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9月30日(水) シモバシラ

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秋口にこの花を見るたび、「これが霜柱に見えたっていいじゃないか」と思います。シモバシラの名の由縁は真冬の氷のフレアーというのが「定説」とは言え、シャリシャリと音がしそうに立ち上がる純白の花穂は霜柱に見立てるのに十分な美しさです。
ただ、こんな勝手な異説を唱えるのに弱腰になる点もあります。それは、この花の蜜がかなりの人気で、蜂やら蝶やらが千客万来のため、冬の朝の凛とした静寂とはあまりにかけ離れた雰囲気になることです。
植物はそれぞれ呼び寄せたい虫を限定した作戦を取ることが多くて、その意味でシモバシラは対象客層を大きく広げた花と言えます。勝手な異説構築はあきらめて、代わりに「植物界のファミレス」というあだ名を進呈してみることにしました。

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9月29日(火) オオハナワラビ

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おや、もうハナワラビが…。「冬の」花蕨というくせに、ずいぶん気の早い奴だ、と心のなかでつぶやきました。こんな暑さの残る季節にこれを見るのはやや不気味ながら、一方でまだ傷んでいない様子を撮れてホクホクでもあります。
その無傷の葉をシゲシゲ見ていたら、「おっとぉ」と気がつきました。この葉先の鋭角的な様子、これはフユノハナワラビではなくオオハナワラビでした。両者は全体の作りや発生時期は似ていても、葉先の形が違うことを前に確認済みです。
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前回(2008年3月)より少しはわかりやすく、二つの葉を並べてみました。左が今回見つけたオオハナワラビ、右が別の場所で撮ったフユノハナワラビです。
これで両者の違いはマスターでも、さてなぜ尖っていると「オオ」なのかは皆目見当がつきません。全体サイズに大差はないと思う(注)わけで、これを理解するにはまだまだたくさんの観察が必要なようです。

<補注> この記事後、「フユノ」に比べると「オオ」の葉のサイズがひとまわり大きいことがだんだんにわかってきました。

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9月28日(月) シオン

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きのう、ヤブランとコヤブランの過去記事補足みたいなことをしていたら、半月ほど前に載せたこの紫苑(しおん)のことを思い出しました。どうも書き方(と写真)が悪かったらしく、紫苑を「木」と勘違いした人が複数いらしたのです。
そこで、かなり色あせて(かつ花びらもバラけて)きてはいても、紫苑が間違いなくキク科の「草本」と見える写真を「念のため」掲載です。
ところで紫苑という優雅な響きの名前です。これはどうやらこの草の根から取る生薬名「紫苑(咳止めとしていまでも有効)」をそのまま呼んだもののようです。
話は展開して、かわいそうなのはこの紫苑にひっかけて名づけられた「黄苑(キオン)」です。名前は間抜けだわ、見かけは淋しいわ、あまり見かけないわ、という悲しい草も、できれば前よりきれいに撮ってここに再登場させてあげたいものです。

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9月27日(日) ヤブラン

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先日、ここにコヤブランを載せたとき、ふつうのヤブランとコヤブランの葉を比べた書き方をしました。ところがそれは自分の記憶に頼っただけで、具体的な計測によったものではありませんでした。
そこで、あらためてヤブランの葉にモノサシをあててみました。稔りだした緑色の実はオマケです(冬に真っ黒に熟した様子はこちら)。
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そして、前の掲載とは別の場所でコヤブラン(↑)にもモノサシを添えてみました。ヤブランとはサイズがかなり違うことがわかります。
この場所はこれまで何度も通ったところなのに、こんなことにも気づかず、すべてヤブランだと思って見過ごしていました。反省です。

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9月26日(土) リンボク

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10mはあろうかという大きな木が花盛りでした。その白い花はまるでウワミズザクライヌザクラのようです。いったいこれはなんじゃろかいと不思議がるよりも、ウワァ~と見上げるしかない迫力に飲まれていた時間が長かったと思います。
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さて調べると、これはリンボクでした。バラ科サクラ属(バクチノキ亜属)ですから花の印象は間違っていなかったわけです。
ただ、葉は艶めいて硬く、どう見ても樫の類にしか思えません。木肌はと言うと、桜を思わせる横縞は感じるものの、ゴツゴツ具合から樫の方を強くイメージします。ヒイラギガシという別名(若木の葉は柊に似る)を見つけ、専門の人にも樫に見えることがわかり、自分の混迷した思いも救われました。

