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1月31日(月) ウメ

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品種名はわからないし、どうということもない白梅ではあっても、青空に映える姿がいかにも絵ハガキ風でした。
思えば1月ももう終わりで、朝夕の日照も少しずつのびてきました。「さあさあ、縮こまっていないで元気を出しなさい!」と励ましていそうな梅のほころびには、これ見よがしの桜にはない、母親のようなやさしさを感じます。

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1月30日(日) テイカカズラ

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常緑低木(蔓性)とされる定家葛の幼木が冬色になっていました。真っ赤に色づいた葉もチラリホラリと混じって、冬の雑木林を彩ってくれます。
常緑という言葉からすれば、紅葉してしまっては話が合わなくても、ほかにも冬には色づくこと(もの)のある「常緑」の木としてナンテンサネカズラを過去にここに載せています。あらためて調べてみると、「常緑」とは「葉が1年以上枯れずに、全落葉しない」もののことで、決して「紅葉しない」ものではないのでした。
だったら「非全落葉植物」とでもすれば正確な表現なのに、英語でもevergreen plantですから肩透かしです。学問とは厳密なものだと畏れていると、こんな風にアバウトなところもポツポツあって、人間の体温を感じて温まってしまいます。

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1月29日(土) クリスマスローズ(ニゲル)

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純白の花が寒風のなかで咲き出しました。名前のX’masからひと月遅れるのが難点(注)ではあっても、このあと春にかけて咲き出すものとはちょっと違う、いわゆるホントのクリスマスローズです。
英語圏では、春咲きのものはクリスマスローズではなくレンテンローズと呼び分けるそうで、そこからしてもニゲルが本来のクリスマスローズなのでしょう。
その春咲きのもの(オリエンタリス種)は緑色やピンクや臙脂など花色がさまざまなのに対し、このニゲルは潔く白というのもちょっと惹かれるところです。

<補注> 薄い紫が縁にかかっていたものの、X’masに間に合わせて咲いたニゲルがありました。(2011年12月17日

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1月28日(金) ワルナスビ

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鮮やかな黄色は、この時期の枯れ野原ではよく目立ちます。だからと言って、前の掲載と代わり映えのしない姿を持ち出したそのわけは…。
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この直径1㎝少々の球体の中身を確認してみたからです。激しく内容物が飛び出し、それが種を含んだ液体だったことが、ベンチの上の痕跡でわかります。
じつはこれ、偶然の結果で、つまんだ実を指で割ろうとしても、皮が固くてまったく破れなかったのです。仕方なくベンチの上に置き、硬貨を押し当ててギュッとやった始末がこれでした。して、このおつゆの味は…、胃薬だとしたら最良の品でしょう。

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1月27日(木) メリケンカルカヤ

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カルカヤ(刈萱)は音の響きがきれいだし、かつての暮らしに密着していたことがわかる名前なので、ちょっと気にしている草です。
しかし、何度か狙ってはみても、うまい写真になりませんでした。そのうちに冬が来て姿が見えなくなり、「また来シーズンか」とあきらめていたのに、これはまたなんともきれいな群落に出会いました。
ふつうにカルカヤと言えばメガルカヤを指し、ほかにオガルカヤがあるとは言え、冬には消える(注)それらと違い、春までこうして残るのはメリケンカルカヤでした。繁殖力が強すぎて、要注意外来生物にされているというのに、オレンジがかった枯れ色が逆光にきらめくさまはなかなかに絵画的で、嫌われ者とは思えない美しさでした。

<補注> 埼玉南部ではカルカヤは冬に完全に消えることはなく、12月はもちろん、1月末でも、わずかに緑みを残していることがあります。

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1月26日(水) ソシンロウバイ

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蠟梅(素心)が甘い香りを振りまいています。この冬は、年明け前後からこの香りが漂い出しました。寒い時期のおかげなのか、花はずいぶん長く楽しめます。
しかし、実の方だってしぶとく枝に残って、アピールを忘れません。烏賊の嘴そっくりの形は笑えても、食べたらヤバイ(毒性強し)ので見るだけです。もっとも、実生の育てやすさは抜群だそうですから、お好きな人は分けてもらうといいでしょう。
この実が賑やかに枝を飾っている木と、ぜんぜんつかない木があります。別に雌雄異株ではないので、生育度合いとか環境とかによるのだろうと思います。

