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11月30日(月) シロダモ

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花と実を一緒に見られるのがシロダモの美点で、寂しくなりつつあるいまごろの景色をクリーム色と真っ赤の取り合わせが飾ります。もっとも雌雄異株なので、シロダモの木を見つけてもこの楽しみに出会える確率は50%(注)というところでしょう。
似たようなショットを以前にも掲載してはいても、そのときよりは少しだけきれいに撮ることができました。葉の基部にくっきり見える3本の脈がシロダモの特徴で、葉の縁は軽く波打っています。雌花はその性格上、見かけはやや地味です。
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おっと、花の奥でぼやけてしまった実(↑)にもピントを合わせておきましょう。
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そしてこちら(↑)がこの時期の雄株を賑わせている雄花です。雌花に比べてかなりモコモコと派手な見かけです。ただし、実がなくて花だけの一人芝居をうら寂しく感じるのは男の僻(ひが)みでしょうか。
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こうして近づいてマジマジ見ると、雌花とは違って雄シベが我勝ちに背のびして花粉をばらまこうとしているのがわかります。

<補注> シロダモの雌雄比率を単純に半々と考えていたら、自然状態ではそれが怪しいかもしれない事実に出会いました。(2016年11月13日

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番外編 : 旅のおまけ

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こんな貴重な瞬間に出会えるのが旅の楽しさです。携帯のカメラしかなかったのが無念です。ここにはマッサージチェアが置かれていたので、もっと極楽気分を味わうこともできたのに、これも無念なことに、そこまでヒマではありませんでした。
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このあとで、実際に自分が乗ったのはこんな小さな飛行機(手前のバスが大きく見えます)でした。ずいぶん前にYSに乗って以来のプロペラ機で、高翼双発というスタイルはなにやらセスナの親分みたいなものです。離陸するとき、まるで足の裏が滑走路をこすりそうでスリリングでした。
目的地の空港に着いたら、滑走路から空港ビルまでは地上を徒歩移動でした。まるで専用機を降りたVIPの気分です。もっとも、ビルの前には迎えのリムジンはなく、そこで乗り込んだのは乗り合いのリムジンバスというのがトホホなオチでした。

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11月29日(日) センニンソウ

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仙人のおひげの脇で、仙女の舞のごとくに花が咲いて(注1)いました。11月ももう終わりです。はて、これは異常現象なのか、あるいは心配するほどのこともない茶飯事なのか、自分は初めて見た絵柄なので記録しておくことにしました。
別の場所ではアジサイキンシバイが咲いているのを見ました。キンシバイはとにかく、アジサイのように大仕掛けな花が、この季節外れに蕾の形成から開花まで一気に進む(注3)のだから驚きます。

<補注1> 後年、まったく別の場所で同じ時期にセンニンソウの開花を見ました。通常の開花時期の様子はこちらです。
<補注2> センニン「ソウ」の名にすっかりだまされていて、ようやく半低木(または多年草)と知りました。(2020年12月12日
<補注3> アジサイの花芽分化は10月中旬~11月中旬には行われていて、生殖機能の充実は翌年5月以降であるものの、秋に開花する下地はあるようです。(2020年秋・香川大学農学部レポートより)

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11月28日(土) マユハケオモト

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ひと月前に載せたら意外に反響があったので、図に乗って「マユハケオモトのその後」のレポートです。
という大げさな出だしが悲しくなるほどに「なんですか、これ」の一枚です。いやあ、実がなっているんです。それだけです。花が咲けば実がなる、という厳然とした事実を確認しただけであって、名前を借りたオモトのそれとはちょっと違う感じです。
いまからオモトのようにこの茎がせり出して実が赤く色づくという可能性もあるので、この鉢のオーナーさんが枯らさずに育ててくれることを祈るばかりです。

<補注> 実の追跡にはまだ成功していないものの、「一面マユハケだらけ」状態を撮影できました。(2020年1月12日

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11月27日(金) カミヤツデ

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大きなカミヤツデの木を、幸運にも崖の上から眺めることができました。満開の白い花と濃緑の葉表とのコントラストが、下から見るのとはまた違う美しさです。
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大きな木と簡単に言っても、これがどれだけ大きいものか、葉にスケール(15㎝)をあててみました。差し渡しで75~80㎝はあることがわかります。
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花は、それこそヤツデによく似ています。おっと、これが実を結ぶとどうなるのか未確認です。暖かいところでないと花のまま枯れるという報告もあるので、うまく稔ったシーンを撮ることができるかどうか、運試しかもしれません。