さてさて、残る問題はリンボクの漢字表記で、橉木(橉は環境依存文字なので、木肌の写真に文字画像を貼付)とあてるようです。この橉の字は「しきみ」「みぎり」という意味で、しきみは門の敷居のこと、みぎりは軒下で雨滴を受ける石のことです。どちらにせよ、土に接する部材の意味が濃厚なのに、用材としてのリンボクは薪炭や器具材に使われたそうで、漢字の意味とは結びつきません。
結論としては意味不明に終わったものの、漢和辞典にあたっていたら面白い偶然がありました。橉の字の隣り(次)が木路(文字が出ないので二つ並べました。木偏に路と書いて「ろ」と読みます)で、この意味の一つに「ヒイラギ」がありました。まさか辞書に並んだこの二つの字を取り違えたわけではなかろうし、本来がこちらだったとすると、音が「ロボク」になってしまいます。たまたまの巡り合わせだったとしても、季節外れの桜に酔いしれたあとは辞書巡りでたっぷり楽しませてもらいました。

<補注1> 2月には結実した状態を記録したものの、その実は5月が終わるころになってもいっこうにおいしそうにならないのでした。(2015年5月27日
<補注2> 別の場所で、カラスがリンボクの花を食べていた(らしい)のを見ました。(2018年9月26日

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9月25日(金) ヒオウギ

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ぬばたまのぉ~、と詠い出してスラスラとあとが続けば威張れるのに、あいにくなにも出てきません。ひとり赤面しつつ調べたら、「ぬばたまの黒髪変り白けても痛き恋には逢ふ時ありけり」などという元気な歌を見つけました。
その漆黒の「ぬばたま=ヒオウギの実(注)」が莢から顔を出し始めていました。この莢が完全に剥けた姿もいいので、画面にはめ込んでおきました。
葉の凛とした美しさ、花の奥ゆかしい色合いを楽しんだあと、こういう高貴な輝きまで拝見できるとは、まさに「三拍子そろった」という言葉どおりのヒオウギです。

<補注> 「ぬばたま」は射干玉とあてます。

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9月24日(木) ミズワラビ

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休耕田のなかに緑色の珊瑚を発見!と思いました。一体全体これはなに?と触ってみたら、残念ながら珊瑚ではなく、なにやら植物っぽい感じです。
というのが1年前のできごとで、そのときは正体不明だったのに、今年、ほかの調べ物をしていたら、これがミズワラビとわかりました。なるほど、水が豊富なら羽状複葉がワラビのようになり、水涸れして秋になるとこんな棒状になるしかけでした。
この妙な茎葉は胞子葉であり、つまりこれは田んぼには珍しいシダ植物なのだといいます。農薬のためにかなりの稀少種になっているそうで、栄養葉であるワラビのような葉が開いている姿を来年写せるかどうか、運試しの気分です。

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9月23日(水) ヤブマメ

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きのうのアカネにはつい説教してしまったのに、同じように周囲に絡みつくこちらは咎めません。その理由を考えてみたら、ヤブマメは他人に巻きついても上に昇ろうとするからで、ただただ横へのびるアカネよりは逞しく思えたからでした。
さて、そんな人生とオーバーラップさせる見方はやめておくと、淡い紫をひと刷毛あてたような蝶型花はなかなかチャーミングです。また、とてもカッチリした作りの三ツ葉(三出複葉)にもたしかな存在感があります。
この三ツ葉、3枚がきちんと紋所のように開いているものもあれば、写真のように1枚が裏返っているものもあります。どうも光線に反応して蒸散量を調整しているよう(注)に思えても、これは素人の当てずっぽうで、ちゃんとした調査が必要です。

<補注> ヤブマメの葉が光線量に応じてフォーメーション(?)を変えていることを確認できました。光線が強すぎるときは葉の一枚を裏返すことで、受光量≒蒸散量を絞っていると思われます。(2010年10月2日