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1月25日(火) セツブンソウ

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この冬は北国の雪がひどくて、夏が暑かったときは雪が多いという自然則はまだ健在のようです。それなのに、こちらではもう節分草が開いてしまいました。もちろん南斜面とは言え、立派に吹きさらしの露地の話です。
6年前には3月初旬、次の年には2月下旬に掲載していたこの花の開花がついに1月になり、暦の上の節分をも追い抜いてしまいました。地球の狂いに局地的な差があるとは思えなくても、関東近辺が温暖化の元凶であることを小さな花が告発しているようで、せっかくの春告げの姿を楽しく写すことができませんでした。

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1月24日(月) ハクモクレン

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風のない穏やかな日曜でした。焚き火の煙のようにホンワリとした雲がのどかで、芝地に腰をおろしていても寒さが気になりませんでした。
膨らみを増してきた白木蓮の花芽が、みんなそろって北の方角を指しています。陽射しを受ける南側の生長が速いことからくる現象と聞くと「なるほど」とは思っても、だったらほかの草木の芽もみな同じかと言うと、なかなかそうではありません。
陽が当たらなければ当たらないなりの工夫があって南北均等に育てばいいのに…と、不憫な北側の細胞さんについ余計な声援を送ってしまいます。

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1月23日(日) シマオオタニワタリ

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1mを超える雄大な葉の縁が波打っている様子は、ここが温室ではなく水族館だったかと勘違いするほど(ボケが進んだか・笑)です。
葉裏を飾る茶色い縞々の胞子嚢が美しく、これが名前の由来かと思ったら、それも勘違いで、シマは生息地(南西諸島)を示すものでした。
またタニワタリは、谷を埋める木々にこれが着生して、まるでシダが谷を渡っているようだという、とても風雅な表現です。この二つの名前パーツにはさまったオオはサイズのことで、タニワタリには見分けにくい仲間がいろいろある(注1・2)ようです。

<補注1> 属違いなのに「タニワタリ」を名乗る種類もありました。(2011年12月31日
<補注2> シマオオタニワタリはチャセンシダ属であり、その仲間を少しずつ取り上げています。(2021年1月3日
<補注3> 幼い葉の様子に見惚れました。(2024年2月20日

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1月22日(土) オヒルギ

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いわゆるマングローブと呼ばれる樹種のなかで代表的なひとつです。オヒルギのオは雄で、当然ながらメヒルギもある(注2)というのに、ここには雌はいませんでした。
問題はヒルギで、蛭木とも漂木とも書くようです。蛭がぶら下がるのかと考えたりしても、かつて奄美のマングローブにボートを浮かべたとき、そんな注意をされた覚えはないので、たぶん当て字です。さらに、漂をヒルと読むとは初めて知りました。
おっと、名前談議よりは花です。ちょっとザクロの花を思わせる風体で、うつむいた萼のなかに花の裂片が見えています。

<補注1> マングローブ樹種という括りのなかでの仲間であるゴバンノアシを収録しました。(2018年12月31日
<補注2> メヒルギの実(種)を見たことで、胎生種子というしかけを知りました。なお、上の本文中でヒルギの「オ」と「メ」が紛らわしい言い方になっていました。雌雄関係ではなく、葉や木が大きいオヒルギ、葉先が丸くて優しいメヒルギという形態差を表す名付け(属違い)です。(2019年12月28日
<追録> 終わった花(萼:左端)のなかで、緑の子房が膨らみかけていました。(撮影:2019年12月28日)
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<補注3> 八重山の地でオヒルギが自然に育つ様子を見て、その大きさと膝根に感動しました。(2025年1月2日

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1月21日(金) ジュズサンゴ

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きのうのカラテアナンタラカンタラ(笑)に比べると、この単純明快な名前にはとても好感が持てます。もちろん姿もかわいいし、うまい具合に実と花のツーショットを撮らせてくれるなんて、サービス精神も満点です。
おまけに、なんとヤマゴボウ科だそうです。そう言われればあのヨウシュヤマゴボウを小さくしたような雰囲気で、葉の感じもよく似ています。
あらためて考えると、ヨウシュヤマゴボウも実と花を同時に見ることができます。この科の植物は、いくら実をつけても安心しない、しぶとい性質のようです。