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11月26日(木) シャコバサボテン

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鉢植えを玄関先に出してくれているお宅があって、厚かましくもパシャリと一枚いただくことができました。
ところで、ワタクシ、蝦蛄(しゃこ)が好物です。だからこれも好きかというと、それは別の話で、むしろちょいと斜に構えて見ています。なぜなら蝦蛄葉という名前からして、この蝦蛄状物体を葉と思ってしまいがち(正解は茎)だからです。
ものごとを正確に表現したいなら、これはシャコグキサボテンと呼ぶべきです。シャコグキサボテン、シャコグキ、…、グキ(舌を噛んだ音)。ア、やっぱりシャコ「バ」でいいことにしておきます。

<補注> シャコバサボテンの花に迫ってみました。(2013年11月22日)(2024年1月9日

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11月25日(水) サカキ

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きのうのツルソバとの出会いは神様のお導きに思えるので、きょうは感謝のしるしに玉串を捧げましょう。
おととしの大晦日もこれを載せたので、実をつけたシーンは二度目の登場ではあっても、今回の方が実のつき具合が豊かです。いまごろだと、鳥さんたちもまだほかのものを食べるのに忙しいようです。
前の写真には入れていなかった幹を写せた(右端)のも再登場の別の要因です。などと偉そうに言っているわりには花がまだでした。ツルソバよりは苦労せずに写せそうなので、あとは予定を忘れない記憶力だけが問題です。

<補注1> ようやく花の姿を収録しました。(2016年6月22日
<補注2> まだ青い段階の実を写しました。(2019年10月7日

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11月24日(火) ツルソバ

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ソバ→ツルソバ→ヒメツルソバという名前の繋がりの真んなかがコレクションには抜けていて、これがホントの間抜けだわいと自虐的でした。
そんなこれまでの悲しさが一気に吹き飛ぶ画像です。遠く観音崎まで足をのばした甲斐がありました。自生地はかなり局地的だし、あまり大事にされているようではなかったものの、陽光と海風を受けて、こんなに元気に咲いていました。
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早いものはもう結実(↑)していました。黒い実は、触るとポロリと落ちます。
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たしかに、ソバの茎が長くのびた感じは「蔓」蕎麦です。したがって、ソバ→ツルソバの関係は簡単に合点です。それに比べるとツルソバ→ヒメツルソバはちょっと距離がありそうでも、その気になって見れば、なるほど繋がってはいるようです。

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11月23日(月) ラクウショウ(ヌマスギ)

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中学校の授業あたりから有名なメタセコイアに比べ、知名度がかなり落ちるので「落」羽松…などといい加減なことを言ってはいけません。羽のような葉が落ちる前、ひとときの美しさを見せてくれていました。
目立ちたがりの実のことは前の冬に取り上げたので、今回は葉についての基本知識の確認です。向かい合った小さな葉が互生であることはこの写真では見にくくても、それらが集まって羽のようになった軸まで互い違いなのがわかります。全体の姿がよく似ているメタセコイアは、これらが対生です。
などと過去の掲載をたどっていたら、メタセコイアの黄葉や実の姿をまだ撮っていない(注1)ことに気づきました。撮影課題は尽きることがありません。

<補注1> メタセコイアの黄葉と実を収録しました。(2009年12月9日
<補注2> タイトルに補足したヌマスギはラクウショウの標準和名です。

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番外編 : ホットする(?)お菓子

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例の「体温を上げるとナンタラ…」という本のせいで、生姜がブームになりつつあるそうです。前々から愛用(朝の紅茶に摺り入れ)していた身としては、「ウェ~、売り切れたり、値段が上がったりしたらヤダなァ~」と心配です。
そうなる前に、ちょっと買い込んで生姜糖を作ってみました。カリッと乾いた砂糖がきれいにかかって上出来であっても、じつはこれは二度目の作品です。最初はベトベトの大失敗でした。原因はザラメでやるところを三温糖にしたせい(たぶん)で、勝手な自己流はとんでもないことになることを痛感しました。
そもそもこれを作ってみようと思ったのは「ぴょんぴょんさん」のブログで刺激されたからで、そこには丁寧なレシピがあったのです。そのとおりにやれば、これこのとおり! 毎日摺りおろす手間がいらず、おいしくて体が温まります。砂糖が邪魔なような気はしても、危ないお菓子や煎餅に比べれば、ごくごく微量で健康的なはずです。

