5月3日(月) ヘビノボラズ
腰よりも低い位置にこのようにうつむいて咲くので、愛想にはやや欠ける花です。いえいえ、愛想のなさを言うならば、葉の付け根から飛び出した長くて鋭い棘には誰も勝つことができないでしょう。いったいなにを刺そうとしてこんなに尖ったのかは考えつかなくても、これではたしかに蛇も避けて通るはずです。
しかし、花粉の交配は棘を厭わない虫や蜂に頼るとして、心配なのはその後です。夏には緑の実ができて、秋にはそれが赤く熟します。その実を運ぶのは虫や蜂では無理なので、トリトマラズ(別名)の棘は自分の首を絞める愚挙としか思えません。
ところが秋になると、二つずつ下がっていた実がちゃんと片方がなくなってきます。誰に啄(ついば)んでもらわなくても、完熟して自然落下する手でしょうか。それにしては実の赤さの目立ち具合がまるで無駄に思えます。この凶悪な棘は、蛇や鳥を刺すためのものではなく、浅学な観察者の心に刺さるものだったと、いま、気づきました。
しかし、花粉の交配は棘を厭わない虫や蜂に頼るとして、心配なのはその後です。夏には緑の実ができて、秋にはそれが赤く熟します。その実を運ぶのは虫や蜂では無理なので、トリトマラズ(別名)の棘は自分の首を絞める愚挙としか思えません。
ところが秋になると、二つずつ下がっていた実がちゃんと片方がなくなってきます。誰に啄(ついば)んでもらわなくても、完熟して自然落下する手でしょうか。それにしては実の赤さの目立ち具合がまるで無駄に思えます。この凶悪な棘は、蛇や鳥を刺すためのものではなく、浅学な観察者の心に刺さるものだったと、いま、気づきました。
<補注> この年の秋は実がきれいに残っていました。(2010年11月15日)
2009年のきょう<ギンラン> 2008年のきょう<フサスグリ> 2007年のきょう<シュンギク> 2006年のきょう<ムクノキ> 2005年のきょう<ワスレナグサ> 2004年のきょう<カリフォルニアポピー>
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コメント
おはようございます。
楽さんのところから、初めてお邪魔いたします。
面白い洞察や詳しい観察で、楽しい上にとても勉強になります。
しかも5年以上も続けていらっしゃって、リンクで同じころも見られるのなんてとて嬉しいです。
素敵なブログに出会えてとても喜んでいます。
ありがとうございます。
ヘビノボラズ(トリトマラズ)は全く知りませんでしたが、愉快な命名ですね。
サルノコシカケ、サルトリイバラ等、動物シリーズも探すと面白いかもしれませんね。
私もペンタックスのマクロで植物を楽しんでいます。
又お邪魔させて下さい。
投稿: とんとん | 2010-05-03 09:36
ヘビノボラズ(トリトマラズ)、私も、名前を聞くのははじめて、勿論、写真を見るのも初めてです。
堅くて痛そうな刺、これでは、人間様もちょっと手が出せませんね。
投稿: ぴょんぴょん | 2010-05-03 14:36
あれ?今日は随分謙虚な口調の師匠ですね。さすがの師匠も手をこまねいておいでですね。
腰より低い位置に俯いて咲くなんてなんと謙虚な・・・師匠のようではありませんか。相性が良いのかも知れませんよ。
投稿: zenpeichan | 2010-05-03 20:42
とんとんさんへ:
ようこそお出でくださいました。
あ、ペンタックスのお仲間ですね。こちら超初心者ですので、
これからいろいろ教えていただけるとうれしいです。
おっと、とんとんさんのところにお邪魔してみてびっくりです。
この春、裏高尾というところに行ってみたいと思って検索したとき、
とんとんさんのハナネコノメの記事を拝見しておりました。ご縁ですね。
ぴょんぴょんさんへ:
ね~、どうしてこんなに尖らなきゃいけないんでしょうね(笑)。
きれいな花に棘があるのはバラの専売特許じゃないよ!とでも
言いたいんでしょうかねえ。
zenpeichanさんへ:
あれ、謙虚でしたか。ん、いつも謙虚ですがねえ(笑)。
こういう危険物も、お庭に一本、いかがですか?
投稿: はた衛門 | 2010-05-04 07:13