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1月20日(木) カラテア・クロタリフェラ

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近場南国とは言えジャングルみたいに鬱蒼とした緑のなかで、うぉ、巨大昆虫か!と目を見張りました。穂の長さは30㎝ほどもあります。
この虫の腹みたいな物体も、きのう載せたレッド・ジンジャーと同じで苞です。残念ながら、こちらにはシベの残骸さえも見当たりませんでした。
花(苞)も葉の姿も二つは同じような作りに見えるのに、かたやショウガ科、こちらはクズウコン科で、関係はありませんでした。イエロー・ジンジャーなら覚えやすいと思ったのに、こんな名前では三歩進めば忘れてしまいます。

<補注1> この掲載のときはカラテアのなんたるかをまったく知りませんでした。カラテア本来の鑑賞ポイントを葉と考えると、このクロタリフェラのそれは異端とも言うべき単純さです。(2019年2月6日
<追録> 葉と花の様子を見直しました。(撮影:2019年12月27日)
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クロタリフェラの葉はカラテアとしてはとても大きめで、60cmほどの長さがあります。
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カタツムリはあくまで添え物で、一輪だけ残っていた花が主役です。
<補注2> 旧カラテア属の多くがゴエッペルチア属に改変されるなか、このクロタリフェラはカラテア属のままです。その(新)カラテア属の特徴である籠のような花穂には掲載当初も注目していたので、少しだけエッヘン!です。(2024年1月19日

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1月19日(水) レッド・ジンジャー

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大きな(1m前後)葉の緑のなかに真っ赤な穂が映えます。去年はこれを花だと思い、帰宅後に苞であることを知ったので、今回はリベンジ訪問でした。
たしかに、苞のなかにシベの残骸のようなものが見えて、「なぁーんだ、花弁のない花なのか」と落胆してしまいました。そして、ウチに帰って再度調べたら、あらら~、苞と同じくらいの大きさの、純白の花をとらえた写真がネットにはありました。
まるで子供の使いみたいに進歩のないことで嫌になります。毎日観察できるものならいいのに、いつになったら、うまいチャンスに出会えることやら…。

<補注1> あまり使われないものの、レッド・ジンジャーにはアカボゲットウ(赤穂月桃)という標準和名があります。(2019年1月)
<補注2> 標準和名・アカボゲットウも絡む名前のフイリゲットウを収録しました。(2023年3月1日

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1月18日(火) コバノナンヨウスギ

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オーストラリアのノーフォーク島が原産の地なのでノーフォークマツという別名を持ちます。「スギかマツか、はっきりしろよ」という厄介な樹種で、同属のチリマツも別名がヨロイスギ…困ったもんだと言うしかありません。
現地では60~70mに育つ木が日本では10m程度にしかならず、しかもきれいな円錐形の樹形になるので、洋風の庭園に好んで植えられます。
「コバノ」ではないナンヨウスギもある(注1・2)ので、見かけたときには葉のサイズを比較できるショットが不可欠です。

<補注1> この記事の段階で狙っていた「ふつうの」ナンヨウスギには出会えないまま(↓)、ヒロハノナンヨウスギを収録しました。(2022年9月15日
<補注2> ついにナンヨウスギを収録できました。(2025年1月12日

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1月17日(月) ハイビスカス(ブッソウゲ)

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「物騒、ゲッ!」ではなくて「佛桑華(または扶桑花)」です。ふつうはハイビスカスと呼ぶでしょうに、それだとアオイ科フヨウ属の属名そのままなので、正確にはブッソウゲという和名を使うべきだそうです。ゲッ!
もちろん温室での撮影です。きのうは志木もやたら冷え込みました。しばらくはヌクヌクと近場の熱帯巡りが続きそうです。
ところで、この季節、急に暖かい場所に入るとレンズが真っ白になって、しばらく撮影不可になります。これを避けるうまい手立てを研究中(笑)です。

