7月20日(日) ギンセンカ

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男の赤ちゃんのあそこみたいな蕾が笑えるのに、撮影者は渋い顔でした。この植物のことを英語圏ではFlower-of-an-Hourと称するくらいで、開いた花との面会時間は限られるのでした。もっともその呼び方は過剰表現らしく、解説ではopen for only a few hoursとしているので、2~3時間は見られるのでしょう。
しかしそれは朝のうちらしく、お昼過ぎにここに立った自分は不幸でした。いまごろから初秋までが開花期だというので、また会う日もあることでしょう。
そんなわけで、きょうの見るべきポイントは葉です。漢名では野西瓜苗というくらいで、三叉に深く切れ込んだ様子はたしかに西瓜の葉を思わせます。
その葉陰に見える丸い実は、西瓜サイズには遠くても、けっこう大型です。あえて次の面会日を花の仕舞い時期まで遅らせたら、「花を写せました。こぼれ種まで拾えちゃいました」という幸せが待ち構えているかもしれません。

過去のきょう 2024 ヘラノキ 2023 ミチノクナシ 2022 ユウスゲ 2021 ニゲラ(クロタネソウ) 2020 ブラッシア(スパイダーオーキッド) 2019 イセハナビ 2018 ツルアジサイ 2017 キリ 2016 チャボガヤ 2015 アオギリ 2014 ヤマシャクヤク 2013 ムラサキシキブ 2012 フシグロセンノウ 2011 キダチルリソウ(ヘリオトロープ) 2010 クヌギ 2009 スジギボウシ 2008 ゴウソ 2007 シダルケア 2006 ナンキンマメ(ラッカセイ) 2005 セイヨウハッカ 2004 サツマイモ

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7月19日(土) ヒナタイノコヅチ

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ヒナタイノコヅチにはずいぶんと長い間、かわいそうな扱いをしたままでした。季節柄で仕方なかったとは言え、葉の一枚さえない淋しい画像を晒したままでした。
…などと弁解するわりに今度も芸のない写真です。もう少しすれば花穂も立つでしょうに、それを待てないのです。この葉が特においしいとは思えないのに、秋風が立つころにはもう虫に食い荒らされて穴だらけ、葉を写したとは言えなくなるのです。
もっとも、仲間のイノコヅチは秋に撮ったにもかかわらず、立派に葉が見えています。いい加減な記憶だけで言い逃れをしていないで、せめてあの写真と比べて両種の違いを得心できるような一枚を、この秋にはぜひともここに備えたいものです。

過去のきょう 2024 コレオプシス・ロセア 2023 マイアンテムム・ステッラツム 2022 タイワンコマツナギ 2021 ゼノビア・プルベルレンタ(スズランノキ) 2020 オオバヤドリノボタン(メディニラ・マグニフィカ) 2019 アオギリ 2018 ウワバミソウ 2017 トモエソウ 2016 アカバナルリハコベ 2015 ジュウモンジシダ 2014 ヒペリクム・ヒドコート 2013 アマチャヅル(雄花) 2012 ボタンクサギ 2011 ヨロイグサ 2010 チチコグサ 2009 メハジキ 2008 オオツヅラフジ 2007 チゴザサ 2006 ベニクロバナキハギ(ヤクシマハギ) 2005 コバギボウシ(斑入り種) 2004 ヒメヒオウギズイセンとミズヒキ

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7月17日(木) ウラジロ

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本当にウラが真っシロなんだぁ…とひっくり返した葉をしみじみ観賞です。ただ、鏡餅の下に敷くときはふつうに表側を向けるわけで、別にあのお役目をウラジロに独占させる意味はないんじゃなかろうかと埒もないことを考えるヒマ人です。
いえ、真面目に眺め直すと、その表側もとてもきれいです。色ツヤはもちろん、人の腕よりも長い図体のわりには緻密に刻まれた小葉があでやかに過ぎます。
古来、詩歌に詠まれてきた歯朶(しだ)とはこのウラジロのことだそうで、お正月だけではなくて、ふだんの生活に密着してきた身近な植物なのでしょう。