<補注> 慣れたつもりでいたら、とんでもない失敗作を作ってしまいました。(2010年2月19日

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11月22日(日) ホコリタケ

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松の木の下で見つけたこのキノコ、押すと穴から茶色い煙が出てくるので、子供のときはむやみに潰して遊んだものでした。
松林にあるし、コロコロしているし、てっきりこれがショウロ(松露)だと思っていたのに、今回マジメに調べたら、そんな高級品ではありませんでした。なんともかわいそうな、しかしなるほどピッタリな名前(別名はキツネノチャブクロ)でした。

<追録> 茶色い煙が噴き出すところを狙ったのに、左手と右手がうまくシンクロしませんでした(涙)。本人の網膜にはけっこうな量の煙が焼き付いたので、一応、この写真を追加しておきます。(撮影:2019年11月4日)
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11月21日(土) アブラチャン

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まん丸の青い実がプラプラするのを見つけて喜んでから、はや3カ月、怪獣が殻を割って出てくるみたいに外皮が割れ始めていました。涼しげに緑の木陰を作っていた葉は、もう一枚も残っていません。
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この皮は意外に薄くて、裂けた割れ目からこぼれるように大きな種が出てきます。
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種をつぶしてみると、こんなに指に粘り着きます。この粘りが名前の由来(チャン=瀝青=アスファルト)とわかっても、さて本物のアスファルトのように物作りの役に立つほどとも思えません。仮貼り糊の代役はどうかなあとか弄くり回しているうちに、家族に「もういいでしょ。気持ち悪いよ」と捨てられてしまいました。

<補注> アブラチャンについての過去記録を一覧にしました。(2016年3月20日

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11月20日(金) イワニガナ(ジシバリ)

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ふつうは春の花なのに、この手の輩は隙あらばいつでも咲いてくれます。土手で気持ちよさげに陽光を浴びていたところを、ちょいと根の具合を拝見しました。
別に意地悪をしたのではなく、ジシバリ(地縛り)という名前の由来を確かめようとしたわけです。オーケー、しっかり根がつながっています。ちゃんと埋め戻してあげるから、怒らないでちょうだいね。
さて、ここに載せようと調べ直しをしたら、あらら、ジシバリは別名で、標準和名はイワニガナ(岩苦菜)でした。これではせっかく特別出演してくれた根に申し訳ないし、身近な野草がいかめしい存在に変身してしまう堅苦しい名前です…と、批判的なわりにタイトルはこうなりました。ちょっと、体制や権威に弱腰になりつつあります。

<補注> 掲載を忘れていた仲間のオオジシバリ(同じIxeris=タカサゴソウ属)を収録しました。(2021年5月7日

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11月19日(木) ダンコウバイ

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豚の足跡型というのか、あるいは富士山型というべきか、黄色に染まったこの風変わりな葉を山道で見ることがときどきあります。
気になりつつ何年か調べずにいたこの葉の持ち主の正体がようやくわかりました。春の花だけに夢中になっていて、そのときには葉はまだ影も形もなく、若葉が繁るころにはこの木のことは忘れていました。これではダンコウバイという名前と葉の形がリンクしなかったのも当たり前です。なんという恥ずかしい告白でしょう。
赤面ついでに、実の撮影も忘れていたことを懺悔です。赤い実は見逃しにくいはずで、いままで知っていたこの木はみな雄だったようです。したがって、得意満面で載せていた花の写真にも「雄花」と但し書きをつける必要が出てきました。
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なお、豚でも富士山でもない、ふたこぶラクダ型(左)の葉とか、くびれのないスペード型(右)もありました。裏面よりも表側がフカフカして、とてもやさしい手触りです。

<補注> ようやく雌株の開花を収録し、そのあとフカフカの若葉と膨らみかけの実を写し、秋に色づいた実を載せることができました。(2017年春~秋)

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11月18日(水) ヒオウギ

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莢から顔を覗かせた「ぬばたま(注)」をここに載せてから、もう2カ月近くの時間が脇の下をすり抜けてしまいました。
やや張りを失いつつはあっても、「ぬばたま」はまだまだ漆黒の威厳を失ってはいませんでした。むしろ、莢や葉という脇役が舞台を退いたいまこそ、孤高の美を誇っているように見えて仕方がありません。
何者の侵害をも拒む黒、すべての光を吸い込んでなおかつ輝く黒…、「心頭滅却すれば」と辞世を残した高僧の、墨染めをまとった姿を彷彿としてしまいます。