<ハイビスカスのバリエーション・掲載順>標準タイプ ☆ フラミンゴタイプ ☆ アーノッテアヌス ☆ 八重タイプ ☆ 紫音 ☆ ロバツス ☆ ミニピンク ☆ インスラリス ☆ フラムルージュ

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1月16日(日) コチョウラン

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去年はつい変わり種を追いかけてピンクの花を載せたことを反省し、今年は胡蝶蘭の王道である白に迫ってみました。一つの花の差し渡しが10㎝以上もあって、じつに堂々とした風格が漂っています。
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と言いつつ、「おぉ、すごぉ」などとこんなあざといタイプにも擦り寄ってしまいます。こういう華やかな美を生み出すのも、たぶん栽培家の営々とした努力があってのこと…そんな抹香臭い締めで、自分の軽佻浮薄さを取り繕っておきます。

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1月15日(土) アンスリウム(ラベンダー・レディー)

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ちょっと食指をそそられるアンスリウムを見つけました。前に、切り花でアンスリウムの見本帳みたいに各色そろえたことがあって、そのとき買い求めたお店にはこういう色はありませんでした。よくまあ、いろいろなタイプがあるものです。
品種名(ラベンダー・レディー)で検索すると、ほとんどがラベンダーそのものにあたるので、まだそれほどポピュラーではないようです。仏炎苞の長さが10cm弱と小振りで、部屋のなかでも場所をとらないのがうれしい特性です。

<補注1> 和名優先の自分ルールでいけば、これはアンスリウムよりもオオベニウチワを先に表記し「オオベニウチワ・ラベンダー・レディー(アンスリウム・アンドレアヌム・ラベンダー・レディー)」とすべきかと思います。ただ、これは園芸種であって、長ったらしい名前とは無縁と思い、タイトルは俗称で示します。
<補注2> アンスリウム属の多様性を知らされました。( ☆2021年4月21日 ☆ 2022年12月27日

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1月14日(金) カナリーヤシ(フェニックス)

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南国ムード漂うこのヤシは、案外に寒さには強くて、関東南部であっても寒風を避けられる場所なら、こうして立派に育つようです。
俗にこれをフェニックスと呼ぶのは、学名が Phoenix canariensis だからで、属名を独り占めさせないよう、ちゃんとカナリーヤシと呼んであげたいものです。
見どころの鋭い葉だけでなく、今回は花蕾らしいものをつけた黄色い穂と、前年の実のツーショットに魅せられました。春に咲くという白い花がどれほどの大きさか(この高さではかなり撮影困難?)、いまから楽しみです。

<補注> ナツメヤシかと思って実を囓ったらマズくて、カナリーヤシなのだと思い直すという経験をしました。(2015年1月31日

2010年のきょうコクテンギ> 2009年のきょうラクウショウ> 2008年のきょうニホンスイセン> 2007年のきょうチチコグサモドキ> 2006年のきょうツルウメモドキ> 2005年のきょうカンツバキ

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1月13日(木) センダン

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空を見上げて、思わず「お見事!」とつぶやいてしまいました。被写体が少なくなるこの季節にはどうしても目立つので、あちこちでこの木にレンズを向けてきました。そんな思い出を探ってみても、いままででこれが最高の稔り具合です。
ただ、美しいのはいいとしても、人間にとっては食用にならず、ほかの用途も聞きません。鳥も好んでは食べません(注)。つまり、これは孤高の美なのです。
誰からアテにされるでもなく、ただひたすら寒風のなかに美しく立ち尽くす…ストイシズムの権化のようなその姿に、心のなかでそっと拍手を送りました。

<補注> 「好んでは食べない」という評価はやや不適切のようで、12月のうちからヒヨドリが集団でこの実を啄んでいるのを目撃しました。(2015年1月)

2010年のきょうハアザミ(アカンサス)> 2009年のきょうハアザミ(アカンサス)> 2008年のきょうヒヨドリジョウゴ> 2007年のきょうツルウメモドキ> 2006年のきょうクヌギ> 2005年のきょう房咲き水仙・ペーパーホワイト

