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お勉強編 : タチアオイの同花受粉

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タチアオイの花がかなり房の上まで咲き上がってきて、梅雨が終わるのはうれしいとしても、そのあとの酷暑を思うとやや身震いしてしまいます。
そのタチアオイのなかで、これ(↑)はもっとも好きな色(注1)です。ドスがきいています。このせっかくの花びらが花粉で汚れてしまうのは、じつに惜しい眺めです。
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さてここからはタチアオイに人生を学ぼうという企画で、ごくふつうのピンクのタチアオイが教材です。タチアオイが開花すると、まずこのように雄シベ(の花粉)しか見えない状態が二日ほど続きます。
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さてはタチアオイは雌雄異株だったかと思うと、それは考え過ぎというものです。同じ茎の下方には、雄シベの群れの先端から、何本もの雌シベが心太(ところてん)のように飛び出している花(↑)がありました。
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その雌シベは、翌日になると噴水のよう(↑)に下に向かいます。
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ついには雄シベの花粉のなかに自分の頭を埋め込んでしまいました。できれば自家受粉は避けたいので、初めの数日は虫が媒介してくれるのを待ち、それに続く雌性期の最後には、念のために自分の花粉で受精しようとする(注2)のです。
こういう用心深さは大切だなあと思いつつ、人生のどこでこの知恵を生かすべきかさっぱり思いつかないワタシには、どうも大した老後は待っていないようです。

参考図書:田中肇著「花と昆虫、不思議なだましあい発見記」

<補注1> 1枚目写真よりもさらに花色が黒っぽいタチアオイを見つけました。(2012年6月30日
<補注2> 4枚目・5枚目の写真を補完する自家受粉期のタチアオイを写しました。(2015年6月22日

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コメント

さすが!
雄性期と雌性期があるのは知ってましたが、
自家受粉までは見てませんでした。

投稿: waiwai | 2010-07-11 17:21

waiwaiさんへ:
いえいえ、ぜんぜん「さすが」ではなくて、まったく
田中先生の受け売りなんです。
こういうのを見ると(知ると)、やっぱり植物にも意思はあるのだと
考えたくなります。

投稿: はた衛門 | 2010-07-11 18:30

はた衛門さん、おはようございます。
わたし、最近ホタルブクロバージョンで
自家受粉を避ける工夫のお話をお聞きしました。
ホタルブクロのお話には、
最後の〝念のために〟というお話はなかったです。
さらにその用心深さを教訓になさろうとするお話も
当然ありませんでした。
わたしには後のお話がいろいろ想像できて、
おもしろかったですけれど・・・

投稿: ブリ | 2010-07-12 09:42

へ~
そんなこと、全然知りませんでした。
タチアオイ、まだ咲いているので、もう一度見直してきます。

投稿: ぴょんぴょん | 2010-07-12 16:22

なんと、これはすごいです。
そんなこととは知らず、昨日、タチアオイを3本切ってしまいました。観察もせずに・・・せっかくお教えをいただいたのに・・・老後は・・・

投稿: zenpeichan | 2010-07-12 21:38

ブリさんへ:
そうなんですよ。「避ける」工夫は皆さんいろいろ熱心なんです。
せっかく避けたのに、最後に自分から突入するっていうのがねー、、、
スゴすぎます!

ぴょんぴょんさんへ:
今朝は涼しいですね。
終わりそうだったタチアオイも復活ですかね~。

zenpeichanさんへ:
おやおや、始末のよろしいことで。
それだけ整理整頓がよろしければ、未来はゼッタイ大丈夫!!

投稿: はた衛門 | 2010-07-13 07:01

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