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9月22日(火) アカネ

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花一つの直径はたかだか3㎜とささやかなものの、草むらのなかにこれだけクリーム色が氾濫していると、かなりの目立ち度でした。
去年の晩秋に出会ったものはほぼ実だけになっていたのに対し、今回はアカネの特徴である輪生した4枚の葉もしっかり確認できました。
横へ横へと這う茎は四角断面で、下向きの剛毛がびっしりです。これでほかの植物にまとわりつくわけで、自分で立ち上がりはしないお気楽型です。つい、「お前なぁ、自立しろよな、自立!」と、我が娘への常套句を呟いてしまいました。

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追加編 : ボントクタデ

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18日に載せたボントクタデの追加レポートです。その日の写真で不足していたボントクタデの特徴をしっかりと確認できました。
まずは「わずかな葉柄」です。個体差はありそうでも、気にしてみればしっかりと柄があります。次に葉鞘の毛です。これは肉眼でもはっきりわかりました
最後のお味は写真にはならなくても、葉は完全に無味無臭でした。ついでに、非常にガサついて食べにくいこともわかりました。これでも虫食いになった葉を見かけるのだから、他人の好みに口を出すのは本当に無粋なことだとわかります。

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9月21日(月) ケツユクサ

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ツユクサには、苞の表面に毛が生えている種類がある…、大阪のブログ友のところでひと月前にそれを教えてもらってからは、鵜の目鷹の目の毎日でした。
草むらに青い花を見つけてはジトォ~! しかしふつうのツヤツヤの苞ばかりで、もしやあれは関西だけに分布するものでは、などと勝手に思い始めたとき、ようやく見つけました。驚いたのはこのケツユクサと隣り合う場所にふつうのツユクサがあったことで、調べたら両者が混在することもあるのだそうです。(↓こっちがふつうタイプ
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この二つは花びらの幅やシベの形が微妙に違うらしくても、ワタシには「ケ」の方がややノッポに見えました。ただ、そんなにあれこれ比べなくても、肉眼ではっきりわかるこの毛だけで、識別は十分にできます。
さて、この毛にはなんのメリットがあるのでしょう。もしかしたらケツユクサのエキスは毛生え薬にならないか…などとお馬鹿を考えてしまいました。製薬メーカーさん、研究してみる予定はありませんか?

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9月20日(日) マルバハッカ(アップルミント)

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葉が丸いので「見たまま」にマルバ、その葉をつまめばツンとくるので「嗅いだまま」にハッカ、ふたつ重ねてマルバハッカ、とても素直な名付けです。
一方、これをアップルミントと呼べば、ハーブの世界ではメジャーな存在です。帰化植物であり、丈夫なのであちこちで雑草化している(注)そうです。
ただ、よく見ると花はハッカのようにはっきりした輪っか状ではなく、かと言ってセイヨウハッカのような穂状でもなく、一口にハッカと言ってもいろいろです。

<補注> 健やかに育つ姿を再掲しました。(2022年9月20日

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9月19日(土) フジマメ

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学名がLablab purpreusであって、属名の綴りはラブラブと読めてしまいます。もちろんlove loveとは違うはずでも、花はほんわか幸せ色です。ただし、実(莢)はちょいと迫力のある紫で、種名はどっちの色を言ったものでしょう。
和名は花色に着目していてストレートでも、じつは関西ではこれをインゲンと呼ぶそうなので話がややこしくなります。もちろんあの莢隠元とは違い、隠元大師が持ち込んだ豆は本当はこちら(藤豆)だったというのです。
さらに蔓豆・天竺豆・千石豆・八升豆・味豆などいろんな呼ばれ方をしていて、各地で生活に密着していたことが覗えます。
西日本では食卓でポピュラーだということでも、埼玉住人のワタシとしては初めての出会いです。ツタンカーメンの鞘の色を思い出しながら撮影しました。