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1月12日(水) リュウキュウバショウ

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冬の間は南の島で芭蕉を眺めながらのんびりと…などという話は夢物語として、せめて温室でその気分だけ味わってきました。露地ではすっかり段ボールのようになっている芭蕉が、こんなにバオバオと元気に葉を広げていました。
見上げた高みに、バナナかと思うくらいたくさんの実がついていました。残念ながらこの芭蕉は糸をとって布を作るためのもの(注)で、実は種だらけで食用には不適だそうです。たしかに、先日ここに載せた島バナナと比べてもずっと細くて短くて、まるで「食べさせてなんかあげないよ」と手を突き出して拒否しているように見えました。

<補注> イトバショウという別名を持ちます。

2010年のきょうツワブキ> 2009年のきょうハリエニシダ> 2008年のきょうロウバイ> 2007年のきょうドイツトウヒ> 2006年のきょうセンダン> 2005年のきょうツクバネガキ(ロウヤガキ)

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1月11日(火) フユアオイ

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冬にも葉が緑だから冬葵という説のほかに、冬にも花をつけるからという説もあって、その「花由来」説をしっかり支持できる一枚が撮れました。
これは返り咲きではなく、11月・12月とちゃんと咲き続けていたのを確認しています。花の後方に大きな実がボケて写っていて、寒くなってもこうやって順々に枝先に花をつけていることがわかります。
ただ、本来はもう少し広がる花びらが、寒さのせいか筒型につぼんだままでした。午前中も午後もこんな感じだったので、季節のいいときに撮り直したいものです。

<補注> フユアオイの関連種であるオカノリを収録しました。(2020年10月20日

2010年のきょうユズリハ> 2009年のきょうハリギリ> 2008年のきょうシマダケ> 2007年のきょうゼニゴケ> 2006年のきょうイブキ(ビャクシン)> 2005年のきょうカンザクラ

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1月10日(月) ブータンルリマツリ

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本来は11月いっぱいが開花期とされているのに、陽だまりでこのようにしぶとく咲き残ってくれていました。一方、葉は寒さできれいに色づいている(本来は緑)ので、まるで作り物のような色のコントラストで花壇を賑わせています。
この花の名前を知っても、ブータンという国の正確な位置をイメージできなくて、世界地図を広げてみました。なるほど、インドと中国に挟まれて、西をネパールに接し、ヒマラヤの南麓にありました。
広さは九州と同じくらいなのに、海抜が南部の100mから北部の7,500mまでものすごい差で、もしかしたら国全体が急斜面かと勝手な想像を楽しみました。

<補注1> ふつうのルリマツリ(Plumbago auriculata)はこちらです。
<補注2> 同属(Ceratostigma)のなかにはルリマツリモドキがあって、花の時期がやや違います。(2019年9月28日
<補注3> 同属のアルタイルリマツリを収録しました。(2021年10月13日

2010年のきょうカゴノキ> 2009年のきょうチャボタイゲキ> 2008年のきょうツバキ(詳細不明)> 2007年のきょうトウガラシ(ゴシキトウガラシ)> 2006年のきょうシバザクラ> 2005年のきょうダイコン

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1月9日(日) マメキンカン(キンズ)

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きのうの八朔と比べると、その実はあまりにも小さくて、5円玉がこんなに巨大に見えるほどです。もちろん、なかは種だらけで、食用にはまったく不向きです。
これは温室で育っていたものです。近所には露地で育てているお宅もあるものの、色づきがこれほどきれいではありません。実だけでなく木もコンパクトなので、観賞用として室内で育てるのが適切なようです。
もっとも、チビのくせに凶暴な棘がついていますから、うっかり怪我をしないように、しっかり鉢と距離をとれる環境は不可欠です。

<補注> タイトルに補足した「キンズ」は金豆と書き、マメキンカンの別名(盆栽にしたとき、こう呼ばれることが多いらしい)です。

2010年のきょうカンボタン> 2009年のきょうカンザクラ> 2008年のきょうレモン> 2007年のきょうネメシア> 2006年のきょうタマサンゴ> 2005年のきょうロウバイ