<補注> 「ぬばたま」は射干玉とあてます。

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番外編 : 天国(?)への階段

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3,333段、日本一の石段(熊本県美里町)を踏破…などと難行を成し遂げたみたいな言い方をしても、実際はなんのことはない、やや肩透かしでした。
休みながらゆっくり行けばどうにかなるくらいの算段はしていたのに、往路復路とも休憩無用でした。昇りに50分かかってしまったのは少し慎重すぎたと反省です。
ところで、ここのことを調べていたら、なんと有明海の対岸(長崎県)に8,888段という絶句ものを見つけました。熊本はすでに日本一ではないらしいのです。
しかし、現地に来てみるとあちこちに麗々しく「日本一」とうたってあります。「あれれ~、どうして?」と考えたら、そうか、ここは日本一の「石段」で、長崎の方は木の階段らしいのです。なんだか苦し紛れに思えても、たしかに世界中の立派な石でできた階段は、それだけでも立派な値打ちものです。
とは言うものの、段数で言えば熊本が逆立ちしても届かない長崎の階段が気になって仕方ありません。さーて、いつ挑戦できますやら。

<補注> 翌月(というか年末)、長崎県の8,888段も無事に征服しました!

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11月17日(火) ヒッコリー

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日本のものではないのに、とても懐かしさを誘う木です。小学生のころのスキー板がヒッコリーの単板製でした。それがグラスファイバーとの積層板になったり、アルミ合金製のメタルスキーが一世を風靡したり、という歴史を経て、いまどきのスキーはまるで別世界の道具になってしまいました。
などという昔話はさておいて、トチノキと間違えそうなほどに輝く金色の黄葉です。ただし、木肌が栃とはまったく異なり、短冊状に表皮が剥けています。こんなに荒い肌の下に、スキーに必要な粘りのある緻密な材が潜んでいるのが意外です。

<補注> クルミ状の実は深い縦皺が印象的です。(2013年9月28日

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11月16日(月) シオデ(&サンキライ)

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樹上の赤い実(きのうの紅果樹)もいいけれど、藪のなかにはこういうドスのきいた色合いの実も隠れています。いや、「隠れて」はやや不正確な言い方です。こんなに黒々と輝いているので、多少の薄暗がりでもすぐに見つかります。
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ほら、まったく別の場所でも易々と見つかりました。おや、こちらは完熟してとろけ始めた粒も見えます。
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ついでに、シオデの花を載せたときに「近い仲間」だと書いたサンキライ(サルトリイバラ)まで大盤振る舞いです。この二つが分類されているのはサルトリイバラ科シオデ属で、両者が痛み分けのように科名と属名に使われているのが苦笑を誘います。
サンキライにしてみれば「俺が一族の筆頭だ」と言いたいだろうし、シオデにしてみれば「お前なんか俺の郎党じゃわい」と思うだろうし、なんとも微妙な関係です。

<補注> シオデの実がまだ若い状態をとらえました。(2018年8月8日

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11月15日(日) コウカジュ

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なかなか見ることのない木です。コウカジュは紅果樹と書きます。赤い実のなる木はあなただけじゃあるまいし、ずいぶんと生意気で手抜きの名前です。
和名は杜撰に過ぎるからカタカナにしようと思ったら、こちらは属名(注)そのままにストランバエシアときました。んなもん、覚えられますかい。
と、なんだか名前がしっくりこなくても、これからのシーズンにはいかにも重宝されそうな色合いです。常緑のくせに、冬にかけて幾枚かの葉がこんなに真っ赤になり、濃すぎるほどの緑と美しい対照を見せます。
背が低くて扱いやすいし、もう少し普及しても良さそうな木です。勝手に、「サンタの木」なんて名前をつけてあげましょうか。

<補注> 分類がニイタカカマツカ属(Stranvaesia =ストランバエシア)からカナメモチ属(Photinia)に移っているので、幸いなことに、舌を噛みそうなカタカナ名前は覚える必要が失せています。(2021年秋)

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11月14日(土) ミツデカエデ(雌株)