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9月18日(金) ボントクタデ

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葉の真んなかあたりに黒い八の字模様を見つけ、「オオ、あった、あった、ボントクだァ」と喜んで撮影しました。
ところがあとで調べると、「葉には短い柄がある」はずなのに確認できていません。「茎や葉鞘には毛がある」はずなのに、そこまで細かく調べませんでした。「葉を噛んでも辛くはない」はずなのに、口に入れようとも思いませんでした。
ボントクとは愚か者(ぽんつく)・役立たずのことだそうで、これはこの草のことではなく、まるっきりワタシのことだったようです。機会があれば再確認(注)するとして、とりあえず黒い斑紋のあるタデがほかにないことを祈って、ボントクタデとしておきます。

<補注> 上記の未確認事項を調べ直し、追加編としました。(2009年9月22日

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9月17日(木) トウガン

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畑のなかに、ドーンと豪快に転がった実は、体積で言えばラグビーボールの3~4倍はありそうです。お清汁などで楽しむ冬瓜の玄妙な味わいとは正反対のダイナミックさで、そのアンバランスが笑いを誘います。
ここまで実が膨らむとあまり目立たなく(でもゴワゴワ)はなるものの、若い実の表面はこんな(↓)に毛が密生しています。なにか動物の子供のようで、かわいいような怖いような、とても微妙な存在です。
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そのキモカワちゃんの先端に残っているのが雌花で、枯れた花びらを強引にはがしてみたら、とても大作りな雌シベが出てきました。ちなみに、1枚目写真の大きな実の横で咲いているのが雄花です。

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9月16日(水) カンレンボク

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カンレンボクは旱蓮木と書くようであっても、意味がわかりません。「旱」は日照りや乾いたことを言うのに、それと水辺の「蓮」とは正反対の性格です。まして、この木の葉も花も実も、どこにも蓮らしいところは見当たりません。
そんなわけで不思議な名前なのに、その音が面白いし、存在がかなりマレなので、けっこう気になる木です。残念ながら、ウドみたいな花の時期は見逃してしまい、ペンダントにでもできそうな愉快な形の実ができていました。
葉は長さが20cmほどもあって、横に張った葉脈がキャッチャーのプロテクターを思わせます。この葉がどんなふうに色づくのか、またモンキーバナナみたいな実がこの先どうなるのか楽しみです。もちろん、来夏の開花時期はしっかりマーク(注)です。

<補注> 忘れることなく、花を撮ることができました。(2010年8月11日

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9月15日(火) ソクズ

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ソクズの花が咲いたところは7月下旬(2006年)に載せています。その白い花が9月半ばになってもまだしぶとく咲いている(画面右側)のに、最初に咲いた花はイクラのような実になっていました。
イクラに見えてしまうのだから、味もしょっぱければ笑えるというのに、残念ながら中身は無味無臭のおつゆでした。小さな種が口に残ります。
ただ、人間にはつまらなくても小鳥には人気なのか、けっこう啄まれています。たわわに赤く輝く房をいくら探しても、どれもパラパラと疎らな状態でした。

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9月14日(月) コヤブラン

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道端の紫色の花を見て、「なんだ、またヤブランか」と通り過ぎるところでした。ただ、なにやら心に引っかかるものがあり、ちょいとしゃがみ込んでみました。
葉幅がどうにも細いのです。ふつうに見るヤブランの半分程度でしょうか。厚みの方も、半分とは言わなくてもやや薄手で、全体的にか弱い感じです。そう思ってみれば花色も少し淡く、花穂の長さはヤブランの半分か2/3程度です。
撮影時は育ちの悪い株かと疑ったのに、なるほど、これはヤブランとは同属でも別種のコヤブランでした。掘り返せば、根(地下茎あり)もヤブランとは違うそうなのに、事前知識なしのため地上部しか撮影していません。なんとまあ、さらにこれ以外にヒメヤブランというのもあるそうで、藪蘭だけでもずいぶん難儀させてくれるものです。