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1月8日(土) ハッサク

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ハッサクは八朔と書き、「朔」は陰暦でいう「一日(ついたち)」のことです。この実はそのころ(8月初め・注)においしいよ!という簡潔明瞭なネーミングです。
ところが、味もやや簡潔明瞭なので、最近いろいろ作出される新柑橘類にシェアが押され気味です。シンプルイズベスト、もっと見直されてほしいものです。
表面のデコボコが少なくて、皮に艶があり、見かけがなかなか美人です。柑橘類の見分けにはずっと苦労してはいても、このハッキリした色合いときれいな肌はしっかりと覚え込みたいものです。

<補注> 夏みかん系の可食時期について考えました。(2014年3月5日

2010年のきょうクログワイ> 2009年のきょうウメ(寒紅梅)> 2008年のきょうオニドコロ> 2007年のきょうマーガレット> 2006年のきょうイヌリンゴ> 2005年のきょうマサキ

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1月7日(金) カンレンボク

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冬に入っても青々していたカンレンボクが、ようやく葉を落としました。わずかに残る葉も青いままなので、期待した色づきはどうやら見られない樹種のようです。
そして、色も形もバナナのよう(ただしサイズは極小)だった実は、こんなに枯れてしまいました。殻が平らに割れて、ずいぶんな数の種が飛散したことでしょう。
どこかに実生の芽があればと思っても、この木の近くでそんな兆しを見たことがありません。中国南部の産だということで、国が気むずかしいのは仕方ないとして、木の種までへそ曲がりでなくてもいいのに…と残念しきりです。

<補注> 夏、葉のつき方と樹皮に注目できました。(2023年8月19日

2010年のきょうイオノプシディウム(バイオレットクレス)> 2009年のきょうノリウツギ> 2008年のきょうオオイヌノフグリ> 2007年のきょうニンジン> 2006年のきょうザボン> 2005年のきょうヒメキンセンカ

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1月6日(木) ガガブタ

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盛りのころには水面がビッシリと葉で覆われていて、水中のしくみを覗き見ることなど、まったくできませんでした。「いま明らかになるガガブタの実態」です。
ガガブタには、名前(鏡蓋)のもとになった浮葉のほかに水中葉もあるわけで、水面の葉が枯れたこの季節にも、それはまだ青みを見せていました。
水中のところどころでヒゲのようにフサフサしているのは「殖芽」と呼ばれる芽です。越冬芽とも呼ばれるこれ(注)が水中で分散し、今年もまた水面一杯にあの美しい花を咲かせてくれることでしょう。

<補注> 越冬のためではなく、夏枯れをやり過ごすタイプの殖芽もありました。(2012年2月19日

2010年のきょうシュロガヤツリ> 2009年のきょうタラヨウ> 2008年のきょうコナラ> 2007年のきょうスギゴケ> 2006年のきょうノイバラ> 2005年のきょうヒヨドリジョウゴ

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1月5日(水) カルドン

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あの巨大なアーティチョークとはキク科チョウセンアザミ属の仲間同士です。ただし、こちらは寒さに強いようで、こうして冬に株が展開してきて、どうやらこのまま、夏に花をつけるまでグングンと大きさを増していくようです。
もっとも、萼や花托を食べるアーティチョークとは違って、このカルドンは茎を茹でて食べるのだそうです。こんな寒さのなかでもニョキニョキとのびているその部位は、いかにも食欲をそそる姿でした。

<補注> 終わり気味の花をアーティチョークと比較し、ついでにアーティチョーク試食記も載せました。(2021年8月)

2010年のきょうキチジョウソウ> 2009年のきょうサザンカ(白八重)> 2008年のきょうミミズバイ> 2007年のきょうオオキバナカタバミ(オキザリス・セルヌア)> 2006年のきょうナンキンハゼ> 2005年のきょうノイバラ

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1月4日(火) ヒメコウジ(チェッカーベリー)

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公園の花壇を飾っていました。15㎝ほどの高さで、這うように枝が広がっていて、いわゆるグランドカバーにとても向いた性質に見受けます。
夏に咲く花は残念ながら気づかずに過ごしてしまいました。いかにもツツジ科らしく、ドウダンに似た白い釣り鐘状だそうです。
さすがに姫というだけあって、ヤブコウジよりは華やぎがあります。実が大振りなのもうれしいし、冬には葉がこうして赤くなって彩りを添えてくれます。英名のチェッカーベリーも音がかわいくていいとは思っても、なんのchecker(照合する人)なのか、あるいはどこが格子模様なのか、意味の想像がつかず(注1)に困っています。