<補注> ウラジロに似るとされるコシダはすでに収録済みです。

過去のきょう 2024 オオグルマ 2023 テンニンギク 2022 オキシデンドルム・アーボレウム(スズランノキ) 2021 トウキョウチクトウ 2020 ピンポンノキ 2019 サンゴジュ 2018 ナガバハエドクソウ 2017 オオバギボウシ 2016 シソ(アカジソ、アオジソ) 2015 ヒエンソウ 2014 サワグルミ 2013 ミソハギ 2012 コンロンカ 2011 エンビセンノウ 2010 ヤナギハナガサ 2009 マサキ 2008 ヤナギラン 2007 チダケサシ 2006 トモエソウ 2005 クサキョウチクトウ(オイランソウ) 2004 ヤブツバキ

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7月16日(水) チョウマメ

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ほほぉ、チョウマメZ巻きでした。つまり蔓がアサガオやヤマフジと同じ巻きつき方をするわけです。もっとも分類としてはClitoria(チョウマメ属)という珍種であり、悲しいことにこのブログには巻き方を確認できる仲間がいません。
あと、自分で種を蒔いて育ててみて、小葉が5枚の奇数羽状複葉であることを追認しました。最初の掲載から、その気で見ればわかるのに、迂闊なことです。なお、図鑑的には小葉が5枚から最大9枚(つまり4対)までとなっています。
さらに自家栽培してわかったことは暑さ大好きの性格です。最初の種蒔きは4月中旬にしたのに芽吹きが渋くて、翌月に再度蒔き直したら、20日ほどしてようやく芽がそろい始めました。改めて調べ直すと、種小名ternateaはインドネシアにある赤道直下の島の名で、そこがお里でした。志木の4月なんて寒くて堪らなかったのでしょう。
というわけで、世間話的には酷暑の夏を呪いながらも、じつは今年だけは熱帯気候でいいかなと恐ろしいことを考えている、はた迷惑なはた衛門でした。

過去のきょう 2024 ステノカルプス・シヌアツス 2023 ウィローオーク 2022 コウヤカミツレ 2021 コチョウラン 2020 パキポディウム・エブレネウム 2019 イタリアンパセリ 2018 テンダイウヤク 2017 ウバメガシ 2016 トウジュロ 2015 クリ 2014 シモツケソウ 2013 アオギリ 2012 ワラビ 2011 ヒトツバカエデ 2010 ヒマラヤヤマボウシ 2009 ヤブマオ 2008 モクゲンジ 2007 セイヨウフウチョウソウ(クレオメ) 2006 アサザ 2005 ヒメヒオウギズイセン 2004 リアトリス

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7月15日(火) ヨツバヒヨドリ

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<礼文記29> いまごろはこの株も開花真っ盛りでしょう。撮影からすでにひと月が過ぎ去ろうとしていて、礼文での撮影記録もこれでどうやら仕舞いです。
6月中旬、蕾はまだ固くて和菓子のようでした。これが開くと、同属のフジバカマに似たややこしい花となり、花穂は紫色基調に見えているはずです。
ただ、花よりも見るべきは4輪生した細長い葉です。ふつうのヒヨドリバナのそこがあまり特徴的ではないのに比べると、見分けやすくて助かります。
礼文を含む道内なら平地の湿原で見られるものが、本州だと標高1,000m以上の深山にしか分布しないそうで、老骨の激写小僧にとって礼文はやはり桃源郷でした。

過去のきょう 2024 セイヨウトラノオ(ベロニカ・ロンギフローラ) 2023 アナケイリウム・ラジアツム 2022 ネッタイスズラン 2021 グレビレア・プーリンダスプレンダー 2020 マダガスカルジャスミン 2019 アオカズラ 2018 オウゴンオニユリ 2017 斑入りバナナ(ムサ・アエアエ) 2016 アレチハナガサ 2015 バイカモ(ミシマバイカモ) 2014 キンシバイ 2013 ホウキモロコシ 2012 ワイヤープランツ 2011 コエンドロ(コリアンダー) 2010 アーティチョーク(チョウセンアザミ) 2009 イヌビワ 2008 ムラサキバレンギク 2007 イチジク 2006 ヒマワリ 2005 アキノエノコログサ 2004 ユリ(品種不詳・カノコユリ系)