<補注1> コヤブランの葉をヤブランと比較しました。(2009年9月27日
<補注2> コヤブランの大きな群落がありました。(2018年9月19日

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9月13日(日) マルバタマノカンザシ

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めっきり涼しくなったのに、一人汗ばんでいます。それも冷や汗であって、理由は過去にオオバギボウシとして掲載したものがどうやら間違いと気づいたからです。
今年、オオバギボウシを正確に認識することができたときから、「?」が頭をもたげてきました。そして前にオオバギボウシとしてここに載せた場所の実物を今年ジックリと眺め直し、花の時期や背の低さ(オオバに対して)から、どうやらこちらはタマノカンザシらしいことがわかりました。しかも、もっと秋が深まったころ、これが実をつけたのを見たことがあるので、正確にはマルバタマノカンザシとなるようです。
タマノカンザシ類とは言っても、立派にHosta(ギボウシ)ではあります。世のなかにはHosta狂の人も多いくらい種類が多様で、それだけに素人が知ったかぶりするのはためらわれても、まずは少しだけ分別がついたことを記録しておきます。

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9月12日(土) シュウカイドウ

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吹く風がずいぶん秋らしくなってきて、秋海棠も元気よく花をつけています。だと言うのに、花より団子ならぬ、「花より葉裏」です。
表はふつうのものよりも緑がやや濃い程度でも、裏返すとまさしくリバーシブルで、深みと艶のある暗赤色が見事です。強い西陽に透かして遊んでみたら、せっかくの迫力が弱まってしまいました。なので、葉を裏返した写真(↓)も加えましょう。
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この色はほとんど血のようだし、加えて葉裏には葉脈がくっきり浮き出ているので、想像力の豊かな人はあまりじっくり見ない方がいいかもしれません。

<補注1> 白花の秋海棠は既収録です。
<補注2> 秋海棠の雌雄異花のしかけを取り上げました。(2017年10月21日

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9月11日(金) シオン

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ときあたかも学園祭が盛りで、志木沿線の某有名女子校のそれはズバリ「紫苑祭」を名乗ります。紫苑という名前は、植物のそれとしてはかなり傑出したみやびさがあり、学園祭に限らず、喫茶店の名前などにも持ってこいでしょう。
ところが、この紫苑そのものはかなり見かけにくく、絶滅が危惧されているほどです。このようにカメラを空に向けなくては撮れないほどの高さまでのび、かなりワサワサと繁るくせに、案外に蒲柳の質なのかもしれません。
一方で、紫苑の名を借りたハルジオン(春紫苑)が、あちこちで嫌われるほどに蔓延っているのは皮肉なことです。はかなさは薄紫の花の色合いだけにとどめ、本家本元の紫苑にはぜひもっともっと元気に殖え続けてほしいものです。

<補注> 煽りすぎて写真を撮ったせいか、このシオン(多年草)を「木」と勘違いする人がいらしたので、通常目線の写真を再掲しておきました。(2009年9月28日

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9月10日(木) メドハギ

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八卦という占いがあって、すだれを分解したような細い棒をたくさん持って、それをジャラジャラしごいて、「むーん、パッ」と開いてお告げを出します。
その細い棒が「めどぎ」で、この萩の茎は「めどぎ」の代用になったらしく、だから「めどぎはぎ→メドハギ」というのが名前由来の通説です。その素晴らしく真っ直ぐにのびる細い茎を一本つまみました。きれいな直線に感心しながら、より目を惹かれるのはミニ怪獣の足形のような三出複葉(注3)です。
これら二つのアピールポイントに比べると、花はかなり控えめな存在です。もっとも、これで花が妙に目立ったら風情が台無しですから、分をわきまえたその咲き方には拍手を送りたい(注1)ものです。

<補注1> もう少し色合いのいい写真を載せました。(2012年8月23日
<補注2> 冬、種が稔っていました。(2015年12月28日
<補注3> 葉や萼が微妙に違うカラメドハギを収録しました。(2024年9月25日

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9月9日(水) シュロソウ

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60㎝ほどものび上がった茎に花がついていて、根もとの葉を写し込めません。そんな作りや花の形は、アオヤギソウによく似ています。そして、この花のシブ~い色合いからはイタチハギを思い起こしました。コバノカモメヅルという線もアリかと考えたものの、このふてぶてしい色みはやはりイタチハギがしっくりします。
こんな「○○似」という表現は、ご本人にはとても失礼ではあっても、既知の○○「みたい」とする手は表現としては簡単で便利です。
ところが、今回は「シュロの繊維に似る」と言われる根もとの毛(注)を見つけられませんでした。したがって、どうしても再登場の機会が必要だし、そのときはまた「シュロみたい」と書いてしまうはずです。「また○○似かい!」とシュロソウには怒られそうなので、次の登場のときの分まで、いまからしっかりお詫びしておこうと思います。

