ふつうに見ると目立たないだけの話でした。また、ネズコは木曽五木のうちの一つで、尾張藩の重要な産物でした。本文中、「やや下等の扱い」としたのは、五木のなかで最後に呼び並べられることを誤解したようです。(2025年1月31日

2010年のきょうメタセコイア(雄花)> 2009年のきょうハーデンベルギア> 2008年のきょうオオアメリカキササゲ(ハナキササゲ)> 2007年のきょうヒイラギナンテン> 2006年のきょうフキ(ふきのとう)> 2005年のきょうクリスマスローズ

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3月7日(月) マンサク

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きのうのヤマコウバシに続けて、落葉樹の葉が落ちる・落ちないの話です。マンサク類の場合、花が咲くまで枯れ葉が残ったままがシナマンサク、花のときには葉がすべて落ちているのがマンサクというのが通説です。
ところが、先日載せたシナマンサクには枯れ葉が写っていませんでした。きょうのマンサクにはこうして立派に枯れ葉が残っています。
これがシナマンサクではない証拠は萼の様子で、先日のシナマンサクの毛深さと比べると、明らかにツルツルお肌です。葉のありなしだけで安直に判断してはダメで、物事はいろんな角度から確かめないといけないよ、と満作さんに教わりました。

2010年のきょうジャノメエリカ> 2009年のきょうキルタンサス> 2008年のきょうバショウ> 2007年のきょうエリカ・コロランス・ホワイトデライト> 2006年のきょうクロッカス> 2005年のきょうセツブンソウ

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3月6日(日) ヤマコウバシ

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別に秋の写真を持ち出したのではありません。分類的には「落葉」樹なのに、春までこうして葉がついたままです。
葉がついたまま→落ちない→縁起がいい、というので受験のお守りとして評判だと言います。例の携帯達人くんも、こんな験担ぎくらいにしておけば良かったのに…。
しかし、ちょいと前のテイカカズラのところで「常緑とは(紅・黄葉しても)全落葉しないこと」という基本知識を学んだばかりです。なのに、こうして落葉しないヤマコウバシが落葉樹とはこれいかに?と頭が混乱します。
たぶん、若葉が芽吹くときに古い葉が「一斉に」落ちる=全落葉する(常緑樹は一斉ではなく少しずつ更新される)ということだろうとは思いつつ、あと少し先にそれをこの目で確認しないと、なかなか腑に落ちるものではありません。

<補注> 葉芽が膨らみ、葉がかなり寂しくなったシーンは4月初めに、全落葉が間近になった開花時の様子は4月後半にとらえました。

2010年のきょうキンギョバツバキ> 2009年のきょうサヤエンドウ> 2008年のきょうテンリンジガッコウ(椿)> 2007年のきょうネモフィラ・インシグニス> 2006年のきょうショウジョウバカマ> 2005年のきょうヨモギ

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3月5日(土) ウメ(黄梅)

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オレが花粉を食べてなにが悪い!と蠅が怒りはしても、どう見ても梅に蠅は取り合わせが悪すぎます。しかし、ここは草木ブログなので、情緒的な感覚は捨て去り、蠅だって立派な花粉媒介者だ!という証拠写真と位置付けておくことにします。
で、そのことのためにこんな散り際みたいな梅を載せたのかと言うとさにあらずで、まだ立派な蕾も写っています。つまりこれは走りの花なのです。
いかにも紛らわしい「黄梅」という品種名については前にも難癖をつけています。花びらではなく花粉の豪華さで勝負というのは面白い梅で、蠅ならずとも、また今年も引き寄せられてしまいました。

2010年のきょうサンシュユ> 2009年のきょうタチカンツバキ> 2008年のきょうシュロ(ワジュロ)> 2007年のきょうミツバツツジ> 2006年のきょうオウバイ> 2005年のきょうネコヤナギ

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3月4日(金) ウメ(月影枝垂)