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7月14日(月) シラゲキクバクワガタ

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<礼文記28> なんとなく見覚えのある花なのに、その葉にも、あるいはもう膨らんでいる種(実)にも親しみがありません。花から察するにクワガタソウ属(Veronica)でしょうから、その線から礼文で見られるものにあたるとキクバクワガタとなりました。
しかし、その茎や葉の毛深さが尋常ではありません。そこを考慮して、キクバクワガタの品種(f.)であるシラゲキクバクワガタとしました。その品種名candidaは「白く輝く」ほどの意味で、霧につきまとわれた旅だったのに、運良く毛が輝いています。
それにしても、属名にもなっているクワガタソウは実が独特過ぎるし、春の野道を飾るオオイヌノフグリもあれば稀少種のイヌノフグリもある一方でセイヨウトラノオなどというお洒落系もあって、このクワガタソウ属(Veronica ↓)はじつに多彩です。

<このブログに既収録のクワガタソウ属・和名50音順・リンク省略> ☆ イヌノフグリ ☆ オオイヌノフグリ ☆ オオカワヂシャ ☆ カワヂシャ  ☆ クワガタソウ ☆ コゴメイヌノフグリ ☆ シラゲキクバクワガタ ☆ セイヨウトラノオ(ベロニカ・ロンギフローラ) ☆ タチイヌノフグリ ☆ トウテイラン ☆ ハマトラノオ ☆ フラサバソウ ☆ ヘーベ ☆ ベロニカ・グレース ☆ ムシクサ

過去のきょう 2024 ヒロハザミア(ザミア・フルフラセア) 2023 グネモンノキ 2022 ミゾカクシ 2021 カサブランカ 2020 ムラサキバレンギク 2019 オオグルマ 2018 ランダイスギ 2017 ユクノキ 2016 セイヨウヤブイチゴ(ブラックベリー) 2015 ユリノキ 2014 シマススキ 2013 クロモジ 2012 トチバニンジン 2011 ノウゼンカズラ 2010 ベニバスモモ(ベニスモモ) 2009 ミヤギノハギ 2008 ジュンサイ 2007 チョウセンシラベ・シルバーロック 2006 カランコエ 2005 マルバマンネングサ 2004 ホテイアオイ

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7月13日(日) ヒロハクサフジ

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<礼文記27> ソラマメ属のなかの日本代表かなと思える(種小名がjaponica)ものを礼文島で撮りました。北海道以外でも北日本なら分布することになっているのに初めての出会いですから、やはり礼文は花の聖地ではあるわけです。
ヒロハ(広葉)という形容は、これだけ見ていると頷きにくくても、ふつうのクサフジと比べるとなるほどです。ほかに、花穂が少しだけ短い気がしました。
面白いのは、おとといのマルバトウキと同じくこれもハマクサフジという別名を持つのに撮影地はけっこう内陸部だったことです。とは言っても狭い島のこと、地図で見直せば波打ち際まで1kmはなくて、きっと潮風は十分に届くのでしょう。

過去のきょう 2024 ダイギンリュウ 2023 コチレドン・福娘 2022 アメリカシモツケ 2021 シダレケヤキ 2020 オマツリライトノキ 2019 ホソバイヌビワ 2018 アマ 2017 コシロノセンダングサ 2016 ホタルイ 2015 ハラン 2014 アオジクユズリハ(イヌユズリハ) 2013 ハス(古代蓮) 2012 シマトネリコ 2011 ハナハッカ(オレガノ) 2010 タマゴタケ 2009 タカトウダイ 2008 チョウセンニンジン(オタネニンジン) 2007 セイヨウニンジンボク 2006 ヒエンソウ 2005 ヘメロカリス 2004 ヘクソカズラ

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7月12日(土) エゾスカシユリ

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<礼文記26> 街で見かけるスカシユリとは少しばかり雰囲気が違います。まず背丈があまりないし(膝丈程度)、スカシが大きいのです。隙あり過ぎです。
なので、シベとか花びらの斑紋(スカシユリには見られない)を上から覗き込むのも横から透かして眺めるのも自在です。あるいは花柄が毛むくじゃらで、これを知らないで眺めると病気だろうかと心配することになります。
礼文に限らず道内各地に咲くそうで、かつて訪ねたワッカ原生花園は最大の群生地なのでした。知らなかったとは言え、あのとき花の残骸さえ見つけられなかったのは、眼力のなさよりは時期が遅すぎた(開花期は8月いっぱい)せいでしょう。