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冬に山を遠くから眺めると、ところどころ白い花が咲いているように煌めいて見えることがあり、いったいなんの木か、気になっていました。
そんな時期にはまだ少し早いものの、「そうか、君だったのか」と合点です。カエデの実ですから、一つひとつは薄くて軽いとは言え、これだけ豪華にぶら下がった実が陽光を照り返せば、ものすごく目立つこと必定です。
おっと、話が裏から入ったようで、本来は名前のとおりの3小葉を持つ葉が色づいてきたことを先に取り上げるべきでした。カエデ類としては「変な」形の葉であっても、きれいに染め上がっていく様子はやはり「血は争えない」ことを示しています。

<補注> 雌株の開花の様子を載せました。(2015年5月15日

2008年のきょうヒシ> 2007年のきょうハツカダイコン> 2006年のきょうヒメノウゼンカズラ> 2005年のきょうモッコク> 2004年のきょうウインターコスモス

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11月13日(金) ヤブサンザシ

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見知っていたヤブサンザシの実よりも形が尖っていて、名前を借りたサンザシの面影がほとんどありません。ただ、ここは陽当たりが十分なせいか、「増補版」に掲載のものよりも実が透け加減に輝いて、ちょいと食指が動きます。
お、甘い! 環境さえ良ければ、「味は悪い」なんて貶(けな)されることはないじゃないか…と思えたのはわずか5秒間でした。ほんのりと、しかしジンワリと、そのビミョー味はやってきました。
うーむ、やはりヤブはヤブ、孔雀にはなれないのか。ひとりで陽向に輝いているのがお似合いでした。(あ、どなたかの歌を拝借してしまったようで、ごめんなさい)

<補注1> 春の花はやや地味です。(2009年3月27日:雄花3月31日:雌花
<補注2> 同属ながら実が薄甘いものにザリコミがあります。(2024年8月1日
<補注3> わりと遅くまで、ヤブサンザシの実は緑色でした。(2024年9月30日

2008年のきょうオオカメノキ(ムシカリ)> 2007年のきょうコミカンソウ> 2006年のきょうプレクトランサス・モナ・ラベンダー> 2005年のきょうセンニンソウ> 2004年のきょうセイオウボ(西王母)

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11月12日(木) ヤブムラサキ

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去年は遠征先でたまたま見つけた木だったので、実のつきの良し悪しもわからずに、とりあえずの撮影でした。それに比べれば、今年は若い実のうちから何本かあり場所を押さえ、こんなに豊かな稔りを撮ることができました。
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おっと、去年は取り損なった葉の表側(↑)もちゃんと写しました。やはり上からだと実が見えづらいので、せっかくの美しさが生きません。
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ふたたび下から見上げ、実のサイズもしっかりチェック(↑)です。
さて、残る課題は初夏の花(注)です。今年、この木をもっと早く見つければ一気に解決したのに…と悔しがりながら、先の楽しみがあるのはいいことです。

<補注> 開花の様子を収録しました。(2010年6月20日

2008年のきょうカキ(品種不明) > 2007年のきょうイチゴノキ> 2006年のきょうケンポナシ> 2005年のきょうハマギク> 2004年のきょうアメリカソライロアサガオ

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11月11日(水) オシロイバナ

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オシロイバナを真面目に調べると、オシロイバナ科オシロイバナ属で別名なし(注)ということで、「へー、君って立派な一国一城の主なのか」と感心し、全国的に「白粉花」と認識されていることにもまた軽い驚きを覚えます。
この実をゴムパチンコの弾にした元悪たれ小僧なら「パチンコ花」と呼びたいところなのに、そんな下品な名前はこの花のイメージには似つかわしくありません。
そこで、上品な遊び方の再現です。お姉ちゃんたちと遊ぶと、鼻の頭をこうして白く塗られたものです。意外にしっかりこびりつき、少々ぬぐったくらいでは落ちません。白い鼻のまま、またどこかに遊びに行ったのかと思うと赤面です。

<補注> ユウゲショウの項で、「オシロイバナをユウゲショウと呼ぶことがある」と記述したことがあり、この矛盾(や各説の出典)はまだ解明できていません。

2008年のきょうシュウメイギク(八重)> 2007年のきょうセイオウボ(西王母)> 2006年のきょうラッキョウ> 2005年のきょうミツマタ> 2004年のきょうウメモドキ