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月影という品種は梅のなかではわりと有名どころで、水戸の偕楽園でも六名木の一つに数えられています。ただ、これはその枝垂型(右端の枝がその性質)で、好事家のやることというのは果てしのないものだと呆れて見上げました。
さて、これがなぜ月「影」なのか、じつはいままで影のようにボンヤリ見ていました。改めて考えると、日本語の「カゲ」という音には、英語に置き換えればshadowとbehindとshapeという、それぞれかなり違う概念が含まれています。
この区分けで考えると、月影のカゲはshapeにあたるようで、そう思って眺めると、花の外輪が丸々として見えます。さあ、これでこれからは木に名札がなくても月影を見分けられる…わけはないとは言え、ちょっとだけ賢くなった気分です。

2010年のきょうセンダン> 2009年のきょうスノードロップ> 2008年のきょうイチョウ> 2007年のきょうヒメカンアオイ> 2006年のきょうタギョウショウ> 2005年のきょうスノードロップ

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3月3日(木) シナマンサク

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この春の桜は平年並みかやや遅めという開花予想が出ています。たしかに、ほかの草木を見ていても、今年はいつもより花が遅れ気味です。
春一番の元気者のシナマンサクの花だって、これまでは1月の末とか2月の早いうちとかに載せていたのに、今年はまだこんなにきれいです。
おっと、つい「きれい」と書いたものの、この毛深い萼まできれいに見えるかどうかはかなり主観の差になりそうです。ただ、過去の掲載では春まで残る葉の方に注目したり、萼にピントをあてたくても接写がやや弱かったりしていたので、今年は毛ほども後悔を残さないように、毛深い萼にググッと迫ってみました。

2010年のきょうゴールデンクラッカー> 2009年のきょうオオカンザクラ> 2008年のきょうボクハン> 2007年のきょうヒトツバ> 2006年のきょうオオバイノモトソウ> 2005年のきょう八重カンヒザクラ

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3月2日(水) セイバンモロコシ

110302seibanmorokosi
オニシバリに続いてヒガンバナと、寒中に緑の葉を繁らす草木を眺めていたら、季節も考えずに薄着をしてしまい、危うく風邪をひきかけました。こんな枯れ藪にしっかりと目を凝らし、まだまだ浮かれてはいけない時候であることを再認識です。
そういえばこの特徴ある弓形の枯れ草は、強風が吹くたびにウチの前を散らかして(注)くれます。長さ50~60㎝もあって、けっこうな固さがある厄介なゴミです。穂はさすがに飛んではこなくても、葉は最後までこうして形を保ったまま枯れきります。
夏の繁り方を見て西蛮(蕃)という名の荒々しさを納得していたのに、こうして天然ドライフラワーとなっても土手を占有しているとは、見習うべきド根性の草なのでした。

<補注> セイバンモロコシの繁茂場所と拙宅との距離は、少なくても100mはあります。川の近くで風が強いことはあるにしても、セイバンモロコシの枯れ葉がいかに風に乗りやすいかがわかります。

2010年のきょうヒース・バンクシア> 2009年のきょうクロチク> 2008年のきょうケンポナシ> 2007年のきょうラナンキュラス> 2006年のきょうヤマノイモ> 2005年のきょうギンヨウアカシア

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3月1日(火) ヒガンバナ

110301higanbana
きのう、オニシバリについて「秋に葉が出て、翌夏に葉が落ちる」という、ちょっとふつうとは違うリズムを述べました。そしてその1週間前には、キツネノカミソリについて花の時期には葉がなくなるしかけに触れています。
そんな前振りのあとで、ようやく真打ちの登場です。秋彼岸の豪華な花が枯れると、この葉は土のなかからグンと芽吹いてきます。ほかの草木が枯れている時期に日光を独り占めして栄養を蓄え、競合する草木が増えてくるといつの間にかこの葉は消えてしまいます。「葉知らず花知らず」などという風流な別名とは裏腹に、季節別に自分の生理機能を完全に分離するという思い切った作戦にしたたかさを感じます。

2010年のきょうシラヌヒ> 2009年のきょうフチベニベンケイ(カネノナルキ)> 2008年のきょうカリン> 2007年のきょうアリアケスミレ> 2006年のきょうリキュウバイ> 2005年のきょうフキ(ふきのとう)

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