過去のきょう 2024 イジュ 2023 マメナシ 2022 ルリタマアザミ 2021 ピペル・シルバチクム 2020 トビシマカンゾウとゼンテイカ(ニッコウキスゲ) 2019 ハリガネワラビ 2018 ヘツカニガキ 2017 アカガシワ 2016 ナワシロイチゴ 2015 アカメガシワ 2014 ペンステモン 2013 ハナゾノツクバネウツギ 2012 ハンゲショウ 2011 ヘラノキ 2010 ネジバナ 2009 ムラサキクンシラン(アガパンサス) 2008 キブシ 2007 ヘリアンサス・アトロルベンス 2006 カラスビシャク 2005 ヤブミョウガ 2004 アメリカフヨウ

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7月11日(金) マルバトウキ

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<礼文記25> 別名をハマトウキというので、ハマベンケイソウハマハコベと同じく潮風好きの性質があることはあるのでしょう。ところがこれだけはもろの海岸ではなく、かなりの崖の上とか、山裾の集落近くとかで出会いました。
そんな体験から、別名はあっさり忘れ、標準和名だけをきっちり覚えます。2回三出の複葉は厚手で艶があり、大括りに言えば和名どおりの丸いフォルムです。
Ligusticum(マルバトウキ属・注)という珍しいグループなので、ここには新規収録かと思ったら、ずいぶんと昔にセンキュウ(Ligusticum officinale)を掲出していて、ただしどこかの薬草園で出くわしたようで、常に似合わず寡黙な取り上げ方でした。

<補注> トウキもセンキュウと同じく薬草で、しかしAngelica(シシウド属)です。つまり、マルバトウキ(またはハマトウキ)はあえて別属の名前を借用しているところが素人泣かせです。素直にマルバセンキュウとしてほしかった…と涙です。

過去のきょう 2024 レオノチス・ネペチフォリア 2023 ハナスゲ 2022 アメイシャ 2021 エノキ 2020 ハイビスカス(ブッソウゲ) 2019 ツガ 2018 シナノアキギリ 2017 ノカラマツ 2016 マヤラン 2015 キソウテンガイ(サバクオモト、ウェルウィッチア) 2014 ムクゲ(白花笠) 2013 カラムシ(雄花) 2012 スモモ 2011 クサスギカズラ 2010 ギンバイソウ 2009 コバギボウシ 2008 イランイランノキ 2007 ラムズイヤー 2006 ゴシキドクダミ 2005 アガパンサス 2004 カラスウリ

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7月10日(木) ハマベンケイソウ

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<礼文記24> 先週掲載したハマハコベと同じく、海辺の植物です。と言うか、むしろさらに厳しい環境を好むようで、おむすび大の石の間に根を張っていました。
無毛なのに白緑色の葉は繊細なタッチで、多肉質然とした図太さがありません。その葉は腕ほどに長くのびた茎に互生し、のびきった先に花序をつけます。
その花がまた可憐です。俯いたベル型の形もいいし、ピンクの蕾が開くと青くなるのも意外性に富んでいます。礼文に固有のものではなく、本州の海岸までかなり広く分布するそうで、どこか潮の香りのする町に旅したら再会したいものです。

過去のきょう 2024 ミナヅキ 2023 ハナエンジュ 2022 タンジン 2021 クローバー・ティントヴェール 2020 ニンニク 2019 オオフサモ 2018 ヒイラギ 2017 つがる(セイヨウリンゴ) 2016 シキザキホソバアカシア 2015 アデニウム・アラビカム(砂漠のバラ) 2014 アンゲロニア 2013 ナンテン 2012 クマツヅラ 2011 ノムラカエデ 2010 ヤハズアジサイ 2009 アブラチャン 2008 カラスビシャク 2007 カラタチバナ 2006 タイマツバナ 2005 サルスベリ 2004 メマツヨイグサ

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