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11月10日(火) トキリマメ

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紫色の莢を探しに行った(注)のに、見つけたのは赤い莢でした。捜し物が見つからない悔しさと、思いがけない獲物を得たうれしさと、心のなかでヤジロベーです。
初めに開いた実を見つけ、そのあとに葉と花を確認できてようやくタンキリマメとの区別がついたので、トキリマメにはいささかの思い入れがあります。開いた姿で見知ってしまったもので、閉じてふつうの豆型の莢が妙に新鮮でかわいく見えました。

<補注> 紫色の莢=ノササゲの実のこと。莢が割れて青い豆が露出した姿は07年に撮影しました。その後、莢の撮影を忘れていたら、コメントでその時期であることを知らされ、あわてて出撃したのでした。
<追録> 実のつきのいい株を見つけました。(撮影:2018年10月25日)
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2008年のきょうミドリハッカ(スペアミント)> 2007年のきょうトウゴマ> 2006年のきょうシロアザミゲシ> 2005年のきょうヒメツルソバ> 2004年のきょうアオジクユズリハ

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11月9日(月) キクタニギク(アワコガネギク)

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盛りはやや過ぎた姿ではあっても、名前のよう(注2)に黄金が泡吹くイメージはまだまだ十分に伝わります。
せっかくの黄金なので、深紅の袱紗(ドウダンです)を敷いておきました。

<補注1> もう少し様子の良い写真を載せました。(2015年11月26日
<補注2> 標準和名はキクタニギクです。(2021年秋)

2008年のきょうジャコウソウモドキ> 2007年のきょうシラキ> 2006年のきょうスズメウリ> 2005年のきょうハナミズキ(アメリカヤマボウシ)> 2004年のきょうキダチチョウセンアサガオ

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番外編 : カラスと一緒に帰りましょ

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早いよ、早すぎるよぉ、と不平を言っても、晩秋の午後のお陽さまはあまりに気短で、タイトルとは裏腹に、カラスが鳴くヒマもなく傾いていきます。
子供たちがほの明かりをしつこく追いかけはしても、やがてその執念はママさんの声に打ち砕かれ、トプトプと音をたてて夜の帳が小さな町を覆うのでした。

<補注> これは「夕焼け感動シリーズ・第3作」であり、第4作も続きます。

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11月8日(日) ヤマツツジ

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驚いた×2でした。ツツジ類は狂い咲きしやすいようで、この時期に数輪チラホラというのはよく見かけはしても、これはもう春と変わらない満開でした。
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それに加えてこの蜘蛛の巣です。撮ってビックリ玉手箱で、帰宅して大きなモニターで見るまで、その存在にまったく気づきませんでした。シャッターを押したあと、カメラのモニターで見た花色が「なんか冴えないなあ」と思いはしても、いやはや、こんなフィルターがかかっているとは考えもしませんでした。

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11月7日(土) シイクワシャー(ヒラミレモン)

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タイトル(和名)を補足すれば、これはいわゆるシークヮーサーです(注)。ただ、沖縄の発音をカタカナにしようとすると、シィクアシャーともシイークワーサーとも、なんとも自由奔放(?)な表記可能性が生まれるので、ここはやや無味乾燥ではあっても、和名表記が一番確実(注)と思うに至りました。
もちろん、名前の味はなくてもこの実の強烈な味は保証付きです。関東の露地だからこんなに小さいのかと思ったら、現地でもだいたいこの程度のようです。3月までが収穫期で、そのあとに花をつけるというので、来春の楽しみができました。

<補注> 当初はヒラミレモンとだけしていたタイトルだったのに、10年後に訂正する羽目になりました。(2019年1月10日

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11月6日(金) オオミサンザシ

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実の味と色が好きな上に、ちょっと洒落た名前まで気に入っている山査子(サンザシ)を見かけてきょうもご機嫌…、と思いきや、妙に腑に落ちないものがあります。
奥行きのある深紅の色は同じでも、形が小林檎みたいでやけに丈があります。いままで何カ所かで見たふつうの山査子の実(↓)は、もう少し扁平でした。さしのべた自分の指との比較で再計測すると、今回の方がひとまわり以上は大きめです。
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もう1点、ふつうの山査子は先月中旬の撮影で葉がもうかなり枯れていたのに、今回のものはこのまま冬をも越してしまいそうにまだ青々としています。
どうやらこれは栽培品種であるオオミサンザシ(注1)で、そのもとになったのはコサンザシということがわかりました。そんなわけで、今度はそのコサンザシを見つけなければ話は終わらなく(注2)なりました。