<補注1> 英文ページに「An Americanism dating back to 1770–80; perhaps so named from its appearance」とあるのを見つけました。(2021年1月)
<補注2> 同じツツジ科シラタマノキ属のシンジュノキを収録しました。ほかにこの属メンバーとしてはシラタマノキアカモノを収録しています。(2022年12月12日)

2010年のきょうホンコンカポック(シェフレラ)> 2009年のきょうアカザ(暫定)> 2008年のきょうハマアザミ> 2007年のきょうユーカリ> 2006年のきょうソシンロウバイ> 2005年のきょうオタフクナンテン

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1月3日(月) チリマツ(ヨロイスギ)

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正月三日目はちょっと珍しい松です。チリと言えば地震の多い国であって、この松はそんな火山性のアンデスの山々に生えているのだそうです。
まるでサボテンのような風体でも、現地では40mもの高さに育つと言います。それが林立している光景を想像すると、世界の広さを実感します。
さてこのチリ松、別名では鎧杉とも呼ばれ、何度か話題にしている「松かい、杉かい?」の混乱に加担している困ったヤツでもあります。分類的にはナンヨウスギ科になりますから、別名の方もしっかりと覚えておかなくてはなりません。

<補注> ちょうど1年前掲載のブラジルマツ(標準和名:パラナマツ ↓ )とは同属(ナンヨウスギ属=Araucaria)です。

2010年のきょうブラジルマツ> 2009年のきょうカクレミノ> 2008年のきょうフウセントウワタ> 2007年のきょうギョリュウバイ> 2006年のきょうシロミナンテン> 2005年のきょうウメ

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1月2日(日) ダイオウマツ

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年甲斐もなくフサフサとした髪なんて自分には似つかわしくないや…と負け惜しみをつぶやきながら、それでもダイオウマツを見るたびに羨望のため息をついてしまいます。松に嫉妬しても始まらないのに、まことに憎たらしい眺めではあります。
そうだ! もしかしたらこの松葉のエキスを飲むとか頭皮につけるとかすれば、頭髪がぐんぐんとのびてくるのではあるまいか。そしたら自分は若返るわ、一躍億万長者になれるわ、ウッハウハではあるまいか…。
あーァ、年の初めがこんなお馬鹿では、今年も知れた年に終わりそうです。

<補注1> ダイオウマツの松ぼっくりに注目してみました。(2018年2月10日
<補注2> 若葉のなかに雌花を見つけました。(2023年5月3日

2010年のきょうハイマツ> 2009年のきょうロドレイア・ヘンリー> 2008年のきょうゴクラクチョウカ> 2007年のきょうキンセンカ> 2006年のきょうイイギリ> 2005年のきょうモウソウチク

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1月1日(土) アカマツ

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幹の先が不自然に終わっているのは、雷にでも打たれたのでしょうか。庭木ではなく山のなかの大木なので、人の手で無理に矯められた姿ではありません。
それでも折れたところから枝を張って、ちょっと味わいのある樹形に回復しているのが樹木の力強さです。落雷被害くらいでメゲちゃいかんぜよ!です。
しかし、昨今の不景気は落雷のように一過性ではなく、根腐れとか松食い虫みたいに執拗です。元旦の記事としては、そんな悪性の病から立ち直った松の木を載せたかったところでも、いやいや、松の木に頼るなんて弱気を起こさずに、「稼ぐに追いつく貧乏なし」をモットーに、今年もしぶとくがんばることにいたしましょう。

<これ以外のアカマツ記事・掲載順> ☆ 丁寧に剪定された樹形 : 2009年1月26日 ☆ 雪吊りの松 : 2010年1月1日 ☆ 雌花・雄花 : 2011年5月26日 ☆ 雪折れした幹 : 2014年2月25日 ☆ 群生の幹 : 2017年9月2日

2010年のきょうアカマツ> 2009年のきょうヒメコマツ(ゴヨウマツ)> 2008年のきょうダイダイ> 2007年のきょうハタザクラ> 2006年のきょうユズリハ> 2005年のきょうクロマツ

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