<補注> 無事に根もとの毛を見ることができました。(2012年12月4日

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9月8日(火) キツリフネとツリフネソウ

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今年の変な気候が良かったのか、それとも着実に殖えているのか、おととし見つけたキツリフネの群落がその勢力をグンと拡大していました。松林のなかに、そこら一面キツリフネという場所が複数あって、なんだかありがたみが薄れてしまいました。
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その林を抜けて農道を走っていたら、今度は道端がツリフネソウの海でした。志木でわずかに咲いたものを見つけ、蚊に刺されながら撮ったのが悪い夢のようです。
勝手な憶測ながら、こうやって景気が停滞しているうちに、日本の自然はじんわりと力を取り戻しているように思えます。環境負荷を減らしつつ、失業に悩む人がいない程度の景気を取り戻す…そんなうまい政治を新政権に期待したいものです。

<補注> キツリフネやツリフネソウがインパチェンス(ツリフネソウ属)であることに気づきました。(2018年7月7日

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9月7日(月) ヤマナシ

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人生は歌のようにはいかなくて、「上を向いて歩く」のはいろいろと危険が伴います。特に野山ではどうしたって足下を確かめながら歩く比率が高くなります。
その結果、空からの到来物を見つけ、「むむ?」と近辺を振り仰いで「おぉ!」となるわけです。かなりの高みに、ぶら下がっている物体を発見しました。
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こちら(↑)が初めに見つけた地上物体です。姿は見るからに梨なのに、サイズはせいぜいピンポン球です。囓ってみたら、うぉ、歯が立ちません。くやしいのでナイフでカットして、上品に口に入れてみました。マズ~、ほぼ味はありません。(注2)
いまの梨のご先祖にあたるそうで、木肌の粗さもそんな雰囲気です。春にはいかにも梨らしい白い花が咲く(注1)そうで、どうか来春に撮影ができますように…。

<補注1> 来春とはいかなかったものの、花は翌々年の春に撮影できました。(2011年4月30日
<補注2> 超豪華な稔りの木を撮影し、それから20日後、同じ木から落ちた実が十分に食べられるレベルであることを発見しました。(2018年8月

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9月6日(日) イチヤクソウ

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6月に小さな白い花を見せてくれるイチヤクソウが実をつけていました。
形は朝顔の種を思わせます。ただ、先端には象の鼻のような花柱(雌シベ)がしっかり残っていて、イチヤクソウであることをアピールしています。白い葉脈の美しい厚手の葉もまだ健在で、薄暗がりの林床でもすぐに見つけることができました。

<補注> 翌年6月、たくさんの蕾をつけた株を見つけたというのに、とても納得のいかない結果に終わりました。(2010年6月11日

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9月5日(土) フジカンゾウ

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花がフジに似て、葉がカンゾウに似るから、二つ合わせてフジカンゾウ…、「二人合わせてヤンマーだァ♪」みたいに単純きわまりない名前です。
ところが、藤はそうかなと思えても、カンゾウがわかりません。ヤブカンゾウノカンゾウというのはあっても、あれらは「萓草」でカンゾウ違いなのです。このフジカンゾウが似ているのは薬用種である「甘草」で、残念ながらまだお目にかかれていません。
奇数羽状複葉の葉は案外に大きくてしっかりしています。甘草を探すときの手がかりになるように、しっかりと姿かたちを覚えておくことにします。
茎には毛が密集していて、触るとネバつく(毛が指に食いつく)感じがします。ヌスビトハギと同属なので、もう少しするとサングラス型の実(莢)が見られるはずです。

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9月4日(金) オオリキュウバイ(とリキュウバイ)