<補注1> オオミサンザシの標準和名はミサンザシでした。ただ、語呂が良くないし紛らわしいので、ここでの呼び方はオオミサンザシのままとします。(2019年秋)
<補注2> コサンザシを見つけられないでいるうちに、洋物のサンザシ類を収録し始めています。 ☆ セイヨウサンザシ ☆ モリスサンザシ ☆ アーノルドサンザシ

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11月5日(木) ヤブミョウガ

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森の妖精が蹴散らしたオニキスの小粒ではあるまいか…と見とれてしまいました。具合良く差し込んだ光線に助演賞をあげなくてはなりません。
頭にヤブと載せられたことはこの植物にとってかなりの不幸で、実際は夏の花もこの季節の実も、花の前の若葉自体まで、すべて鑑賞に値する美しさです。
ただし、繁殖力が強すぎて庭では嫌われ者です。こんなに美しい種があるなら、繁殖は種だけに任せればいいのに、それよりも根茎でのびていくという手堅い性格です。美貌の上に貯金までしっかり、という女性のように思えて、頭が下がります。

<補注1> 花から実への移行段階の様子を載せました。(2010年8月2日
<補注2> しつこくも再度、「オニキスの小粒」にトライしました。(2015年11月22日

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11月4日(水) アブチロン

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アブチロンと言えばオレンジ色の花をわりと見かけます。ただ、あちらは花びらに浮かぶ赤い筋模様が血管のように思えて(花が心臓みたいだし)、あまり寛げる風情ではありません。そこへいくとこちらはとてもトロピカルムードで、こんな季節にこんな色合いを見せてくれるのだから、庭木に選ぶ人も増えているみたいです。
おっと、同じアブチロンの仲間には、あの素っ頓狂なウキツリボク(チロリアンランプ)もありました。落下傘型の花の方に黄色があるのだから、ランプ型アブチロンの方にももう少しシックな配色のものができてくれることを祈ります。

<追録> 上の黄花種と同じく木立性のアブチロン(チロリアンランプは蔓性)で、白花タイプがありました。(撮影:2023年1月28日)
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11月3日(火) フジバカマ

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人間でも草木でも、性質に「あ、こんなところがあったか」と見直すことがあるもので、それがいい方向の発見なら、自分の不明を恥じながらもうれしくなります。
フジバカマで今年驚いたのは、ものすごく花期が長いことでした。9月の半ばにはもう見かけていた気がするのに、11月に入ってもまだこんなに元気です。
潔さが好まれる日本では、自然の草木まで淡泊系が主流に感じます。ところがどっこい、こういうネチコイ系も古くから存在したわけです。もっともこの新しい驚きは自分の観察が不足だっただけで、探せばまだまだ「アンチ桜組」がいそうです。

<補注> 上の写真の見どころは、いかにもフジバカマ的に3深裂した葉です。

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11月2日(月) ジョウリョクヤマボウシ

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福岡のpaveさんが、先月25日にこの実のことを取り上げていて、「オ、いかん、早く撮影せねば鳥さんに先を越されてしまう」と焦りました。たった1本知っているこの木のありかは近所ではなくて、ようやくきのう、願いが叶いました。
かなりギリギリでした。わりと大きな木なのに、実は離れた枝に一つずつの状態で、花のときのような賑やかさを写すことはできませんでした。
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その貴重な実を味見してみました。ふつうのヤマボウシと変わらないか、むしろおいしいくらい(乏しい味の記憶でたとえれば、マンゴーに近い感じ?)です。ムニュムニュ、プッ。…あ、種を持ち帰れば実生を試せたのに、アホです。

<補注1> ふつうのヤマボウシが落葉する前の姿はこちらです。
<補注2> 後年、実をたわわにつけた状態のジョウリョクヤマボウシの姿も記録できました。(2011年11月4日

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11月1日(日) ナンキンハゼ

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少しずつ葉が色づいてきて、暮れには見事に深い紅色に染まるはずです。その葉が全部落ちると、真っ白な砂糖菓子のような実だけが木に残ります。
そんな美しい光景だけ見て満足していられないのが草木追っかけの病で、砂糖菓子に変身する前に分厚い殻を脱ぎ捨てるシーンを見ることができました。

<補注> この実のもとになる花の様子はこちらです。

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