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先月、自分の課題にした「オオリキュウバイとリキュウバイの実の違い」をしっかりと検証してみました。樹高や花のサイズが違うわりには、実の大きさ・形が同じだとガッカリしかけたとたん、その蒴果の稜数に違いのあることに気づきました。
やはり、実が青いときに考えたように、オオリキュウバイの方は稜の数がランダムです。あまり実のつきは良くなくて、撮影した総数は9個なのに、うち5稜は1個だけで、6稜と7稜がそれぞれ4個ずつでした。
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これに対して、リキュウバイの方はここに掲載した以外に割愛した写真もあって、写した総数43個のすべてが5稜でした。オオリキュウバイがじつにテキトーな性格なのに比べ、リキュウバイはひとつとして例外のない潔癖主義でした。
また、オオリキュウバイの実は数が少なく、早くも熟して割れかけていたのに対して、リキュウバイは実のつきが良くてまだまだ青い状態でした。しかし、これは場所や樹齢の違いがあるでしょうから、はっきりした差とは言い切らないでおきます。気まぐれオオリキュウバイさんは、せっかちでもあるらしいとだけ記憶しておきましょう。

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9月3日(木) オオマルバノホロシ

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小指の先ほどのささやかな花なのに、かなりの藪でもこのすっきりした紫色は目立ちました。花につられて目を凝らすと、小粒ピーマンみたいな緑の実があり、その奥にはすでに真っ赤に熟したものや半分色づいたものもありました。
図鑑のツルハナナス解説では、「ヤマホロシとの混同が見られるが二つは別物」とある「あの」ヤマホロシをようやくとらえたかと、勇んで写真を撮りました。しかし、あとから調べると、葉がどうにも大きすぎ(広すぎ)ます。どうやらこれは「あの」ヤマホロシではなく、同属のオオマルバノホロシのようです。
さても気になるのが「ホロシ」です。漢字だと「保呂之」で、これでは表意文字である漢字がなんの役にも立っていません。保呂之はヒヨドリジョウゴの古名だそうで、そういえばかつて初めてあの赤い実を見たときにはその美しさに感動したものでした。
ヒヨドリジョウゴ自体がかなりワイルドなのに、それにさらに「山」を冠したヤマホロシとはどれだけ野趣に富んだものなのか、せっかくきょうの主役を張るオオマルバノホロシには申し訳なくても、本命との出会いに期待は膨らむばかりです。

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9月2日(水) ツルガシワ

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いかにもカモメヅルの仲間(キョウチクトウ科カモメヅル属)とわかる風体です。しかも、初めてカモメヅルらしきものを見たのは冬のさなかで莢の残骸だけだったのに、今度はツノのような実もあれば、花もまだ残っていて、葉もこんなに元気です。
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そして、この葉が見分けの鍵でした。ここに収録したほかの仲間(コバノカモメヅルアズマカモメヅル)に比べる(注)と、なんとも堂々として立派な葉です。
植物の名前には、ときどき過剰表現かと思うものもあるなかで、これなら槲(柏)を名乗られてもすんなりと飲み込めます。蔓の上部でこの大きさであり、根もとの方はもう少しゆったりしたサイズでした。

<補注> この仲間には、あとからコカモメヅルも加わりました。(2017年9月15日

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9月1日(火) キバナアキギリ

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暦が秋に替わったところで、名前に秋を取り込んだ花を持ち出します。黄花ではないふつうのアキギリは06年に収録しています。見かける機会はその紫色をしたアキギリの方が少なくて、だからこそ見つけたときすぐに載せました。対してこちらの方はそのうちと思っていたらアキギリに3年も遅れてしまいました。
アキギリを掲載したとき、「サルビア類と比べて背が低い」ことを特徴としました。そのアキギリをさらに寸足らずにしたのがこのキバナアキギリで、加えて花も萼も茎も葉柄も全体が毛深くできています。また、葉の形(鉾型)がかなり際だっていて、やや薄暗がりの林縁でもこれ見よがしの目立ち度を誇っています。

<補注> カレンダーが1枚めくれた時期のキバナアキギリはこちら、やや似た感じのシナノアキギリはこちらです。

2008年のきょうケンポナシ> 2007年のきょうアゲラタム> 2006年のきょうヘクソカズラ> 2005年のきょうセンニンソウ> 2004年のきょうマツムシソウ

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